御岳山(奥多摩)の山の花々 2019.8.26
御岳山の花
おんたけさんと読むと木曽の御嶽山になるが、これはみたけさん、あるいはミタケと呼ぶ。929mの山でケーブルカーもあり気軽に登れる。しかし、それでは花も少ししか見られない。是非下から歩いて登ってほしい。
頂上付近から覗く奥の院(1077m)
オオバノヨツバムグラ(アカネ科)
大葉の四葉葎で見ての通り。葎(ムグラ)は雑草の総称で、葉の数、形、大きさにより数種ある。
タマアジサイ(アジサイ科)
上部と右側にあるように蕾が丸いので、玉あじさい。葉も厚く、ザラザラしているので蕾が無くてもわかりやすい。
オトギリソウ(オトギリソウ科)
オトギリソウの分類は難しく、各地に変種や品種がある。奥多摩にあるのはオトギリソウとコオトギリソウらしい。目安となる一つには葉や花弁にある黒点である。これは、兄が弟を切った時に飛び散った血痕だという。恐ろしや…。恐ろしや…。写真では葉の縁に多く、花弁にもみられる。丈が50cm以上あったので、一応オトギリソウにした。
オトコエシ(オミナエシ科)
黄色い花のオミナエシ(女郎花)に対し、強剛なのでオトコエシ(男郎花)。エシの意味は不明。でも最近は強剛な女郎花も多くみかける。いえ、人間ではなく…。
ソバナ(キキョウ科)
岨(そば)菜で、岨とは山地の急な斜面のことでそこに生育するから。菜は食べられる葉を言う。稜のある種子から作る蕎は蕎麦の略で、岨と同じ意味である。
ツリガネニンジン(キキョウ科)
釣鐘人参で、花が釣鐘、根が朝鮮人参に似ていることから。花穂や葉が輪生状に付く。
ツルニンジン(キキョウ科)
蔓人参で根が朝鮮人参のように太く、茎が蔓になっているから。別名、爺さんのソバカスという意味のジイソブ。
オヤマボクチ(キク科)
雄山火口で、葉裏の白い毛を集めて火口(最初に火を付ける)とし、ヤマボクチよりいかついから雄をつけた。これはまだつぼみで、秋に暗紫色のアザミのような花を咲かす。
ガンクビソウ(キク科)
雁首草で、細い茎から急に太くなるとともに曲がっている様をきせるの雁首に見立てた。
ナガバノコウヤボウキ(キク科)
長葉の高野箒で、高野山で箒に使うコウヤボウキより葉が長いから。コウヤボウキはその年に出た枝の先に花を付けるが、本種は葉ごとに花を付けるので並んだようになる。
ヤマトリカブト(キンポウゲ科)
山鳥兜で、鳥兜は雅楽の時、伶人がかぶる冠に似ているから。トリカブトも地域によって多種多様であるが、奥多摩はヤマトリカブトのようである。猛毒を持つ植物として有名で、丁度、花のつくりが分かる写真が撮れたので、ここにあげた。萼片は5枚あり兜状の頂萼片と、左右にある側萼片、下に付く2枚の下萼片である。花弁は2枚あり、兜の内側に隠れて、柄の先に付いており、先が距になって蜜を出す。側萼片の間に黒っぽいひげ状の多数の雄しべ、その中に3個の雌しべがある。
レンゲショウマ(キンポウゲ科)
蓮華升麻で花は蓮華、形は升麻に似ているから。大きく広がっているのは萼片で小さいお椀形のものが、花弁。御岳山にはレンゲショウマの大群落があり、これを見に来る人も多い。
多数の花弁、雄しべの中に少数のめしべが見える。
クサノオウ(ケシ科)
草の黄で諸説ある。黄色い汁を出すからとか、丹毒(くさ)を直すから、草の王だからなど。有毒植物だが薬用でもある。
シュウカイドウ(シュウカイドウ科)
秋海棠で、花色がバラ科のカイドウに似て、秋に咲くことから。江戸時代初期に園芸用として持ち込まれたのが、各地に野生化したもの。初めて見た時は何か違和感を感じたが帰化植物と聞いて納得。咲いている2つの花は雄花で、大きな2つの萼片と小さな2つの花弁、多数の雄しべがある。学名はベゴニア。
ミヤマタニソバ(タデ科)
深山谷蕎で日の当たらない所に生育する。
ハエドクソウ(ハエドクソウ科)
蠅毒草で、根のしぼり汁を紙にしみこませて蠅取紙にしたことによる。この植物は撮影者泣かせで、全体を撮ると花(5~10mm)が分からず、花を撮ると葉の様子がわからない。そこで、花のアップを下に
ハエドクソウの花
ワレモコウ(バラ科)
吾木香で諸説あるが、木香(キク科の植物)に古くから日本の木香という意味で吾木香という名があったが、この植物に移ってしまったと考えられる。また、赤い花が集まった時、吾もまた紅色であると言ったことで吾亦紅。
花に花弁は無く、赤いのは萼片。その中に4本の雄しべ、中心に雌しべがある。
マツカゼソウ(ミカン科)
草の姿に趣があるので松風草。ミカン科の植物には匂いがあるものが多く、本種も匂いがある。
マツカゼソウ・花
花弁は4枚、雄しべは7~8本、雌しべの下部には4室の子房が見え、4個の果実になる。
ミヤマシキミ(ミカン科)
枝、葉がシキミ(マツブサ科)に似ているから。シキミと同じく有毒植物である。
オニドコロ(ヤマノイモ科)
鬼野老で、地下茎に出るひげ根を、老人の髭に例えて野老と書く。食用にもできるが苦いそうである。雌雄異株で写真は雌株の雌花。子房も大きく成長し、3枚の翼がある果実になっている。6枚の花被(萼片と花弁)が残っているものも見える。
ミヤマウズラ(ラン科)
深山鶉で、葉の斑点を鶉(うずら)斑に例えた。葉に斑点が出ないものはアオミヤマウズラという。ラン科は花の形からチドリやサギのような、鳥から名付けられたものがあるが、鶉のように可愛いからだと思っていた。