yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

御荷鉾山の花々2 2021.9.12

御荷鉾山の花2

登山道は樹林帯の中なので、あまり花は無い。ここにあげたものはほとんど林道沿いで見られた物である。

ミヤマコンギク(キク科)

深山に生える紺菊のこと。箱根を中心に生えるのでハコネギクの名もある。

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ミヤマコンギク

ヤブタバコ(キク科)

藪煙草で、藪地に生え、タバコに似た葉があるから。

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ヤブタバコ

キブシ果実(キブシ科)

この果実を五倍子(ふし)の代用に使ったことから。五倍子とか付子はタンニン材としてお歯黒や薬、インク製造に用いるもので、ヌルデの葉に生ずる虫こぶから採る。

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キブシ果実

クサボタン(キンポウゲ科

草牡丹で、葉の形が牡丹に似ているから。しかし、草ではなく、木本。雌雄異株で、学名はクレマチス

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クサボタン

タケニグサ(ケシ科)

竹似草で、枯れた茎を見ると中空の様子が竹に似ている。以前、竹煮草で、この草を竹と一緒に煮ると竹が柔らかくなるからというのを見たが、竹を煮ることがそんなにあるのか疑問だった。しかし、枯れた茎を見たとたん、竹に見間違えるほどそっくりだった。

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タケニグサ

コナスビ(サクラソウ科)

小茄子の意味で、茄子に似た果実を付けることから。

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コナスビ

キバナアキギリ(シソ科)

黄花秋桐で、黄色い秋桐のこと。秋桐は、北陸地方に咲く桐に似た青紫色の花を付ける。

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キバナアキギリ

ニガクサ(シソ科)

苦草の意味であるが、実際には苦くないとの事。次に出会ったら試してみるつもり。

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ニガクサ

ヒキオコシ(シソ科)

引起しで、苦い葉が起死回生の効力があるということから。

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ヒキオコシ

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ヒキオコシ

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ヒキオコシ

メハジキ(シソ科)

目弾きのことで、子供が茎を短く切り、まぶたに挟んで目を開かせて遊んだことから。

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メハジキ

ヤマトウバナ(シソ科)

山塔花で先端に付く花穂が塔のようになるから。イヌトウバナは蕚筒に長毛がもっと多い。

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ヤマトウバナ

ヤマハッカ(シソ科)

山にある薄荷の意味だが、香気はしない。上側に反り返っている花弁状のもの(上唇という)の内側に、紫色の斑点があるが、イヌヤマハッカには無い。

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ヤマハッカ

セイヨウウツボグサ(シソ科)

西洋靭草で、西洋とつくように外来種。ユーラシア原産で、園芸種として栽培されていたものが、野生化したものと思われる。本当はもっと花序(花の付く形)が長いはずが林道の端で矮小化したらしい。ウツボとは弓矢を入れる細長い武具で、花序の形がそれに似ているから。

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セイヨウウツボグサ(シソ科)

 

御荷鉾山の花々 1  2021.9.12

御荷鉾山の花 1

御荷鉾山は群馬県の南部にあり、西と東に2つの山頂を持つ(それぞれ1280m,1184m)山である。交通が不便な所にあり、かっては麓で宿泊をして、登らなければならなかったが、今はスーパー林道が山頂近くまでできており、山頂まで1時間で行ける。傾斜も緩やかで、特に危険なところもない。

道は、ほとんど樹林帯の中で、花はあまり見られなかったが、西御荷鉾山の南面に草付きの斜面があり、シーズンが良ければ、少し期待はできると思う。今回見られたものは、ほとんど林道の周辺で、樹林帯が伐採されることにより、広がっている。

 

西御荷鉾山山頂

切り開かれて展望は良くなっている。

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西御荷鉾山山頂

キヌタソウ(アカネ科)

砧草で、果実の形を衣類をたたく砧に見立てたものと思われる。

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キヌタソウ

マツヨイグサアカバナ科

雌待宵草で、オオマツヨイグサより小さいので雌を付けた。北アメリカ原産の帰化植物で、各地に野生化している。

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マツヨイグサ

 

イラクサイラクサ科)

刺草(とげくさ)の意味。茎や葉にある刺に刺されると疼痛を感じるので、別名イタイタグサ。うっかり触らないこと。

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イラクサ

クサコアカソ(イラクサ科)

