高尾山の花3
高尾山にはタカオスミレのようにタカオと付く植物が何種類かあり、また高尾山で初めて発見されたものが65種もあるといわれる。それは先に述べたように、暖温帯の常緑広葉樹林と冷温帯の落葉広葉樹林の境にあり多様な植物が生育しているからである。
黄花秋桐で、アキギリに似て黄色い花を付けるから。アキギリは中部地方から近畿地方に分布し、秋に紅紫色の桐に似た花を付ける。
シモバシラ(シソ科)
霜柱で、冬枯れた茎に氷の結晶ができるから名付けられた。
これが、シモバシラに出来た霜柱(2009.12.20 御正体山)
ジャコウソウ(シソ科)
麝香草で、茎葉をゆするといい香りが漂うことから。
セキヤノアキチョウジ(シソ科)
関屋の秋丁子。関屋とは箱根の関所のことで、そこで、採集されたことによる。秋丁子は秋に丁子型の花を付けるから。岐阜県以西には秋丁子が分布するが、花序(花の付き方)が狭く、写真のように広がらない。他にも萼片の形や、花序に毛が無いなどの違いがある。
ヤマハッカ(シソ科)
山薄荷だが、匂いは無い。よく似たイヌヤマハッカには上唇(上側にある花弁)に紫色の斑点がなく、萼片(写真では花冠の落ちた跡の赤褐色のもの)の上唇と下唇の形が異なる。
レモンエゴマ(シソ科)
檸檬荏胡麻で、レモンの香りのする荏胡麻。エゴマは漢名で荏といい、シソの一種で、小さな果実を絞って、エゴマ油を採る。しかし、本種は食用にはならないという。
レモンエゴマの小さな花
イヌトウバナ(シソ科)
犬塔花で、塔花に似て、上部に付く花穂が塔の様だから。本物に似ているからとか、役立たずとかいう時、犬をつける。イヌビワ、イヌムギ等々。蕚筒(萼が筒状になったもの)に長い軟毛が多いのが特徴。
高燈台で、丈の高い燈台草ということ。燈台は昔、部屋で使った燈架を指す。
トウダイグサ科の花は変わっている。花弁や萼片は無く、蜜を分泌する腺体に囲まれた中に雄しべだけの雄花がある。(写真では4つ見える)雌しべだけの雌花は見えないが、下部に飛び出してるものがそれかも知れない。腺体の数も図鑑とはちがっていた。いずれにしてもこの写真の個体は不備の様である。
大山ハコベで、大形のヤマハコベということ。
オオハナワラビ(ハナヤスリ科)
シダ植物は花を付けず、胞子で増える。ここで取り上げるのも場違いだが、一見花のような胞子葉をつけるし、だから名もハナワラビを頂戴してるので、取り上げた。
ダイコンソウ(バラ科)
大根草で、下部の葉が大根の葉の様だから。
深山冬苺。秋に咲いて、冬に果実を付け、果実は食べられる。似たフユイチゴは葉の先があまり尖らなく、葉の裏面や萼片に軟毛を密生し、棘がない。本種には棘があるので触ってみるとわかる。また、花弁より萼片の方が長い。
南天萩で、小葉が2枚ずつついており、ナンテン(メギ科)の葉に似ているから。別名フタバハギ(双葉萩)。よく似たミヤマタニワタシは花の下に付く苞(葉のようなもの)が残る。本種はすぐとれて残らない。
ヌスビトハギ(マメ科)
盗人萩で、果実の形が、抜き足差し足で歩く盗人の足跡を連想したことから。
野ササゲで、ササゲは捧げるという意味で、豆果が上を向くものに付けられた名。
食用のササゲではないので、野が付いたが、牧野富太郎は野ではなく山にあるのでこの名をふさわしくないとし、キツネササゲと改名したが、‥。
マルバハギ(マメ科)
丸葉萩で、葉が丸みを帯びているから。花穂が短く、小葉より上に出ない。ヤマハギはもっと長く、小葉より上に出る。
藪に生えるから藪豆。花後に果実(豆果)を付けるのは当然だが、地中にも閉鎖花(花の咲かない花)をつけ、果実を付ける。
マツカゼソウ(ミカン科)
松風草で、草の姿に趣があるのに基づいた。ミカン科のものは匂うものが多いが、本種も良い匂いがする。
山法師で、花の形を白色い頭巾を被った姿の山法師に見立てたところから。別名ヤマグワは写真のような果実を野生の桑の実に見立てたことから。果実は少しぬるっとするが、甘く、食べられる。
藪に生え、葉が蘭に似ているから藪蘭。花後、紫黒の果実らしきものができるが、果実ではなく、種子である。被子植物は果実の中に種子が出来るが、本種は果皮が薄く、生長の途中で破れ、種子は露出して成長する。ジャノヒゲ属も同じ生長をする。旧分類はユリ科。
山杜鵑で、花の斑点を鳥のホトトギスの胸にある斑点になぞらえた。花弁も萼片も同じような色なので、区別しないときは花被片というが、本種は花被片が下方に反曲する。ヤマジノホトトギスは平らに開き(平開するという)、ホトトギスは斜めに開く。
アケボノシュスラン(ラン科)
曙繻子蘭で、花色を朝の空の色に、感触を織物の繻子に例えたもの。