鞍掛山・日向山の花
鞍掛山の名を知っていますか。山歴50年以上になるのに誘われるまで知らなかった。と言うより、知っている人がほとんどいないと思う。なぜなら形のいい眺めていい山でもなく、登って楽しい山でもなく、花が多い山でもない。しかも、尾根から少し外れた高みに過ぎないくらいだから。ではなぜ?と問われれば答えは一つ。甲斐駒ケ岳の絶好の展望台であるからだ。甲斐駒の展望台と言えば、北岳、仙丈ケ岳があげられる。が、ここからでは距離が遠く、形も釣鐘形で左右の広がりに乏しい。それなりに堂々とした美しさがあるが、……。しかし鞍掛山からは左右に広がった黒戸尾根、鋸山の尾根が翼を広げた大きな鳥のような姿が、間近に対面できる。
鞍掛山で検索すると、展望のことよりここに咲くクモイコザクラのことで登ることが多い事も知った。
日向山は鞍掛山の手前の山で、ここを通っても横を巻いても鞍掛山に行ける。
鞍掛山からの甲斐駒
頂上近くから
日向山山頂付近
鞍掛山までは樹林帯の中なので花に乏しく、ここに挙げた花はほとんど日向山山域で撮ったものである。また、この3年前に夏の日向山で撮った花も併せて掲載した。
アマドコロ(ユリ科)
ナルコユリによく似ているが、茎に稜がある。
イワタバコ(イワタバコ科)
タバコに似た葉を持ち、湿った岩場に生育。(2012.8.15)
オオカメノキ(スイカズラ科)
葉の形が亀の甲に似ているから。大きな白い花は装飾花で雄しべ、雌しべが無い。別名ムシカリ。
オオビランジ(ナデシコ科)
林道の岩場に、垂れ下がるように咲いていた。ビランジの意味は不明。(8.15)
タガソデソウ(ナデシコ科)
「他が袖草」で、白い花が香気にあふれ、和歌から連想されたという。
オオヤマフスマ(ナデシコ科)
衾(ふすま)は寝るとき身体をおおう夜具のことで、葉をそれにたとえた。別名ヒメタガソデソウ。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
葉の形が駒(馬)の爪に似ていることからで、スミレの中では唯一スミレの名を持たないスミレ。頂上の一角に咲いていた。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
銀竜草で、葉緑素を持たない腐生植物。やっと芽を出したところ。旧分類はイチヤクソウ科。
クモイコザクラ(サクラソウ科)
雲居小桜。ほとんど何もない樹林帯の中の岩場に咲いていた。これを目当てに来る人もいるとか。
クリンソウ(サクラソウ科)
数段に咲く花が、塔にある九輪を思わせるから。林道の湿った所に咲いていた。
コミヤマカタバミ(カタバミ科)
葉の片方が食いちぎられたようだから片喰み。
ミヤマエンレイソウ(ユリ科)
ユリ科の基本数3が、葉、萼片、白い花弁、雄しべ6、雌しべ3裂に表れている。別名白花延齢草。
ツルキンバイ(バラ科)
日向山の山頂付近に咲いていた。
ボタンズル(キンポウゲ科)
平地の道端にもよく見られ、白いのは萼片で、花弁は無い。ふさふさしたのは雄しべ。学名はクレマチス。(8.15)
ミツバツツジ(ツツジ科)
春の山ではお馴染み。雄しべは5本だが、関東周辺では雄しべ10本のトウゴクミツバツツジがある。
ミヤマハコベ(ナデシコ科)
5枚の花弁が深く切れ込んでいるので、10枚に見える。
ミヤマハタザオ(アブラナ科)
旗竿は真っ直ぐ直立する茎の形状から。
ヤマホタルブクロ(キキョウ科)
ホタルブクロより高地に咲き、萼片と萼片の間に付属片が無い。(8.15)
ヤマジノホトトギス(ユリ科)
ヤマホトトギスに似ているが、ヤマホトトギスは萼片(幅広い方…外花被)、花弁(幅が狭い方…内花被)が下向きに半曲する。萼片も花弁も同じ様なものは、外花被、内花被と表す。(8.15)
ユキザサ(ユリ科)
ササの上に雪が降った様子から。