茎や葉柄が赤い赤麻というものがあり、それよりも小さくて、草本だから草小赤麻。茎の先端に付くのは雌花の集まりで、雄花は茎の下部に付く。

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クサコアカソ

ヤマホタルブクロ(キキョウ科)

山蛍袋で、蛍を入れて遊んだことから。標高の低い所にあるホタルブクロは、萼片の間に反り返った付属体が付く。

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ヤマホタルブクロ

アズマヤマアザミ(キク科)

東山薊で、関東地方に多いことから。まだ蕾。頭花が数個かたまって付く。

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アヅマヤマアザミ

トネアザミ(キク科)

利根薊で、関東、中部地方に多いことから。花を下向きにさかせる。別名タイアザミ

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アズマヤマアザミ

アキノキリンソウ(キク科)

秋の麒麟草で、麒麟草(ベンケイソウ科)のように美しい花を秋に咲くから。麒麟草の意味は不明。

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アキノキリンソウ

ジシバリ(キク科)

地縛りで、茎が地に縦横に張り付くいていることから。

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ジシバリ

シラヤマギク(キク科)

白山菊で、白い花を付け、山にある菊ということ。下部の葉が卵形になる。

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シラヤマギク

シロヨメナ(キク科)

白嫁菜で、嫁菜に似ていて、白い花を付けるから。 

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シロヨメナ

センボンヤリ(キク科)

千本槍で、秋に閉鎖花(開かない花)が付き、林立する様を槍に例えたもの。閉鎖花は確実に受粉するが、自分の花粉なので、できた種子は遺伝的に変化のないクローン。春の開花した花は、他から花粉を受け取り、より良い遺伝子を取り込むことができる。

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センボンヤリ

春のセンボンヤリ

開花した春の千本槍(2012.4.16甲州高尾山)

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センボンヤリ

ノハラアザミ(キク科)

野原薊で、秋に咲く。根際にある根生葉が残り、総苞片(花の下のとげとげ)が少し反り返り、粘らない。春に咲くノアザミは総苞片がピタッとくっつき触ると粘る。

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ノハラアザミ










高尾山の花々3‥‥ 秋  2021.9.27

高尾山の花3

高尾山にはタカオスミレのようにタカオと付く植物が何種類かあり、また高尾山で初めて発見されたものが65種もあるといわれる。それは先に述べたように、暖温帯の常緑広葉樹林と冷温帯の落葉広葉樹林の境にあり多様な植物が生育しているからである。

キバナアキギリ(シソ科)

黄花秋桐で、アキギリに似て黄色い花を付けるから。アキギリは中部地方から近畿地方に分布し、秋に紅紫色の桐に似た花を付ける。

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キバナアキギリ

シモバシラ(シソ科)

霜柱で、冬枯れた茎に氷の結晶ができるから名付けられた。

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シモバシラ

これが、シモバシラに出来た霜柱(2009.12.20 御正体山)

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シモバシラ

ジャコウソウ(シソ科)

麝香草で、茎葉をゆするといい香りが漂うことから。

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ジャコウソウ

セキヤノアキチョウジ(シソ科)

関屋の秋丁子。関屋とは箱根の関所のことで、そこで、採集されたことによる。秋丁子は秋に丁子型の花を付けるから。岐阜県以西には秋丁子が分布するが、花序(花の付き方)が狭く、写真のように広がらない。他にも萼片の形や、花序に毛が無いなどの違いがある。

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セキヤノアキチョウジ

ヤマハッカ(シソ科)

山薄荷だが、匂いは無い。よく似たイヌヤマハッカには上唇(上側にある花弁)に紫色の斑点がなく、萼片(写真では花冠の落ちた跡の赤褐色のもの)の上唇と下唇の形が異なる。

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ヤマハッカ

レモンエゴマ(シソ科)

檸檬胡麻で、レモンの香りのする荏胡麻エゴマは漢名で荏といい、シソの一種で、小さな果実を絞って、エゴマ油を採る。しかし、本種は食用にはならないという。

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レモンエゴマ

レモンエゴマの小さな花

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レモンエゴマ

イヌトウバナ(シソ科)

犬塔花で、塔花に似て、上部に付く花穂が塔の様だから。本物に似ているからとか、役立たずとかいう時、犬をつける。イヌビワ、イヌムギ等々。蕚筒(萼が筒状になったもの)に長い軟毛が多いのが特徴。

