筑波山
筑波山は男体山(871m)と女体山(877m)の二つのピークを持つ、日本百名山の1つである。個人的には、百名山に選ぶのは少し格が落ちると思っているが、深田久弥はその歴史的な価値を認めて選定した。
植物も固有種や希少種が生育し、それなりの面白い山といえる。
鞍部からの男体山
ユリワサビ(百合山葵)アブラナ科
根がユリ根に似ていることから。でも細くて利用できない。
ミヤマカタバミ(深山片喰)カタバミ科
葉の片方が、虫にかじられた様に凹んでいるので片喰。
キブシ(木附子)キブシ科
ヌルデの虫こぶから造る附子(五倍子とも)をこの木からも採れるので木附子。五倍子はタンニンが造れるので昔はお歯黒などに使われた。
キクザキイチゲ(菊咲一華)キンポウゲ科
菊のような花を咲かせることから。菊咲一輪草ともいう。花弁が無く、萼片が10~13枚あり、日が当たると開く。白と薄紫色が見られる。
トウゴクサバノオ(東国鯖の尾)キンポウゲ科
果実が鯖の尾びれの様な形になることから。関東地方にはえるから東国とついたが、関東以西九州にまで分布するという。白いのは萼片、花弁は黄色い蜜腺になっている。
ニリンソウ(二輪草)キンポウゲ科
花柄が2本あり、2つの花をつけるから。しかし、3本でることもある。また、2本同時に咲くとも限らない。5枚の白い花弁状の萼片があり、花弁は無い。
アブラチャン(油瀝青)
チャン(瀝青)とは自然界に存在する油性分の様なもの。燃えやすいので、油にさらに瀝青を加えた名。
ミミガタテンナンショウ(耳形天南星)サトイモ科
テンナンショウ属はむずかしいので、断言しかねるが、仏炎苞(上部の暗紫色の筒状のもの)の縁が左右に耳のように張り出すから。
エンレイソウ(延齢草)シュロソウ科
薬草として効き目があるからと言われているが、はっきりしない。確かめてから使わないと逆に命が短くなるかも。花弁は無く、萼片は緑色で、暗紫色の縁取りがある。
ウグイスカグラ(鶯神楽)スイカズラ科
鶯の鳴く頃咲くなど、諸説あってはっきりしない。鶯と神楽を結び付ければ、何でもあり。ウグイスカズラと間違う人も時々いる。
アオイスミレ(葵菫)
中央に見える丸い葉の形が、名の由来。フタバアオイの葉によく似ているから。葉裏に毛も多い。
エイザンスミレ(叡山菫)スミレ科
比叡山に見られたことからだが、各地で見かける。細く裂けた葉が特徴。
タチツボスミレ(立坪菫)
坪は庭のような所で、どこにでも見られる。
ナガバノスミレサイシン(長葉菫細辛)スミレ科
スミレサイシンは日本海側に分布。細辛はウスバサイシンの葉に似ているから。
フモトスミレ(麓菫)スミレ科
麓に咲くからというが、山中でもよく見かける。
ヒトリシズカ(一人静)センリョウ科
一人静かに咲いている‥じゃ、なく、義経の愛人、静御前が舞ってる姿に例えた。
花弁や萼片は無く、白いのは雄しべ。
ハルトラノオ(春虎の尾)タデ科
花穂を虎の尾に例えたが、虎の尾を有する他のものものより、ずっと小さい尾。
ヒナワチガイソウ(雛輪違草)ナデシコ科
ワチガイソウに似ているが、花弁や葉も細い。自生地は茨城、千葉、東京、三重など、点々としている稀産種。小さくて気がつかなかったが、モミジイチゴを撮っている時に下に咲いていた。
輪違草とは名前の分からない花を、輪違の印のある鉢に植えておいたことによる。輪違は2つの円を少しずらした形。
ミツバツチグリ(三つ葉土栗)バラ科
地下茎が食べられる土栗に似ているが、食べられない。土栗は西日本に分布。
モミジイチゴ(紅葉苺)バラ科
葉がモミジ形の木苺。下を向いて咲くので、写真には撮りずらく、いつも苦労している。果実はオレンジ色で、美味しい。
ヤマザクラ(山桜)バラ科
筑波山の山腹を見ると、けっこう多い。ヤマザクラは花と葉が同時期に付く。ソメイヨシノができる前はこちらが主役だったのだが‥。
ミヤマシキミ(深山樒)ミカン科
枝葉がシキミに似ていることから。雌雄異株なので、いくつか花をチェックしたら9割方雄株だった。雄ばっかり多くて‥。
カタクリ(片栗)ユリ科
古くはカタカゴとかカタゴといった。それは花の形が、傾いた籠ということらしい。
地中にある鱗茎(いわゆる球根)が、栗の種子の半分に似ているからと言われていたが、牧野富太郎は当てはまらないという。