yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

越上山・顔振峠(奥武蔵)の山の花々  2018.4.10

越上山・顔振峠の花

春にのんびりと低山を歩いてみたいと思い、西武秩父線沿線の山に決めた。沿線の西側の武甲山は有名だが、東側の越上山(おがみやま)の名を知らなかった。越上山(566m)の山並みは樹林帯で見るべき物はなかったが、登山口までの道路脇や顔振峠から下の集落までの間に、山里の春の花が咲いていた。このブログは山の花としているが今回は、山里の花と言い換えた方がいいのかもしれない。

顔振峠から西方を望む。正面奥は武甲山

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顔振峠から

アケビ・雌花(アケビ科)

果実が割れるから開け実、それがアケビとなったといわれている。雄花、雌花があるが、まず雌花。3枚の萼片があり、花弁は無い。写真では5本の雌しべが見えるが普通は3~6本、花粉がつきやすい粘性のある柱頭(雌しべの先端)がある。雌しべの元に小さい不稔の雄しべが見える。

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アケビ・雌花

アケビ・雄花

雌花より小形で6本の雄しべがあり、写真では見えないが、中心に雌花の痕跡がある。黒い部分が割れて、花粉を出す。

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アケビ・雄花

カントウタンポポ(キク科)

関東地方に普通なので関東蒲公英。1枚の花弁に見えるものが実は1個の花。先端を見ると細い花弁が5本くっついているのが分かる。これを舌状花といい、多数の舌状花が集まって1つの花に見える。これを頭状花という。頭状花の外側を取り囲んでいる緑色のウロコ状のものを総苞というが、街中にある西洋タンポポはこれが外側に反転する。

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カントウタンポポ

クサノオウ(ケシ科)

草の黄で、草が黄色の液をだすからとか、瘡(くさ)を直すからとか、草の王とか諸説ある。瘡(くさ)とは皮膚病の総称。右側と左下に蕾が見えるが、毛の生えた2枚の萼片でおおわれている。

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クサノオウ

カキドオシ(シソ科)

蔓を伸ばして垣根をくぐりぬけるので、垣通し。

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カキドオシ

スミレ(スミレ科)

墨入れの略で、大工が使う墨つぼに似ているからといわれている。スミレの仲間にも何種類かあるが○○スミレというのではなく、ただのスミレ。「スミレが咲いていた」というので行ってみたら○○スミレだったというのはよくあることで、スミレの仲間という意味で使われることが多い。菫色はこの色。

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スミレ

ツボスミレ(スミレ科)

坪菫で、坪は庭のこと。1cmぐらいの小さな花をつける。

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ツボスミレ

タチツボスミレ(スミレ科)

立坪菫で、春先は低いが次第に地上茎を伸ばし、庭に立って咲くから。スミレの中では一番多く目にする。

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タチツボスミレ

 

ノジスミレ(スミレ科)

野路菫で、道端に咲くから。スミレによく似ているが、花色が青紫色なことと、花を覗いたとき左右の花弁(側弁)に毛が無い。

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ノジスミレ

マルバスミレ(スミレ科)

葉が丸いことから。葉が丸く白い花ならほぼこれ。

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マルバスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

山のふもとに多いから麓菫。しかし1000mぐらいまで見かける。

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フモトスミレ

フイリゲンジスミレ(スミレ科)

源氏菫で、葉裏の紫色から十二ひとえを着た紫式部を連想し、その著作の源氏物語から光源氏とたどって命名されたという。連想ゲームのようで、ああ、回りくどい!!。斑入りは元々日本には自生せず、園芸用に輸入、栽培されたという。この株も民家の石垣の周りにあった。

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フイリゲンジスミレ

アメリカスミレサイシン(スミレ科)

道端、空き地などで時々見かけるが、日本のスミレ類より一回り大きな花を付ける。園芸種として輸入されたものが各地で野生化している。この種類を学名でビオラ・ソロリアということも多い。園芸名をパピリオナケアといっている。

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ビオラ・ソロリア

これもビオラ・ソロリアで、フレックルスということもある。スミレサイシンは薬草の細辛に葉が似ているからで、アメリカとかセイヨウ、トウ(唐)など付くものは外国から来たことを意味している。

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ビオラ・ソロリア

こちらはビオラ・ソロリアのルブラである。

日本のスミレサイシンは日本海側にあり、このブログでも佐渡、角田山、会津朝日岳に載せてある。

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ビオラ・ソロリア

ビオラ・ソロリアのプリケアナ

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ビオラ・ソロリア

ミツバツツジツツジ科)

春の山を彩る三つ葉つつじ。中央の赤く長いのが雌しべ。それを取り囲む5本の雄しべ、先端に花粉を入れる葯が付いている。え!!雄しべが6本?!よ~く見てください。1本は落ちてきた雄しべが引っ掛かっていました。!

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ミツバツツジ

トウゴクミツバツツジツツジ科)

関東地方に多いので東国三つ葉つつじ。上記のミツバツツジとの違いは雄しべが10本。さらに若葉にも毛が多く、成長後にも褐色の毛が残る。

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トウゴクミツバツツジ

ヘビイチゴバラ科

蛇苺で蛇が食う苺ということから。赤い実が付き、毒ではないがおいしくない。 

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ヘビイチゴ

ミツバツチグリによく似ているが、5枚の先が尖った萼片の下に、先が3裂した葉の様な副萼片が付いているので区別できる。左上と右下の花の後ろに見える。

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ヘビイチゴ

ヤマブキ(バラ科

山吹だがこれは山振という意味で、風に吹かれて揺れやすいことからきている。

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ヤマブキ

ブルークローバー(マメ科

マメ科というのはすぐわかるが色々図鑑やネットで調べたが、ついに分からなかった。ネットでは、ネパールで見たという件が1つあった。実は私もキリマンジャロの麓で似たようなものを見た記憶がある。まだ、日本に入ってから時間が経っていないのだろうか。

追記 国立科学博物館に問い合わせたら、返事がありました。園芸種として栽培されているブルークローバーとのことです。原産地として、ヒマラヤ、東アフリカなどです。

ネパールにもキリマンジャロにもあるんですね。

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マメ科帰化植物

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