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イヌトウバナ

タカトウダイ(トウダイグサ科

高燈台で、丈の高い燈台草ということ。燈台は昔、部屋で使った燈架を指す。

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タカトウダイ

トウダイグサ科の花は変わっている。花弁や萼片は無く、蜜を分泌する腺体に囲まれた中に雄しべだけの雄花がある。(写真では4つ見える)雌しべだけの雌花は見えないが、下部に飛び出してるものがそれかも知れない。腺体の数も図鑑とはちがっていた。いずれにしてもこの写真の個体は不備の様である。

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タカトウダイ

オオヤマハコベ(ナデシコ科)

大山ハコベで、大形のヤマハコベということ。

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オオヤマハハコベ

オオハナワラビ(ハナヤスリ科)

シダ植物は花を付けず、胞子で増える。ここで取り上げるのも場違いだが、一見花のような胞子葉をつけるし、だから名もハナワラビを頂戴してるので、取り上げた。

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オオハナワラビ

ダイコンソウ(バラ科

大根草で、下部の葉が大根の葉の様だから。

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ダイコンソウ

ミヤマフユイチゴバラ科

深山冬苺。秋に咲いて、冬に果実を付け、果実は食べられる。似たフユイチゴは葉の先があまり尖らなく、葉の裏面や萼片に軟毛を密生し、棘がない。本種には棘があるので触ってみるとわかる。また、花弁より萼片の方が長い。

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ミヤマフユイチゴ

ナンテンハギ(マメ科

南天萩で、小葉が2枚ずつついており、ナンテン(メギ科)の葉に似ているから。別名フタバハギ(双葉萩)。よく似たミヤマタニワタシは花の下に付く苞(葉のようなもの)が残る。本種はすぐとれて残らない。

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ナンテンハギ

ヌスビトハギ(マメ科

盗人萩で、果実の形が、抜き足差し足で歩く盗人の足跡を連想したことから。

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ヌスビトハギ

ノササゲ(マメ科

野ササゲで、ササゲは捧げるという意味で、豆果が上を向くものに付けられた名。

食用のササゲではないので、野が付いたが、牧野富太郎は野ではなく山にあるのでこの名をふさわしくないとし、キツネササゲと改名したが、‥。

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ノササゲ

マルバハギ(マメ科

丸葉萩で、葉が丸みを帯びているから。花穂が短く、小葉より上に出ない。ヤマハギはもっと長く、小葉より上に出る。

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マルバハギ

ヤブマメ(マメ科

藪に生えるから藪豆。花後に果実(豆果)を付けるのは当然だが、地中にも閉鎖花(花の咲かない花)をつけ、果実を付ける。

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ヤブマメ

マツカゼソウ(ミカン科)

松風草で、草の姿に趣があるのに基づいた。ミカン科のものは匂うものが多いが、本種も良い匂いがする。

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マツカゼソウ

ヤマボウシ(ミズキ科)

山法師で、花の形を白色い頭巾を被った姿の山法師に見立てたところから。別名ヤマグワは写真のような果実を野生の桑の実に見立てたことから。果実は少しぬるっとするが、甘く、食べられる。

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ヤマボウシ

ヤブラン(キジカクシ科)

藪に生え、葉が蘭に似ているから藪蘭。花後、紫黒の果実らしきものができるが、果実ではなく、種子である。被子植物は果実の中に種子が出来るが、本種は果皮が薄く、生長の途中で破れ、種子は露出して成長する。ジャノヒゲ属も同じ生長をする。旧分類はユリ科

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ヤブラン

ヤマホトトギスユリ科

山杜鵑で、花の斑点を鳥のホトトギスの胸にある斑点になぞらえた。花弁も萼片も同じような色なので、区別しないときは花被片というが、本種は花被片が下方に反曲する。ヤマジノホトトギスは平らに開き(平開するという)、ホトトギスは斜めに開く。

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ヤマホトトギス

アケボノシュスラン(ラン科)

曙繻子蘭で、花色を朝の空の色に、感触を織物の繻子に例えたもの。

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アケボノシュスラン

 

高尾山の花々2‥‥秋 2021.9.27

高尾山の花2

高尾山には6つの自然研究路があり、どのコースを歩いても安全に整備されている。が、それだけではなく、今回のブログは日影沢からのコースで撮ったもの。いずれにしても急な所や危険なところはないので、子連れなどでも楽しめる。

シラヤマギク(キク科)

