牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山・黒岳の花
大菩薩連山を南にたどると小金沢山、牛奥ノ雁ヶ腹摺山、黒岳と続く。ほとんどが樹林帯で、お花畑なども見られず、花を楽しむ山行とはならない。ここで紹介する花も11種に過ぎず、寂しい限りだが、2000m級の山々なので、もう1ケ月もたてば、もっと増えていくと思われる。ただ、ここでは花ではなく、山に主題を置いた。それは山名です。表題の山、牛奥ノ雁ケ腹摺山、漢字、カタカナ併せて8文字、ローマ字表記にすれば26文字。これは日本で一番長い名前の山と言われています。形の良い山、登り甲斐のある山、花が沢山見られる山、等々山にはいろいろありますが、名前で知られた(知らない人も多い?)山です。
湯の沢峠方面からの黒岳
コミヤマカタバミ(カタバミ科)
小深山片喰。低山で見られるミヤマカタバミより小型ということから。3枚のハート形の小葉(1枚の葉が数枚に分かれた葉のこと)の角が丸い。ミヤマカタバミはもう少し、尖っている。ちなみに片喰とは小葉の外側が凹んでいて、片方だけ食べられた形という意味。
バイカオウレン(キンポウゲ科)
梅花黄連だが、葉が写っていない。初めは上記のカタバミの様に葉が3枚の小葉のからなるミツバオウレンだと思って掲載したが、ミツバオウレンの萼片(白い花弁状のもの)はもっと細いことに気が付いたので、訂正した。葉を含めた全体の姿も撮っておくべきだった。小葉が5枚のバイカオウレン(ゴカヨウオウレンともいう)は名のように梅の花のような形。白色5枚の萼片と、黄色い5本のスプーン形の花弁、多数の白い雄しべ、数個の雌しべが見られ、花弁は蜜を出す蜜槽になっている。
ツクバキンモンソウ(シソ科)
筑波金紋草で、筑波は発見地から。金紋は葉が美しいことを表す言葉から。花冠は5裂しているが上の2裂は非常に短く、ほとんど見えない。よく似たニシキゴロモ(金紋草ともいう)は2~3mmぐらいあり、日本海側に多い。
エゾノタチツボスミレ(スミレ科)
蝦夷の立坪菫。蝦夷と付くと北海道に生育しているものが多いが、東北地方や、中部以北の高山に生育するものもある。平地に見られるタチツボスミレより丈が高く、花数は少ない。花色は白から淡紫色まで変化がある。
スミレ(スミレ科)
スミレという名の前に何もつかないスミレ。平地に見られるスミレより、丈は低く、葉も短い。自然環境の厳しい山地で、適応した形ではないかと思う。
クリンユキフデ(タデ科)
九輪雪筆の意味で、葉が茎に層をなして生えるので九輪(九層)、白い花を付ける花穂を雪筆にしたらしい。
ワチガイソウ(ナデシコ科)
輪違草で、昔、名前のわからない物を輪違印の付いた鉢に植えて置いたところからついたといわれる。輪違印とは重ねた2つの輪を少しずらした印。よく似たヒゲネワチガイソウは 花弁も細く、5~ 7枚で、上部の2対の葉も接近して輪生のようである。また、花茎も先端から伸びるが、これを頂生という。本種は葉の脇から出るので、腋生という。
シロバナノヘビイチゴ(バラ科)
白花の蛇苺で、ヘビイチゴは黄色だが、白花を付けるから。人には食えないが蛇には食べられるから蛇苺と言われるが、本種はストローベリーと同じ仲間で、美味しく食べられる。標高の低い所に生育するものより、葉が厚く、毛深いようだ。
タカネザクラ(バラ科)
高嶺桜で、標高の高い所に咲く。赤い葉や、鋭く伸びた葉の先も目立つ。ソメイヨシノより、一回り小さい。
ミツバツチグリ(バラ科)
ツチグリという、生のままで食べられる根を持つ植物があるが、それに似て根が塊りになっている。しかし、本種は硬くて食べられない。小葉が3枚なので、三つ葉がついた。普通は平地や山野に生えるが、高山にまで分布するという。
フデリンドウ(リンドウ科)
筆竜胆で、筆の形に似ていることから。竜胆は漢名で、日本式に読むとリンドウとなった。