燕岳・餓鬼岳の花(1)
燕岳は花崗岩の美しい山である。稜線に上がると白い砂礫で覆われ、その中に咲くコマクサの群落は白をバックに一層美しい。しかし、崩れやすい砂礫、水はけが良すぎるコマクサにあう環境は、他の植物にとっては厳しい状況になっている。したがって燕岳の植物は稜線下の斜面に広がっている。さらに、北燕岳から餓鬼岳にかけての稜線には所々お花畑が見られる。
燕山荘方向から見た燕岳
アカモノ(ツツジ科)
赤い果実をつけることから。その実はおいしい。別名イワハゼ。
アキノキリンソウ(キク科)
ベンケイソウ科のキリンソウのように美しいということから。
アリドウシラン(ラン科)
「蟻通し蘭」の意味で、葉の状態がアカネ科のアリドウシに似ているから。樹林帯の中に生育するので暗く、いつも良い写真が撮れないでいる。葉の様子もよく見えない。
イブキトラノオ(タデ科)
最初に伊吹山 で発見されたから。中部以北の山にはよくみられる。スイスの山でも見かけた。
ウサギギク(キク科)
花の下に付く葉が、ウサギの耳に見えることから。
コウメバチソウ(ニシキギ科)
旧分類はユキノシタ科。ウメバチソウの高山型で雄しべの先の分裂が少ない。
ウラシマツツジ(ツツジ科)
裏縞ツツジで葉の裏の縞模様から。花が終わり、果実になっていた。丈は低いが木本で秋には紅葉する。
ウラジロタデ(タデ科)
オンタデと見かけは同じだが、葉の裏に白い綿毛があるので白く見える。
ウラジロナナカマド(バラ科)
裏白ナナカマドで、標高の低いところにあるナナカマドは濃緑色で葉に艶があり、ギザギザ(鋸歯)も深い。もう少し高地のタカネナナカマドも艶があり、鋸歯も深いが果実は垂れ下がる。七カマドは七回かまどに入れても焼け残る程、燃えにくいから。
エゾシオガマ(ゴマノハグサ科)
北海道だけでなく本州中部、北部にも生育。シオガマの由来は、海水を煮詰めて塩を作る塩釜は浜で美しいので「葉まで美しい」という洒落から。
オオカメノキ(スイカズラ科)
葉が亀の甲に似ているから。もう、果実になっている。別名ムシカリ。
オオバコウモリ(キク科)
葉の形が蝙蝠の飛ぶ形をしているから。コウモリソウより大型。
オオヒョウタンボク(スイカズラ科)
花が2個並べて咲き、果実も2個接着するので瓢箪状になることから。
オクモミジハグマ(キク科)
奥紅葉白熊。モミジに似た葉を持つハグマで、ハグマはヤクの毛で作った飾り。花の形がこの飾り(払子という)に似ている。モミジハグマはもっと葉の切れ込みが深い。
オトコエシ(オミナエシ科)
黄色い花のオミナエシ(女郎花)に対しての名。
カニコウモリ(キク科)
葉の形がカニの甲に似ているから。
カメバヒキオコシ(シソ科)
亀葉引起こしで、葉の形が亀の甲と尻尾に似ている。引き起こしは、葉の苦さが起死回生の効力があるということから。
ガンコウラン(ガンコウラン科)
岩高蘭と書くが牧野図鑑には意味不明とある。勝手に推測すれば高い岩場の蘭か?ただしラン科ではない。花はほとんど目立たないが果実になると目立つし、美味しい。
カンチコウゾリナ(キク科)
ミヤマコウゾリナより花の下にある総苞(黒い部分)がより黒い。コウゾリナは、カミソリ菜で、茎や葉の剛毛が皮膚にさわると引っかかるから剃刀に見立てたことから。
キソチドリ(ラン科)
樹林帯の中に咲くので、薄暗く、写真に撮りずらい。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
葉の形が駒(馬)のヒズメに似ているところから。スミレの仲間で唯一スミレの名が付かない
クモマスミレ(スミレ科)
タカネスミレの変種で、北アルプスと中央アルプスに分布。葉が厚く、ツヤがある。日本で最も高所に生育している。
クサボタン(キンポウゲ科)
葉の形が牡丹のようだから。草本に見えるのでクサとつくが実際は木本で雌雄異株。花弁は無く、4枚の薄紫色の萼片が反り返っている。学名はクレマチス。