白山菊で、白い花をつける山菊というところから。似たような白い花を付ける野菊があるが、下部の葉を見ると柄が付いた卵型であることで、区別できる。

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シラヤマギク

シロヨメナ(キク科)

白嫁菜で、嫁菜に似た、白い花を付けることから。同定のポイントは、光沢のある葉で、葉脈が3本目立つ。またの名をヤマシロギクというが、前項のシラヤマギクと紛らわしいので、シロヨメナを使うべきである。

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シロヨメナ

ノブキ(キク科)

野蕗で、葉の形がフキに似ており、野にあるから。フキより小さく、緑色が濃い。

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ノブキ

ヒヨドリバナ(キク科)

鵯花で、鵯が鳴くころ、花が咲くので。花付きがいいと、フジバカマに似ているが、フジバカマの葉は、3つに深く裂ける。

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ヒヨドリバナ

ベニバナボロギク(キク科)

紅花襤褸菊で、花色が赤いことから。襤褸は咲き終わった後、綿毛をつけた姿がボロをまとった様だからというが説があるがハッキリしない。帰化植物で、初め下を向いて咲くが、咲き終わると上を向く。その様子が1つ見られる。アフリカでは野菜として食べられているそうだ。

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ベニバナボロギク

メナモミ(キク科)

ナズムはとどこおり引っかかるという意味で、転訛してナゴミ→ナモミになったという。そのように花の下の総苞を触ると粘る。雄ナモミに対してやさしいから雌ナモミになった。

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メナモミ

モミジガサ(キク科)

葉の形がもみじ(カエデ)に似て、しかも葉が傘状をしているから。

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モミジガサ

キツネノマゴ(キツネノマゴ科)

名前の由来は不明だが、花の散った跡の姿が狐の尻尾の様だからとか、花の形が狐の顔を思わせるなどという説がある。

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キツネノマゴ

イヌショウマ(キンポウゲ科

犬升麻で、利用価値のない升麻の意味。似ているが役立たないものとか、本物とは違う物などに犬を付けることが多い。イヌビワ、イヌガラシ等々。升麻はサラシナショウマのこと。見かけの違いは、サラシナショウマは花が密に付き、ソーセージのような形で、葉の形も小さく分かれた小葉が多く付く。本種は3枚の小葉。

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イヌショウマ

アキカラマツ(キンポウゲ科

秋唐松で、秋に咲くカラマツソウということから。他のカラマツソウは初夏から夏に咲くので分かりやすい。花弁のように見えるのは萼片で、花弁は無く、多数の雄しべが目立つ。尚、唐松草はこの雄しべの様が唐松の葉の形に似ていることから。くどいようだが唐松は落葉するので落葉松とも書く。

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アキカラマツ

クサボタン(キンポウゲ科

葉の形が牡丹の様であるから草牡丹。しかし、草のように見えるが、木本である。

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クサボタン

ノダケ(セリ科)

語源がはっきりしないので意味不明。しかし茎や葉の根元のさやがタケノコの皮の様だからという説もある。せり科の花はほとんど白なので、本種のような暗紫色の花は分かりやすいが、時に白花もあるそうである。花序(花の集まり)の基部に袋状のさやが残ることや、葉柄が袋状にふくらむ特徴がある。

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ノダケ

ハナタデ(タデ科

花蓼であるが花が特別大きいわけでもなく、理解に苦しむ。牧野図鑑ではこれを誤称であるとバッサリ。代わりにヤブタデを使っているが、ハナタデの使用が多くなっているようである。イヌタデに似ているが、茎が真っ直ぐ細長く、花がまばらにつくこと、葉の先が鋭く、少し丸みを帯びることで区別できる。図鑑(平凡社・日本の野生植物)の項目にも無かったのでこれに従ったが、ヤブタデを使った方がいいと思う。

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ハナタデ

ミズヒキ(タデ科

水引で、花穂を水引に例えたもの。赤いのは萼片で、花弁は無い。

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ミズヒキ

ミゾソバタデ科

溝に繁茂するソバの類という意味。一名ウシノヒタイというが、葉の形から牛の額。上部に開いた花が見えるが5裂した萼片であり、花弁は無い。普通は淡紅色だが、白色のものもある。

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ミゾソバ

ツリフネソウ(ツリフネソウ科)

