諏訪山・三ッ岩岳(西上州)の花々 2012.5.13, 2016.6.19
諏訪山・三ッ岩岳の花
諏訪山(1549m)は西上州でもかなり奥にあり、三百名山にも選ばれ、上部は岩峰になっている山である。又、三ッ岩岳(1032m)は約1時間で登れる手軽な山である。いずれも特に植物が多いわけでは無かったので一緒にまとめた。しかも時期は三つ岩岳は2012.5.13で、諏訪山は2016.6.19なので花の時期もずれるので、写真には撮影月を添えた。
諏訪山の岩峰
ウツギ(アジサイ科)
空木で茎の中が中空であることから。卯の花とも言われ歌などにも歌われている。旧分類はユキノシタ科。(5月)
コンロンソウ(アブラナ科)
崑崙草で中国の崑崙山脈の白い雪を連想したとも言われる。(5月)
フタバアオイ(ウマノスズクサ科)
双葉葵で、花より葉で知られる。この葉を3枚組み合わせたのが葵の御紋。つまり徳川の紋章となっている。冬でも枯れない様を気に入り、使ったらしい。花は下方に見えるお椀型のもの。(5月)
特に目立った色ではないので、匂いを出して昆虫に来てもらうのだろうか。12本の雄しべと先が6裂した雌しべの柱頭が見える。
ミヤマキケマン(ケシ科)
深山黄華鬘で、華鬘は仏殿の装飾具。花弁の後方が長く伸びているのを距というが、蜜を貯める所。(5月)
ムラサキケマン(ケシ科)
紫華鬘で紫色の色と、形から。同じく距が付いている。(5月)
ヤマブキソウ(ケシ科)
バラ科のヤマブキに色と、形が似ており、草本だから山吹草。しかし、よく見ると山吹の花弁は5枚だが、本種は4枚で、上2枚と下2枚とからなる。ケシ科の基本数は2で萼片も2枚だが、花が咲く前に落ちる。(5月)
ヤマタツナミソウ(シソ科)
山立浪草で、花が立って咲く様子が波頭を思わせるから。他のタツナミソウ属は花が真っ直ぐ立つが、本種は斜めに立つのが特徴。また、葉の鋸歯(縁のギザギザ)が目立つのもの目安になる。(6月)
フタリシズカ(センリョウ科)
二人静で静御前が幽霊になって踊っている様子から。花穂は常に2本と限らず、1、3本のこともある。花弁も萼片も無く、白いのは雄しべで雌しべ、子房を囲んでいる。(6月)
アセビ(ツツジ科)
脚しびれが語源という説があり、馬酔木と書かれるアセビで、これを食った馬が酔ったようになるから。葉を煎じて殺虫剤として使われた。壺型の可愛い花だがこの時期にはもう、果実になっていた。(6月)
アブラツツジ(ツツジ科)
油ツツジで、葉の裏面が滑らかで光沢があり、丁度油を塗ったようであるから。(6月)
アズマツリガネツツジ(ツツジ科)
かなり昔、初めてこの花を見たとき、ウラジロヨウラクと教わった。その後、萼片が特に長いものをガクウラジロヨウラクということもなにかで知った。しかし今回、改めて牧野植物図鑑を見直したら、ウラジロヨウラクは本品の一変種で萼片全部、又は一部が長く、主として本州北部の山地に自生する、とあった。つまりガクウラジロヨウラクは特にガクを付けることはしないということになる。この写真は特に萼片が長くないので、アズマツリガネツツジにした。(6月)
ミツバツツジ(ツツジ科)
三つ葉ツツジで三枚の葉が付くことから。雄しべの数が5本で、東国三つ葉ツツジは10本のある。(5月)
ミヤマハコベ(ナデシコ科)
深山ハコベで山の沢筋などの湿った所に多い。花弁は5枚だが、2裂するので、10枚に見える。(5月)
マタタビ(マタタビ科)
疲れた時、この果実を食べると、また旅ができる説と果実に虫こぶができたものをアイヌ語でマタタムブということから説がある。雌雄異株で写真は雄花が3個ずつ付く雄株である。雌株には雌花や両性花(雌しべ、雄しべを持つ)が1個ずつ付く。熟したと思われた果実を食べたことがあるが、辛くて口中がヒリヒリした。食べるならお土産屋にある瓶詰めがいい。(6月)
マタタビの葉
葉が白くなる性質もある。花が葉に隠れて見えないので、虫に花のありかを知らせる役目といわれ、実がなるころには消える。葉の間に雄花が見える。