不老山の花々 2021.4.11
不老山の花
不老山は丹沢山塊の西部にある928mの山である。この山で有名なのは富士周辺に咲くサンショウバラで、その花の咲く時期5~6月はにぎわうというが、4月は特に見るべきものはなかった。道は樹林帯の中で、ほとんど花は無かったが、下りの林道で、少しではあったが見ることができた。
アケビ(アケビ科)
果実が割れた開け実がアケビになったといわれる。中央の赤紫の花が雌花で、その他沢山のクリーム色の花が雄花である。葉は5枚に見えるが、これで1枚の葉。5枚に分れている葉を小葉という。
ミツバアケビ(アケビ科)
三つ葉アケビで小葉が3枚に分れている。この写真では葉が見えないが、アケビとの違いは雄花、雌花とも黒紫色の花を付ける。なお、これは萼片で、花弁はない。上部の萼片が大きい方が雌花、下部の小さい花が雄花。
タネツケバナ(アブラナ科)
種漬け花で、この花が咲く時期に稲の種を水に漬けて、田植えの準備をしたことから。田んぼのあぜ道から、山の方までかなり広い範囲で見られる。
マルバコンロンソウ(アブラナ科)
丸葉崑崙草で、最先端に付く小葉が丸いことからと、白い花は崑崙山脈に降った雪に例えたという。
サワギキョウ(キキョウ科)
沢桔梗で、沢筋のような湿った所に咲くキキョウということから。キキョウは漢名の桔梗をそのまま読んだもの。
ペラペラヨメナ(キク科)
葉が薄く、ペラペラして花が嫁菜に似ていることから。中央アメリカ原産で、各地に野生化している。山を降りてから、道端に咲いていた。
ヤマキツネノボタン(キンポウゲ科)
狐の牡丹は、葉の形が牡丹のようで、野原に生えていることから。特に茎に毛が多いものは山にあるので、山が付いた。キツネノボタンは道端や山すそなどの湿った所に生え、茎も葉も毛が少ない。
ナツグミ(グミ科)
夏グミで、夏に果実が熟するから。グミはグイミからの転訛で、グイは棘の多い木ということらしい。アキグミはもう少し遅く咲き、花柄が短い。
ジロボウエンゴサク(ケシ科)
次郎坊延胡索で、スミレを太郎坊、本種を二郎坊とし、距を絡ませて遊んだことから。距はスミレや本種に見られる後方に伸びた部分で、蜜を貯めるところ。延胡索は漢名から。
ミヤマキケマン(ケシ科)
深山黄華鬘で、深山に咲く黄色い華鬘。華鬘は仏殿に飾る華鬘に似ているから。
マムシグサ(サトイモ科)
蝮草で、下部の茎(本当の茎ではないので偽茎という)の模様が蝮を連想させることから。しかし、この写真では偽茎の模様が見えない。この種の仲間(テンナンショウ属)は変異が多く、まだら模様が無いものもあるらしい。また、地方による変異も多く、難しい。一応マムシグサとしておく。
キランソウ(シソ科)
諸説あり紫蘭草、紫藍草、金襴草などが転訛したといわれている。いずれにしろ色と形からついたと考えられる。別名で「地獄の釜の蓋」というのがあるが、地面に張り付いた形からといわれ、覚えやすい。
タチツボスミレ(スミレ科)
立坪菫で、庭などの囲われた所を坪というが、その様な所に見られるから。本来は、こちらがツボスミレだと牧野富太郎は言っているが、取り違えたらしい。
ミヤマハコベ(ナデシコ科)
深山ハコベで、山に咲くハコベということから。花弁の切れ込みが深いので5枚の花弁が10枚に見える。はこべはあたり一面にはびこることからという。
ヘビイチゴ(バラ科)
蛇苺で、赤い実を蛇が食べるということから。黄色い小さな花は、分かりにくいがヘビイチゴは分かりやすい。黄色の花弁の間に、尖った萼片が見えるが、その左側には丸い葉のようなものが見える。これを副萼片といい、ヘビイチゴの特徴である。
マメザクラ(バラ科)
豆桜で、花も葉も小さいことから。富士山周辺に分布するので、別名富士桜。花は垂れ下がるように下向きに咲く。
ヤマブキ(バラ科)
山吹きであるが、万葉集では、山振の字を用いている。これは風が吹くと揺れ動く様を表したものという。