釣舟草で、花の形が帆掛け船をつり下げた様に見えることから。花弁は3枚で、下前方に2枚、上に1枚、萼片も3枚で、袋状になったものと、花柄の付け根に2枚ある。後方に突き出ているのを距といい、蜜を貯める。葉の上方に花を付けるのも特徴で、他のツリフネソウ属は葉の下に付ける。

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ツリフネソウ

 

高尾山の花々1‥秋  2021.9.27

高尾山の花1

高尾山は世界で一番登山者が多い山といわれる。都心から1時間で来られる近さがあり、かつ険しい所も無く、誰でも簡単に歩けるところがその要因と思われる。しかし、そんな条件だけでなく、高尾山には特別な面も持っている。それは、冷温帯系の植物と、暖温帯系の植物が尾根を境に、接しているという特殊性だ。それにより色々な植物を見ることができるので、花を目当てに登るハイカーも多い。

 

高尾山山頂広場

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 高尾山山頂

アカネ(アカネ科)

根が赤いので赤根だが、それで染めた色は、太陽が出る前の東の空の色に似ているので茜染といわれる。

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アカネ

コアカソ(イラクサ科)

小赤麻で、茎や葉柄が赤いアカソより小さいから。写真は上部に付く雌花の花穂で、雄花の花穂は茎の下部に付く。アカソは葉の先端が3裂して尾状に尖る。本種は落葉低木だが、草本のクサコアカソは小さな鋸歯(葉のギザギザ)がもっと多く、10対以上。

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コアカソ

ヤブマオ(イラクサ科)

これらの仲間を苧麻というが、藪の縁などに生えるから藪苧麻。前項のコアカソとおなじように上部に雌花(数珠つなぎの様)、下部に雄花を付ける。よく似たメヤブマオの葉は先が3つに分かれたような形になる。

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ヤブマオ

キジョラン(ガガイモ科)

鬼女蘭で、冬が近づくと果実がはじけ、中から出た綿毛を鬼女の髪に見立てた。高さ数メートルにもなるつる植物で、葉も径10cmになるが、花は径4mmと小さい。アサギマダラの食草となっている。

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キジョラン

ツルギキョウ(キキョウ科)

蔓桔梗で、蔓性のキキョウということ。数も少なく、絶滅危惧Ⅱ類になっている。

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ツルギキョウ

フクシマシャジン(キキョウ科)

福島沙参で、福島で発見されたことによる。沙参はツリガネニンジン一般を指す名。

花が下に向かって咲き、萼片がしばしば逆に反り返る特徴がある。ソバナにも似るがソバナの葉は葉柄があり、互生するが、こちらは3~4枚輪生することが多い。

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フクシマシャジン

ツリガネニンジン(キキョウ科)

釣鐘人参で、花の形を釣鐘に、太く白い根を朝鮮人参に例えたもの。通常は青紫色だが、白花に出会ったのでこちらを載せた。若芽をトトキといい、おいしい山菜として食べられている。

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ツリガネニンジンー白花

アズマヤマアザミ(キク科)

東山薊で、関東地方に多い山アザミということから。頭花がたくさん付く特徴がある。

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アズマヤマアザミ

ウスゲタマブキ(キク科)

薄毛珠蕗で、葉の裏に薄い毛があり、珠は葉腋のムカゴを指し、葉が蕗の葉の様だから。

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ウスゲタマブキ

オクモミジハグマ(キク科)

奥紅葉羽熊で、紅葉は葉の形、羽熊は花の形から。羽熊はヤクの尻尾の毛から作った飾りで、奥は関西から見て東は奥にあたることから。

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オクモミジハグマ

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オクモミジハグマ

カシワバハグマ(キク科)

柏葉羽熊で、柏の葉のような大きな葉があり、花が羽熊のようなことから。

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オクモミジハグマ

シュウブンソウ(キク科)

秋分草で、秋分のころ花を咲かせるところから。

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シュウブンソウ















牛奥雁が腹摺山・小金沢山の花々 2016.5.15

牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山・黒岳の花

大菩薩連山を南にたどると小金沢山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、黒岳と続く。ほとんどが樹林帯で、お花畑なども見られず、花を楽しむ山行とはならない。ここで紹介する花も11種に過ぎず、寂しい限りだが、2000m級の山々なので、もう1ケ月もたてば、もっと増えていくと思われる。ただ、ここでは花ではなく、山に主題を置いた。それは山名です。表題の山、牛奥ノ雁ケ腹摺山、漢字、カタカナ併せて8文字、ローマ字表記にすれば26文字。これは日本で一番長い名前の山と言われています。形の良い山、登り甲斐のある山、花が沢山見られる山、等々山にはいろいろありますが、名前で知られた(知らない人も多い?)山です。

