yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

稲含山(西上州)の花々   2011.5.15

稲含山の花

稲含山は上信電鉄下仁田駅の南東6kmにある1370mの山である。稲含山の名はあまり知られれていないと思うが、地元では古くから農耕の神として信仰のある山で、山頂付近には稲含神社がある。稲含というのもインドの姫君が、稲穂を密かに口に含んで、こちらに来たという伝説による。登山口の鳥居峠(標高1000m)まで、車で入れるので山頂までは2時間弱で行ける。山頂付近には岩場があるが、ほとんどは樹林帯の中の道であり、特に多くの花が見られる事は無い。ここにあげた花は主に登山口付近の開けた所と、帰りに寄った神津牧場の物見岩付近のものである。特にスミレ類はほとんど物見岩付近で撮った。

鳥居峠付近からの稲含山

f:id:yamahanayama:20201127010214j:plain

 

フタバアオイウマノスズクサ科)

これは花より団子、いや、葉が有名な植物である。この葉を3枚配置した紋がよく知られている葵の御紋。徳川家の紋章である。紋章の三つ葉葵というのは、この葉を使ったデザインで、ミツバアオイという植物は無い。では、花というと地表近くに目立たないお椀を逆にしたような花。葉に対して存在感がないですなあ。

f:id:yamahanayama:20201127011141j:plain

フタバアオイ

ムラサキケマン(ケシ科)

紫華鬘で、華鬘は仏殿の装飾に使われるもので、花の形がそれに似ているから。

f:id:yamahanayama:20201127011223j:plain

ムラサキケマン

ヤマエンゴサク(ケシ科)

山延胡索で、延胡索は漢名。後方に伸びているのは距といって、蜜を貯める所。上記のムラサキケマンも同じ。

f:id:yamahanayama:20201127011303j:plain

ヤマエンゴサク

カキドオシ(シソ科)

垣根を通り越して増える様子からの名。

f:id:yamahanayama:20201127011341j:plain

カキドオシ

ツクバキンモンソウ(シソ科)

筑波金紋草で、筑波山で発見されたことから。よく似たニシキゴロモは、5裂した花冠の、上2つが小さいが、本種はさらに小さくほとんど見えない。また、本種は太平洋側に分布するが、ニシキゴロモは日本海側に分布。

f:id:yamahanayama:20201127011414j:plain

ツクバキンモンソウ

アカネスミレ(スミレ科)

花の色が茜色だから。全体的に毛深いことと、距が長い。距とは花弁の一部が後方に長く伸びて、蜜を貯める所で、スミレによって形が違う。

f:id:yamahanayama:20201127011447j:plain

アカネスミレ

アケボノスミレ(スミレ科)

花色が曙の空の色だから。葉よりも先に花が咲き、その後、葉が開く。葉裏に毛が多い。

f:id:yamahanayama:20201127011527j:plain

アケボノスミレ

エイザンスミレ(スミレ科)

比叡山にあることから。葉が大きく3裂し、更に細かく切れ込む。花色は白から薄いピンク色など変化がある。

f:id:yamahanayama:20201127010431j:plain

エイザンスミレ

オトメスミレ(スミレ科)

タチツボスミレの白花を乙女スミレという。全部白ではなく、距は薄紫色。

f:id:yamahanayama:20201127010511j:plain

オトメスミレ

サクラスミレ(スミレ科)

花色が桜色で、大きい。この写真でも少し見えるが、花弁の先が少し凹んで、桜の花びらを思わせるようなものがある。花柄や葉柄に毛が多いのも特徴。

f:id:yamahanayama:20201127010534j:plain

サクラスミレ

タチツボスミレ(スミレ科) 

立坪菫で、坪は庭のこと。スミレでは一番多く目にする。 

f:id:yamahanayama:20201127012254j:plain

タチツボスミレ

ニオイタチツボスミレ(スミレ科)

良い匂いがすることからだが、鼻が悪いせいかよくわからない。花柄に微毛がある。

f:id:yamahanayama:20201127010622j:plain

ニオイタチツボスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

麓菫で、山のふもとにあるからだが、ふもとだけでなく、1000mぐらいの高さまで見られる。逆にふもとでは見たことがない。

f:id:yamahanayama:20201127010648j:plain

フモトスミレ

マルバスミレ(スミレ科)

丸葉菫で葉が丸いから。しかし、まん丸ではなく、先が少し尖る。

f:id:yamahanayama:20201127010721j:plain

マルバスミレ

ヒトリシズカ(センリョウ科)

一人静で、1本の花茎を静御前に例えた。花弁は無く、白く見えるのは雄しべで、1個の花には3本の雄しべが付く。

f:id:yamahanayama:20201127010745j:plain

ヒトリシズカ

アズマシャクナゲツツジ科)

東石楠花で、関東地方に多いことから。石楠花は漢名から。

f:id:yamahanayama:20201127010805j:plain

アズマシャクナゲ

アセビツツジ科)

悪しき実からとか、足がしびれるからとか、諸説ある。馬が食べると苦しむから馬酔木とも書き、葉を煎じて殺虫剤に使われた。

f:id:yamahanayama:20201127010827j:plain

アセビ

ワチガイソウ(ナデシコ科)

輪違草で、名前がわからなかったので輪違の印のある鉢に植えたことから。輪違の印とは2つの輪を少しずらして重ねた形。よく似たものにヒゲネワチガイソウがあるが、花弁も葉ももう少し細く、また、花弁が5枚以上あることもある。なんだか、マチガエソウ。

f:id:yamahanayama:20201127010849j:plain

ワチガイソウ

ツルキンバイ(バラ科

蔓金梅で、地面に這って広がる。ミツバツチグリは、花茎を立ち上げて、花を付けるので、花が集まって咲くが、本種は蔓を伸ばすので、花が広がっている。小葉の形も卵形になるが、ミツバツチグリは楕円形になる。

f:id:yamahanayama:20201127010916j:plain

ツルキンバイ

ヤドリギ(ビャクダン科)

宿り木で本来、木の上方に付くので、まじかに見ることができないが、倒木に付いていた。寄生した木から水分を吸収して生育する。枝先に小さな黄色い花を付けるが、写真では点にしかみえない。

f:id:yamahanayama:20201127010936j:plain

ヤドリギ

ヤドリギ・雄花

これは別の所で撮ったものだが、花弁は無く、萼筒が4裂して、中に花粉が見える。

f:id:yamahanayama:20201130175401j:plain

ヤダリギ 雄花

ホソバアマナ(ユリ科

細葉甘菜で、甘菜より葉が細いことから。甘菜は甘い味から。

f:id:yamahanayama:20201127011004j:plain

ホソバアマナ

ミヤマエンレイソウ(シュロソウ科)

深山延齢草で、薬草として使われたから。以前はユリ科だったが、ユリ科の基本数は3で、葉、萼片、白い花弁も3つになっていて、分かりやすかった。新しい分類は形より遺伝情報が主となったので、素人には分かりにくい。写真ではわからないが、雄しべは6、雌しべの柱頭も3つに分かれている。エンレイソウには花弁が無く、萼片が黒紫色をしている。

f:id:yamahanayama:20201127011030j:plain

ミヤマエンレイソウ

 山名一覧へ