烏帽子岳・小沢山(西上州)の花々 2016.5.8
烏帽子岳・小沢山の花
烏帽子岳は約1190mの岩峰で、名前の通り頂上付近は急峻な岩場となっている。翻って小沢山は標高1089mで急峻なところもなく、初心者の山として紹介されている。この2つの山は直線距離で7,8km離れているが、車を使えば同じ日に登ることができる。それは両方ともコースタイムは2時間弱で登れるから。しかし、花が多いのは小沢山の方であった。特にこの時期にはスミレが多く見られた。
烏帽子岳からの三ッ岩(手前中央左)と遠く浅間山を望む
コンロンソウ(アブラナ科)
崑崙草で、中国の崑崙山脈に降った雪を表しているという。
フタバアオイ(ウマノスズクサ科)
双葉葵で一株から必ず2葉が出ることから。徳川家の紋章はこの葉に基づいてデザインされたが、3つ使うので三つ葉葵という言葉もある。しかし、三つ葉葵という植物は無い。花はというと
葉の付け根に下を向いて、目立たない。花弁は無く、3枚の萼片の元が合着し、先端が反転している構造。下から覗くと12本の雄しべが花のような雌しべを囲んでいるのが見える。
クワガタソウ(オオバコ科)
果実が鍬形の兜に似ているから鍬形草。下部に果実が見える。白花のクワガタソウは初めて見た。旧分類はゴマノハグサ科。
ユキザサ(キジカクシ科)
白い花をササの葉に降り積もった様子に例えた。旧分類はユリ科。
ヤマエンゴサク(ケシ科)
山延胡索で、延胡索は漢名。後方に伸びているのは距といい、蜜を貯める。
ヤマブキソウ(ケシ科)
花色や、形がバラ科の山吹に似ているところから。しかし、ヤマブキの花弁は5枚だし、木本なので冬も枯れないが、本種は草本で枯れるからヤマブキソウ。ケシ科は花弁が4枚なので、わかりやすい。前項のヤマエンゴサクも4枚が筒状に重なる。
ヒイラギソウ(シソ科)
柊草で葉が柊の葉に似ているから。茨城、栃木、群馬、埼玉、東京にのみ分布する稀少種。
アカネスミレ(スミレ科)
花色が茜色だから。
エイザンスミレ(スミレ科)
比叡山にあるところから。葉に特徴があり、花が無くてもすぐ分かる。いろいろ変異はあるが、基本的には3裂し、それぞれが更に分かれている。
サクラスミレ(スミレ科)
花が大きく、スミレの女王といわれる。花弁の先が少しへこみ、桜の花弁を思わせる。
花茎や、葉柄に毛が多い。
フモトスミレ(スミレ科)
麓菫で、ふもとにあることからの名前だが、1000mぐらいまで見られる。
トウゴクミツバツツジ(ツツジ科)
東国三つ葉ツツジで関東地方に分布することから。雄しべが10本あり、ミツバツツジは5本で、トウゴクは若葉にも毛があることも目安になる。
ヤマツツジ(ツツジ科)
カメラの特性か、色がかなり赤く出ている。
ミヤマハコベ(ナデシコ科)
ハコベはハコベラの略で、はびこることからといわれてる。平地のハコベより一回り大きく、5枚の花弁が2裂していて、10枚に見える。ハコベ属の学名をステルラリアというが星(スター)を意味している。
ワチガイソウ(ナデシコ科)
輪違草だが、昔、名前がわからなかったので輪違いの印の付いた鉢に植えておいたことからそのまま名になったといわれる。輪違いとは2つの輪を少しずらして重ねた印。
似たものにヒゲネワチガイソウがあるが、花弁や葉がもう少し細く、花弁の間にすき間が見えたり数も6枚だったりする。なれないとマチガエソウ。
クマイチゴ(バラ科)
熊苺は山中に生えて、熊の食べるイチゴということから。花弁の元が細いので萼片がよく見えることと茎が赤茶色をしている特徴がある。この花は花弁が1つ小さい。
チドリノキ(ムクロジ科)
千鳥の木で、果実が千鳥の飛ぶ姿に似ているから。別名山柴カエデというように、旧分類ではカエデ科。翼の付いたような果実で、ひらひらと風に乗って散らばる。雌雄異株で、これは雄株の雄花。毛の生えた4枚の萼片が目立ち、花弁は小さくて見えない。。
マルバアオダモ(モクセイ科)
丸葉青ダモで、枝を切って、水につけると水が青くなることから。タモはトネリコのことで、材は丈夫でバットやラケットに利用される。雌雄異株で雄株の雄花は4裂した花弁と、2本の雄しべ、雌株の雌花と両性花にはさらに雌しべがある。
コチャルメラソウ(ユキノシタ科)
楽器のチャルメラに、果実が似ているから。花弁が魚の骨に見えませんか。
チゴユリ(ユリ科)
稚児百合で、小さな花を稚児に例えた。