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牛奥ノ雁が腹摺山

湯の沢峠方面からの黒岳

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黒岳

コミヤマカタバミカタバミ科

小深山片喰。低山で見られるミヤマカタバミより小型ということから。3枚のハート形の小葉(1枚の葉が数枚に分かれた葉のこと)の角が丸い。ミヤマカタバミはもう少し、尖っている。ちなみに片喰とは小葉の外側が凹んでいて、片方だけ食べられた形という意味。

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コミヤマカタバミ

バイカオウレンキンポウゲ科

梅花黄連だが、葉が写っていない。初めは上記のカタバミの様に葉が3枚の小葉のからなるミツバオウレンだと思って掲載したが、ミツバオウレンの萼片(白い花弁状のもの)はもっと細いことに気が付いたので、訂正した。葉を含めた全体の姿も撮っておくべきだった。小葉が5枚のバイカオウレン(ゴカヨウオウレンともいう)は名のように梅の花のような形。白色5枚の萼片と、黄色い5本のスプーン形の花弁、多数の白い雄しべ、数個の雌しべが見られ、花弁は蜜を出す蜜槽になっている。

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ミツバオウレン

ツクバキンモンソウ(シソ科)

筑波金紋草で、筑波は発見地から。金紋は葉が美しいことを表す言葉から。花冠は5裂しているが上の2裂は非常に短く、ほとんど見えない。よく似たニシキゴロモ(金紋草ともいう)は2~3mmぐらいあり、日本海側に多い。

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ツクバキンモンソウ

エゾノタチツボスミレ(スミレ科)

蝦夷の立坪菫。蝦夷と付くと北海道に生育しているものが多いが、東北地方や、中部以北の高山に生育するものもある。平地に見られるタチツボスミレより丈が高く、花数は少ない。花色は白から淡紫色まで変化がある。

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エゾノタチツボスミレ

スミレ(スミレ科)

スミレという名の前に何もつかないスミレ。平地に見られるスミレより、丈は低く、葉も短い。自然環境の厳しい山地で、適応した形ではないかと思う。

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スミレ

クリンユキフデ(タデ科

九輪雪筆の意味で、葉が茎に層をなして生えるので九輪(九層)、白い花を付ける花穂を雪筆にしたらしい。

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クリンユキフデ

ワチガイソウ(ナデシコ科)

輪違草で、昔、名前のわからない物を輪違印の付いた鉢に植えて置いたところからついたといわれる。輪違印とは重ねた2つの輪を少しずらした印。よく似たヒゲネワチガイソウは 花弁も細く、5~ 7枚で、上部の2対の葉も接近して輪生のようである。また、花茎も先端から伸びるが、これを頂生という。本種は葉の脇から出るので、腋生という。

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ワチガイソウ

シロバナノヘビイチゴバラ科

白花の蛇苺で、ヘビイチゴは黄色だが、白花を付けるから。人には食えないが蛇には食べられるから蛇苺と言われるが、本種はストローベリーと同じ仲間で、美味しく食べられる。標高の低い所に生育するものより、葉が厚く、毛深いようだ。

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シロバナノヘビイチゴ

タカネザクラバラ科

高嶺桜で、標高の高い所に咲く。赤い葉や、鋭く伸びた葉の先も目立つ。ソメイヨシノより、一回り小さい。

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タカネザクラ

ミツバツチグリ(バラ科

ツチグリという、生のままで食べられる根を持つ植物があるが、それに似て根が塊りになっている。しかし、本種は硬くて食べられない。小葉が3枚なので、三つ葉がついた。普通は平地や山野に生えるが、高山にまで分布するという。

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ミツバツチグリ

フデリンドウ(リンドウ科)

筆竜胆で、筆の形に似ていることから。竜胆は漢名で、日本式に読むとリンドウとなった。

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フデリンドウ

 

筑波山の花々 2 2021.5.9

筑波山の花 2

筑波山は2つの峰を持ち、東峰にはイザナミの命、西峰にはイザナギの命が祀られている。標高は877mと 871mと千メートルに満たないが、平野部から立ち上がっており、標高差はかなりある。また、頂上からの展望もさえぎる物も無く、平野部が広く見渡せる。

