北岳の花(2)
御池小屋付近から見上げたバットレス
山頂から東に張り出す岸壁ーバットレスー。手前の草すべりは高山植物が豊富だ。
ヒメイチゲ(キンポウゲ科)
姫一華で名前のように、先端に1個の2cmぐらいの花をつける。白いのは萼片で、花弁は無い。ヒメ(姫)とつくものは小さく、可愛いことの形容。
ハクサンイチゲ(キンポウゲ科)
こちらも一華だが、先端に数個の花をつける???。白いのは萼片で、花弁は無い。咲き終わると花柄が30cmぐらい伸びるが、エゾノハクサンイチゲは8cmぐらいしか伸びないそうである。
ミツバオウレン(キンポウゲ科)
三葉黄連。下の方に三つ葉が微かに見え、黄連は漢名。白いのは萼片で、花弁は黄色い密槽になっている。中心部にはタツノオトシゴの様な雌しべが…。
ミヤマオダマキ(キンポウゲ科)
周りに広がっているのは萼片で、花弁は中に白く見える。上に伸びて先が丸まっているのは距といい,花弁の後方に突出し蜜をためている。苧環(おだまき)は麻糸を中が空洞になるように巻いたもの。
ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)
白いぼんぼりは雄しべで花弁は無く、萼片は早く落ちる。雌しべは数個中心にある。雄しべの集まりが落葉松の葉の付き方を思わせる。
シナノキンバイ(キンポウゲ科)
信濃金梅だが、本州中部以北の山にある。黄色いのは萼片で5~7枚付く。バラ科のミヤマキンバイと混同しないようにシナノキンバイソウと表記する図鑑もある。
大きな5枚の萼片だが、一部が祖先の状態を思わせるような色になっている花。内部の色の濃い舌状のものが花弁で十数個ある。先に葯(花粉を入れる所)をつけたのが雄しべで数十本あり、雌しべは中心部に多数ある。
ミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科)
シナノキンバイと間違う人がいるが、こちらの方が花が小さく、金属光沢をもっている。
クサボタン(キンポウゲ科)
草というが木本であり、葉が牡丹のようだから。雌雄異株(雄、雌が分かれている)で学名はクレマチス。
キタダケトリカブト(キンポウゲ科)北岳固有種
トリカブトの分類は難しいが、これは間違うことは無い。北岳にだけ(!!)あり、高さ約50cmぐらいで、高さに対して花が大きいので頭でっかちに見える。
ホソバトリカブト(キンポウゲ科)
こちらは南アルプスによく見られる細葉鳥兜とした。
レンゲショウマ(キンポウゲ科)
蓮の花を思わせるので蓮華、升麻はサラシナショウマなどの形から。周りに広がる萼片、その内部に重なる花弁は多数。雄しべ、雌しべが少し見える。
クガイソウ(オオバコ科)
旧分類はゴマノハグサ科。3~8枚の輪生の葉が数段につくので九蓋草、又は九階草。
シナノヒメクワガタ(オオバコ科)
ヒメクワガタの変種で南アルプス、中央アルプス、北アルプス南部に分布する。ヒメクワガタの果実の先がへこむのに対し、本種はへこまない。(そのぐらいどうでもいいと思うけど)旧分類はゴマノハグサ科。
ヒメコゴメグサ(ハマウツボ科)
旧分類はゴマノハグサ科。別名コバノコゴメグサ。茎に腺毛や白毛がある。小さな白い花を小米にたとえた。
エゾシオガマ(ハマウツボ科)
旧分類はゴマノハグサ科で、花がねじれて咲く。
セリバシオガマ(ハマウツボ科)
一見エゾシオガマによく似ているが、葉の形が全く違う。それに、前者は稜線上の日当たりの良いところに生育するが、これは樹林帯の中に生育。
トモエシオガマ(ハマウツボ科)
前2種と同じ様にねじれて咲くが、上から見ると巴形になっていることから。花は先端に集まって咲く。
ヨツバシオガマ(ハマウツボ科)
4枚の葉が輪生、花が数段に付き、鳥の頭に似た上唇の先が尖る特徴。鳥の首が白いのを特にクチバシシオガマということもある。
タカネシオガマ(ハマウツボ科)
ヨツバシオガマに似るが、上部に集まって咲き、鳥の頭のような花弁の先が尖らない。
ミヤマシオガマ(ハマウツボ科)
花が先端に集まっていることや、葉が細かく分かれている特徴。ヨツバシオガマやタカネシオガマよりも数が少ない。
アカイシミヤマクワガタ(オオバコ科)
旧分類はゴマノハグサ科。ミヤマクワガタと同じだが、特に赤紫色になったものをいう。南アルプスで見られる。
ミソガワソウ(シソ科)
木曽の味噌川に多くあったことからの命名。河原などの水気の多い所に生育。
イブキジャコウソウ(シソ科)
伊吹麝香草で、全体に良い香りがする。実際に乾燥したものを薬用、香料として用いる。ハーブとして使われているミント、バジル、タイムなどもシソ科である。
ジャコウソウ(シソ科)
こちらも麝香草で、茎葉をゆすると良い香りがするから。谷川沿いの湿った所に生育。
コウシンヤマハッカ(シソ科)
甲信地方に多いので甲信山薄荷。こちらは薄荷の名前があるにも関わらず良い匂いはしない。大樺沢の樹林帯の中で見られる。