木曽駒が岳の花々(2) 2010.7.31~8.3
木曽駒が岳の花(2)
千畳敷カールから見上げた宝剣岳
中央アルプスには6つのカール地形があるといわれるが、その中で最大なのがこの千畳敷カールだ。カールとは氷河が削ったお椀の内側のような地形で、底に当たる部分は平らで植物も多い。ここまでロープウェイのゴンドラに乗って来れば日帰りでも高山植物を見ることができる。
コケモモ(ツツジ科)
登山道などによく見られ、果実から果実酒やジャムが造られる。
ゴゼンタチバナ(ミズキ科)
白山の最高峰、御前峰にちなむ。葉が輪生に見えるが、2枚の対生の間が詰まったもので、葉が6枚になると花が咲く。白いのは苞で、花は中心に集まっている。
コマウスユキソウ(キク科)
中央アルプスの固有種で、ヒメウスユキソウともいう。他のウスユキソウより小ぶりで頭花(黄色い花の集まり)の数が少ないのでこじんまりしている。
頭花の数が3~4個あるのがわかるが、エゾウスユキソウでは5~20、ハヤチネウスユキソウでは4~8個だという。
コマクサ(ケシ科)
花の形が駒(馬)の顔に似ているから。将棋頭山付近で群落になっていた。他の山のものと比べると一番赤い色をしていると思う。
サラシナショウマ(キンポウゲ科)
この花に会うと試験管ブラシを連想する。キンポウゲ科は毒草が多いが、茹でて水に晒すと食べられるようになる。
シナノキンバイ(キンポウゲ科)
大きな花なのでお花畑では目立つ。黄色いのは萼片で、花弁は細く雄しべに紛れて見えない。
ズダヤクシュ(ユキノシタ科)
ズダは長野県地方では喘息のことで、その薬として使ったことから。
セリバシオガマ(ハマウツボ科)
旧分類はゴマノハグサ科。エゾシオガマによく似ているが、葉の形をよく見れば違いがある。その他の違いを挙げると葉は柔らかく対生で、花は緑白色。樹林帯に生育。エゾシオガマは葉は厚く、互生で花は淡黄色。高山草地に生育。
センジュガンピ(ナデシコ科)
牧野図鑑によると名の由来は不明だが、一説には日光の千寿ケ浜で発見されたガンピに
似ているからという。
タカネグンナイフウロ(フウロソウ科)
郡内は山梨県の地名で風露の意味は不明。
タカネツメクサ(ナデシコ科)
葉が鳥の爪に似ているところから。
タカネトリカブト(キンポウゲ科)
トリカブトの分類は難しい。生育地が違うだけで種も変わってくる。木曽駒が岳の目録によりタカネトリカブトとした。特徴は本州の高山に生育し、葉は深く5裂、花数は1~10,花柄、雄しべ、雌しべは無毛とのこと。
タカネヨモギ(キク科)
葉が非常に細かく分かれる特徴があり、分かりやすい。
タマガワホトトギス(ユリ科)
谷川沿いの道でよく見かける。黄色をヤマブキの名所である京都の玉川の名を借りたという。
チシマギキョウ(キキョウ科)
萼片や花の裂片の縁に毛が多く、よく似たイワギキョウには毛が無い。萼片の形も違う。
チングルマ(バラ科)
丈は小さいが木本であり、秋には紅葉する。稚児車が語源で、花の丸い形からだとか果実のついた様子が子供の遊ぶ車のようだといわれる。
クルマバツクバネソウ(シュロソウ科)
旧分類はユリ科。「車葉衝羽根草」で8枚の輪生している葉が車状になっていることから。先端の花は4枚の萼、その間に細く垂れ下がっている4本の花弁、子房を取り囲む8個の雄しべからなっている。
ツマトリソウ(サクラソウ科)
花弁の縁を薄紅色でつまどることからだが、ほとんど白色。やっと出会ったその例は、礼文島の花(3)にある。
ハイマツ(マツ科)
高山帯に地表を這って生育する松だが、風の弱いところでは多少上にも伸びる。葉は5本が1束になった五葉松。写真は雄花の集まりが花粉を出している。雌花はここには写っていない。
ハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
高山帯の草原ではよく見るお馴染みの花。花弁は無く、白いのは萼片で、多くは5枚だがこの写真では6枚のものが多く写っている。学名はアネモネ。
ハクサンボウフウ(セリ科)
セリ科は似たものが多く、区別しにくいので、葉の違いを見ておく。
ハクセンナズナ(アブラナ科)
白鮮薺で、花がミカン科の白鮮に似ているから。とはいえ、ヨーロッパ原産の白鮮は見たことがない。花穂の下部には細長い果実が見え、中部のブラシ状に見えるのは長い雄しべである。