木曽駒ヶ岳の花(1)
駒ケ岳という名が付く山は、結構多い。百名山の中にも、会津駒ケ岳、越後駒ケ岳、甲斐駒ケ岳などがあるが、中央アルプスの最高峰も駒ケ岳である。そこでこれも前例と同じように木曽駒が岳という。
山容も大きく、千畳敷以下数個のカール地形もあり、植物も多い。千畳敷はゴンドラを使って手軽に行け、高山植物も見ることができるし、もうひと頑張りすれば2956mの山頂へも登ることができる。この山の固有種としては、コマウスユキソウ、コケコゴメグサがある。
乗越浄土からの千畳敷カール
アオノツガザクラ(ツツジ科)
緑白色のツガザクラ。栂の葉に似ているから。
ツガザクラ(ツツジ科)
こちらが本家のツガザクラで、薄いピンク色の花を桜に例えた。
イワツメクサ(ナデシコ科)
葉が鳥の爪に似ているから。花弁が10枚に見えるが、5枚の花弁が深く2裂しているから10枚に見える。
イワヒゲ(ツツジ科)
名のように岩に生えた髭のよう。
ウサギギク(キク科)
2枚の葉がウサギの耳に似ているから。この写真では花が両手を出して踊っているような…。
ウド(ウコギ科)
若い葉と茎は食べられる。ウドの由来は不明。
ウラシマツツジ(ツツジ科)
葉の裏が縞状になっているから。木本なので紅葉する。花を見るには初夏に行かなければならない。
ウラジロナナカマ(バラ科)
ナナカマドの中では一番高地に生育。表面もナナカマドよりもやや白っぽい。艶が無く、葉の鋸歯(ぎざぎざ)も小さく少ない。
エゾシオガマ(ハマウツボ科)
旧分類はゴマノハグサ科で、花がよじれて横を向いてさく。
オオバタケシマラン(ユリ科)
「大葉竹縞蘭」で葉裏が竹の縞模様になっているから。花柄の途中がよじれているが、タケシマランは全体的に小さく、花柄もよじれない。なお、ラン科ではない。
オサバグサ(ケシ科)
「筬葉草」で筬(おさ)とは機織りに使う櫛の歯のようなもの。葉が機織りの筬に似ている。葉だけを見るとシダ植物に間違えそう。もう、花期が終わりで花がほとんど残っていない。
オタカラコウ(キク科)
雄宝香で雌宝香より大きい。宝香の意味は不明。葉の基部の広がりはメタカラコウのようには尖らない。
オンタデ(タデ科)
木曽の御嶽山(おんたけさん)に産するタデということから。
キバナシャクナゲ(ツツジ科)
枝は上に伸びず斜上するので、地面の上に咲いているように見える。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
高山で見る黄色いスミレはほとんどこれで、葉が駒(馬)のヒズメに似ているところから。葉は薄くて光沢が無い。
クモマスミレ(スミレ科)
タカネスミレの変種で、中央アルプスと北アルプスに分布。葉が厚く、ツヤがある。日本では最も高所に生育している。
キバナヤマオダマキ(キンポウゲ科)
上に伸びているものは距といい、花弁の一部が鳥のけづめのように基部近くから突出したもので、蜜を貯めている。横に広がっているのが萼片。オダマキは麻糸を中が空洞になるように巻いたもの。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
銀竜草で旧分類はイチヤクソウ科。葉緑素を持たない腐生植物で別名ユウレイタケ。これはもう花期が終わり果実になっている。
クモマニガナ(キク科)
葉が細いタカネニガナの変種でこれは葉が少し広いへら状。
クロクモソウ(ユキノシタ科)
花の色から黒雲を連想され、水気の多いところに生育。
ミヤマクロユリ(ユリ科)
北海道の林間に生えるクロユリより小さいのでミヤマクロユリとしたが、区別しない場合もある。
コイワカガミ(イワウメ科)
葉に艶があり、鏡のようだから。イワカガミより小さく、花数も少ない。