筑波山の花 2
筑波山は2つの峰を持ち、東峰にはイザナミの命、西峰にはイザナギの命が祀られている。標高は877mと 871mと千メートルに満たないが、平野部から立ち上がっており、標高差はかなりある。また、頂上からの展望もさえぎる物も無く、平野部が広く見渡せる。
男体神社横に咲くヤマツツジ
ツクバキンモンソウ(シソ科)
筑波金紋草で、筑波山で発見されたことによる。キンモンソウは別名ニシキゴロモ(錦衣)といい、葉の文様を美しく愛でた名である。花冠が5裂しているうち、3枚は目立つが、上の2つは短く、日本海側に多い。ツクバキンモンソウはさらに短くほとんど無いくらい短かく、太平洋側に生育している。
ヒイラギソウ(シソ科)
柊草で、葉の形がヒイラギに似ていることから。茨城、栃木、群馬、埼玉、東京と分布は限られており、絶滅危惧種にも指定されている。女体山山頂近くで見られた。
エンレイソウ(シュロソウ科)
延齢草で、薬草として使われたことから。旧分類はユリ科。
ツクバネソウ(シュロソウ科)
衝羽根草で、花の形が羽根つきで使う羽根に似ていることから。花弁は無く、4枚の萼片、8本の雄しべ、雌しべの先は4つに分かれている(4花柱という)のが見える。旧分類はユリ科。
タチツボスミレ(スミレ科)
立坪菫で、坪とは庭のこと。庭のような身近によく見られるということから。
ツボスミレ(スミレ科)
坪菫で意味は前項の立坪菫と同じ。別名ニョイスミレだが、如意とは僧侶が持つ仏具に葉の形が似ているからで、漢名でも如意草という。
フモトスミレ(スミレ科)
麓菫で、山のふもとに咲くから。しかし、標高1000mぐらいまで見られる。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
銀竜草で、りん片葉につつまれた白色の体全体を竜にみたてたもの。葉緑素が無く、光合成が出来ないので、地中の栄養分を吸収している。それはキノコと同じ生き方なので、別名ユウレイタケ。旧分類はイチヤクソウ科。
トウゴクミツバツツジ(ツツジ科)
東国三つ葉ツツジ。枝先に付く葉が3枚で、東国は関東地方に多いことから。本種は雄しべが10本だが、ミツバツツジは5本。雄しべの先端の葯に花粉を出す穴が見える。
ヤマツツジ(ツツジ科)
山にあるツツジで、よく目にする。
ミヤマハコベ(ナデシコ科)
深山ハコベで、山地に生育しているから。一見花弁は10枚あるように見えるが、1枚が2裂しているので、実は5枚。よく似たサワハコベは切れ込みが浅い。ハコベ属の学名はステルラリアだが、星(スター)の意味で、花が星のまたたきのようだから。
ワチガイソウ(ナデシコ科)
輪違草で、昔、名前のわからないものを、輪違印の付いた鉢に植えて置いたことからそのまま名になったという。輪違印とは重ねた二つの輪を少しずらした形。筑波にはこの変種であるヒナワチガイソウがあるという。葉や花弁が細く、他に千葉、東京、三重、愛媛、徳島、高知に点々と分布するという。
クサイチゴ(バラ科)
地面に広がって生育していることが多く、草のような苺だから。しかし、草ではなく、木本である。果実は美味しく食べられる。
ツルキンバイ(バラ科)
蔓金梅で、蔓を延ばして広がっている様子から。よく似たミツバツチグリは日当たりの良いところに多いが、本種は林下に多く、葉の質も薄い。
マルバアオダモ(モクセイ科)
丸葉青ダモで、葉にギザギザ(鋸歯という)が無いので丸葉、タモとはトネリコのことで、この枝を切って水にいけると水が青くなることから。
チゴユリ(ユリ科)
稚児百合で、小さな花を稚児になぞらえた。
オトコヨウゾメ(レンプクソウ科)
意味は不明だが、ガマズミ類をヨツドメ、ヨソゾメという地方がある。それは大きくて食べられるが、本種はやせていて食用にならないことから、オトコをつけたという説がある。でも、なぜオトコなのか?