男体神社横に咲くヤマツツジ

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男体山 山頂

ツクバキンモンソウ(シソ科)

筑波金紋草で、筑波山で発見されたことによる。キンモンソウは別名ニシキゴロモ(錦衣)といい、葉の文様を美しく愛でた名である。花冠が5裂しているうち、3枚は目立つが、上の2つは短く、日本海側に多い。ツクバキンモンソウはさらに短くほとんど無いくらい短かく、太平洋側に生育している。

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ツクバキンモンソウ

ヒイラギソウ(シソ科)

柊草で、葉の形がヒイラギに似ていることから。茨城、栃木、群馬、埼玉、東京と分布は限られており、絶滅危惧種にも指定されている。女体山山頂近くで見られた。

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ヒイラギソウ

エンレイソウ(シュロソウ科)

延齢草で、薬草として使われたことから。旧分類はユリ科

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エンレイソウ

ツクバネソウ(シュロソウ科)

衝羽根草で、花の形が羽根つきで使う羽根に似ていることから。花弁は無く、4枚の萼片、8本の雄しべ、雌しべの先は4つに分かれている(4花柱という)のが見える。旧分類はユリ科

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ツクバネソウ

タチツボスミレ(スミレ科)

 立坪菫で、坪とは庭のこと。庭のような身近によく見られるということから。

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タチツボスミレ

ツボスミレ(スミレ科)

坪菫で意味は前項の立坪菫と同じ。別名ニョイスミレだが、如意とは僧侶が持つ仏具に葉の形が似ているからで、漢名でも如意草という。

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ツボスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

麓菫で、山のふもとに咲くから。しかし、標高1000mぐらいまで見られる。

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フモトスミレ

ギンリョウソウ(ツツジ科)

銀竜草で、りん片葉につつまれた白色の体全体を竜にみたてたもの。葉緑素が無く、光合成が出来ないので、地中の栄養分を吸収している。それはキノコと同じ生き方なので、別名ユウレイタケ。旧分類はイチヤクソウ科。

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ギンリョウソウ

トウゴクミツバツツジツツジ科)

東国三つ葉ツツジ。枝先に付く葉が3枚で、東国は関東地方に多いことから。本種は雄しべが10本だが、ミツバツツジは5本。雄しべの先端の葯に花粉を出す穴が見える。

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トウゴクミツバツツジ

ヤマツツジツツジ科)

山にあるツツジで、よく目にする。

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ヤマツツジ

ヤマハコベ(ナデシコ科)

深山ハコベで、山地に生育しているから。一見花弁は10枚あるように見えるが、1枚が2裂しているので、実は5枚。よく似たサワハコベは切れ込みが浅い。ハコベ属の学名はステルラリアだが、星(スター)の意味で、花が星のまたたきのようだから。

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ヤマハコベ

ワチガイソウ(ナデシコ科)

輪違草で、昔、名前のわからないものを、輪違印の付いた鉢に植えて置いたことからそのまま名になったという。輪違印とは重ねた二つの輪を少しずらした形。筑波にはこの変種であるヒナワチガイソウがあるという。葉や花弁が細く、他に千葉、東京、三重、愛媛、徳島、高知に点々と分布するという。

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ワチガイソウ

クサイチゴ(バラ科

地面に広がって生育していることが多く、草のような苺だから。しかし、草ではなく、木本である。果実は美味しく食べられる。

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クサイチゴ

ツルキンバイ(バラ科

蔓金梅で、蔓を延ばして広がっている様子から。よく似たミツバツチグリは日当たりの良いところに多いが、本種は林下に多く、葉の質も薄い。

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ツルキンバイ

マルバアオダモ(モクセイ科)

丸葉青ダモで、葉にギザギザ(鋸歯という)が無いので丸葉、タモとはトネリコのことで、この枝を切って水にいけると水が青くなることから。

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マルバアオダモ

チゴユリユリ科

稚児百合で、小さな花を稚児になぞらえた。

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チゴユリ

オトコヨウゾメ(レンプクソウ科)

意味は不明だが、ガマズミ類をヨツドメ、ヨソゾメという地方がある。それは大きくて食べられるが、本種はやせていて食用にならないことから、オトコをつけたという説がある。でも、なぜオトコなのか?

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オトコヨウゾメ