yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

筑波山の花々1  2021.5.9

筑波山の花 1

 筑波山は千メートルにも満たない山であるが、百名山に選ばれている。その理由として深田久弥は、歴史的価値があると言っている。古くは奈良時代の「常陸風土記」にも記され、万葉集にも読まれている。このブログの荒島岳でも書いたが、百名山はあくまでも深田久弥の主観的選定であり、私はあまり納得はできない。それはさておき、山としては危険な場所もなく、ケーブルカーもあり誰でも簡単に登れる。そんな山を冷めた目で見ていたが、植物的には固有種などもあることを最近知った。それを見に、今回の山行となったが、残念ながら見ることはできなかった。

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女体山山頂

アオキ(アオキ科)

青木で、枝が青いことから。雌雄異株で、これは赤い果実がなっているので、雌株。

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アオキ果実

ミツバアケビアケビ科)

三つ葉アケビで、3枚の小葉からなるアケビ。3小葉とは本来1枚の葉が3枚に分かれているが、アケビは5小葉からなり、花色は淡紫色。ややこしいことに、五葉アケビというものもあるが、アケビとミツバアケビの雑種で、花色も暗紫色で、小葉の形もアケビとは異なる。アケビの意味は実が熟すと割れることから開け実だといわれている。

上部に見える大きな萼片(花弁は無い)を持つのが雌花で、雄花はその下に多数付いている。

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ミツバアケビ

シャガ(アヤメ科)

ヒオウギの漢名、射干からとったもの。染色体が3倍体のため、種子が出来ず、地下茎で増える。そのため単独だけの姿は見られず、必ず群落をつくっている。

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シャガ

ホウチャクソウイヌサフラン科)

宝鐸草で、下垂している花の形を、寺院の軒に下がっている宝鐸に例えたもの。普通、花は開かないが、この株は花が散る直前で、内部が見られた。長い雌しべは、先端が3つに分かれており(3花柱という)、それより短い雄しべの葯が見え、雄しべは6本あるという。旧分類はユリ科

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ホウチャクソウ

ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)

薄葉細辛で、細辛は漢名からで、葉質が薄いから。地面に近いところで咲くので、蟻などが花粉を運ぶと言われる。左側の青い果実はカタクリ

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ウスバサイシン

フタバアオイウマノスズクサ科)

双葉葵で、1株に必ず2枚の葉をつけることから。しかし、葉の形は、本家の葵とは全く異なるので、葵の字を当てるのは間違いだという。この葉の形を3枚組み合わせてデザインされたのが、徳川の葵の御紋である。

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フタバアオイ

花は径1cmほどで、根元の方に付き、花弁は無く、蕚が筒状になって(蕚筒という)おり、先が3裂して反り返っている。

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フタバアオイ

クワガタソウ(オオバコ科)

鍬形草で、果実が兜の鍬形に似ているから。

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クワガタソウ

ガマズミ(ガマズミ科)

語源は不明だが、スミは染の転訛で、果実を使って衣類をすり染したことに関係があるらしいといわれる。赤い果実は甘酸っぱく食べられる。

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ガマズミ

ユキザサ(キジカクシ科)

雪笹で、笹に似た葉の上に、雪がかかっている様子に例えた。旧分類はユリ科

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ユキザサ

ウマノアシガタキンポウゲ科

馬の脚形で、下部に付く葉の形が、馬のひずめ形に見えるから。しかし、近づいて見ると、浅く5裂しており、納得しがたいが、遠目には見えるといわれる。花弁は艶があり、金属光沢がある。

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ウマノアシガタ

ニリンソウキンポウゲ科

二輪草で、先端に2つの花を付けることから。写真ではまさに2輪咲いているが、いつも同時とは限らなく、また、1輪のことも3輪のこともある。白いのは萼片で5枚が普通であるが、6,7枚付いてることもある。

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ニリンソウ

ハンショウズルキンポウゲ科

 半鐘蔓で、花がつり下がった半鐘の形に似ているからだが、まだツボミだった。学名はクレマチス

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ハンショウズル

ヤマブキソウキンポウゲ科

山吹草で、花の形と色がヤマブキに似ているから。本家のヤマブキはバラ科で、花弁は5枚。

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ヤマブキソウ

ホソバテンナンショウ(サトイモ科)

テンナンショウ属の分類は、難しくてよくわからない。筑波山の植物目録にこの名があったので、一応これにしておく。素人の私にはマムシグサの仲間と言われた方が分かりやすい。

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マムシグサ