茅が岳の花1
中央本線の甲府を過ぎてから、北側の車窓にいくつものピークを持った山が見えてくる。中央に最高峰の赤岳、左に権現岳……。あれ!ちょっとスケールが小さい…。そう、八ヶ岳によく似た茅が岳で、よくニセ八ツといわれる。また、日本百名山の著者の深田久弥が登山中に亡くなった(1971.3.21)山としても知られている。登山道も特別困難な所もなく、日帰りのコースとして楽しめる山である。
見られる花も特に多いということもないが、春にはそれなりに咲いていた。
ニセ八ツといわれる茅が岳
(太刀岡山より)2020.12.5
深田久弥終焉の地
アケビ(アケビ科)
果実が熟すと裂けて白い肉を現すから開け実で、アケビになったという。右下に萼片がピンク色で太い雌しべがあるのが雌花。その他の白い萼片で、バナナのような雄しべがあるのが雄花。共に花弁は無い。
ミヤマハタザオ(アブラナ科)
茎が真っ直ぐ伸びて、先端に花を付けるので旗竿。
センボンヤリ(キク科)
秋に花が開かない閉鎖花を付けるが、それが林立する様子を槍に例えたもの。
ニリンソウ(キンポウゲ科)
二輪草で茎頂に2つの花を付けるから。同時に咲くとは限らず、花茎の元にはもう一つの蕾が付いている。
アブラチャン(クスノキ科)
チャンとは瀝青のことで、瀝青とは自然に産する油性分。この木の果実や樹皮に油性分が多いので、更に油をつけた。
ムラサキケマン(ケシ科)
華鬘(けまん)は仏殿などに飾る装飾品で、花の形が華鬘に似ていることから。ヤブケマンともいう。
ユキヤブケマン(ケシ科)
雪藪華鬘、ムラサキケマンの白花株で初めて見た。花弁の先だけが紫色をしたシロヤブケマンというのはもう少し見かける。
ミヤマキケマン(ケシ科)
山にあり、花色が黄色いので深山黄華鬘。ミヤマが付かないキケマンは海岸近くに多く、全体に大きい。
ヤマエンゴサク(ケシ科)
山延胡索で、延胡索はこの種の漢名。花弁の後方に延びている物を距といい、蜜をためるが前3種にも共通してある。
ワラビ(コバノイシカグマ科)
花の咲かないシダは興味がないが、このシダは食べられるので、知っていて損はない。いざという時に食料になるが、アクが強くそのままでは食べられない。水でよく煮て食べてみたがひどい目にあった。木灰などのあく抜きと一緒に煮て、充分水に晒さないとダメです。
マムシグサ(サトイモ科)
茎がマムシのような色とガラなので蝮草。花茎を包むものを仏炎苞といい、サトイモ科に特有なもので、水芭蕉の白い仏炎苞は特徴的。マムシグサは変異が多く、難しい種で、普通は仏炎苞も黒紫色だが、緑色もあるというので一応マムシグサにしておく。
ミヤマエンレイソウ(シュロソウ科)
深山延齢草で、薬草として使われたことから。シロバナエンレイソウとも言われる。花弁が無く、萼片が黒紫色の延齢草の方が多く見かける。旧分類はユリ科。
サクラスミレ(スミレ科)
桜菫で、色が桜色で花弁も大きい。花弁の先が少し凹んで桜の花弁を思わせるような物も多い。
タチツボスミレ(スミレ科)
立坪菫で上方に茎を伸ばし、坪(庭)に咲くから。一番目にする菫である。
ヒナスミレ(スミレ科)
雛菫で、小さく、愛らしいことから。葉の元が大きく湾曲した形が特徴的。
マルバスミレ(スミレ科)
丸葉菫で葉の形から。