浅間山の花(1)
浅間山はと聞けば、どんなイメージを持つだろうか。赤茶けた溶岩の山。草木もほとんど生えない殺伐とした山。時々噴火する山。(実際、この山行の翌日小噴火した。アブナイ、アブナイ)……。
山頂(前掛山)
本来の山頂は立ち入り禁止になっており、前掛山まで。
確かに岩石だらけで、その間に植物が点在する、殺風景な山頂付近である。ちなみにこの植物はオンタデ(タデ科)である。
この山に登ったのも、植物目当てではなかった。日帰りで、高山気分が味わえる所と思われ、ふらりと行ってみた。
しかし、その麓の天狗温泉(浅間山荘)から湯の平までは樹林帯の中を歩き、数は少ないもののそれなりに花を見ることができた。
湯の平からの黒斑山方面
右下はマルバダケブキ
カワラマツバ(アカネ科)
河原松葉で、河原に多くはえ、葉が松葉に見えるところから。
コメススキ(イネ科)
小さな花を米に似せたから。イネ科は似たものが多くて判別に迷うが、これは分かりやすい。それに、他の植物が生えない様なやせた場所に見られる。
グンバイズル(オオバコ科)
果実の形が軍配の似て、茎は蔓になって這っている。下部に雌しべの柱頭を残した果実が見える。旧分類はゴマノハグサ科。
イワオトギリ(オトギリソウ科)
地域的にはシナノオトギリもあるが、葉に黒点が見られるのでイワオトギリとした。
シナノオトギリは葉の縁に黒点がある。弟切草とは少し物騒な名前だが、それは…。
ハクサンオミナエシ(オミナエシ科)
白山女郎花で、白山で見られたから。白い花を付けるオトコエシに対し優しいからオミナエシ。エシの意味は不明。
よく見ると、花冠のつけ根に小さな突起があるが、これを距といい蜜を貯める。
ガンコウラン(ガンコウラン科)
岩高蘭だが、意味不明とある。しかし、高い岩場にあるという部分には少し理解できる。但し、ランではないが…。写真では少し果実ができかかっているが、熟した果実は紫黒色で美味しい。
ヒメシャジン(キキョウ科)
姫沙參で沙參はツリガネニンジン一般を指す漢名。姫は小さくて可愛いものの形容。
ウスユキソウ(キク科)
薄雪草で、淡白色の葉を薄く積もった雪に例えたもの。中央に10個前後の頭花(小さな花が集まったもの)がある。
タカネニガナ(キク科)
高嶺苦菜でニガナの高山変種。茎や葉に苦みのある白い乳液を含んでいる。
マルバダケブキ(キク科)
丸葉岳蕗で、丸い葉と山にある蕗というこから。花も葉も大きく、よく目立つ。
頭花(花の集まり)は径8cm位あり、周りに10個位の舌状花(花弁が舌のように見える)と内部には沢山の筒状花からなる。丸まった角のようなものは小さい花の雌しべである。
カラマツソウ(キンポウゲ科)
白い花が落葉松の葉のようだから。ちなみに白いのは雄しべで花弁は無い。萼片は早く落ち、雌しべは見えない。
クサボタン(キンポウゲ科)
草牡丹で、葉が牡丹に似ているから。草というけれど木本である。
キバナヤマオダマキ(キンポウゲ科)
黄花山苧環で、苧環は苧手巻で麻糸を中空になるように巻き付けたもの。大きなものは萼片で、黄色いものが花弁。花弁の後ろが伸びて曲がっているものが距といって、蜜を貯める。
ウツボグサ(シソ科)
弓矢を入れる靭(うつぼ)に似たところから。
ミヤマタムラソウ(シソ科)
花冠に毛をつける特徴から、ケナツノタムラソウの名も。薄青紫のものに対して白い花はシロバナミヤマタムラソウ。長い雄しべも目立つ。
シュロソウ(シュロソウ科)
葉の根元が、シュロの葉を剥いだようになることから。3枚の萼片と3枚の花弁は色も同じで区別しにくいので、6枚の花被片と表したり、外花被と内花被と表したりする。旧分類はユリ科。
シシウド(セリ科)
猪が食べそうな強剛な姿から。但し、食べられるウドはウコギ科。
ハクサンサイコ(セリ科)
似たような花が多いセリ科では、黄色の花を咲かせる本種は分かりやすい。柴胡は漢名から。
ハクサンボウフウ(セリ科)
防風は漢名から。ハクサンボウフウは葉の形の変異が多いので自信が無い。