南高尾山陵の花1
高尾南山稜とは高尾山の南側にある、泰光寺山、入沢山、中澤山など、500mに満たない山稜である。起伏も少なくトレイルランニングにも人気のコースで、高尾山に比べれば静かな山並みと言える。花は、特に多くはないが、上り、下りに通る沢筋にはそれなりに楽しめる。ここにあげた花々の多くはそこで撮ったものである。
アオキ(アオキ科)
青木で枝が青いことから。広く庭木として植えられており、ヨーロッパでも人気が高い。雌雄異株で、写真では4つの雄しべが見られることから雄株である。雌花には雄しべが無い。
アオキ果実
果実も見られた。こちらは当然雌株。
ガクウツギ(アジサイ科)
額空木。額はガクアジサイの略で、空木は木の様子がウツギに似ていることから。大きな白い花弁状のものは萼片で、その中心に雌しべ、雄しべがあるが、無いこともあり装飾花と言われる。完全な花は、小さく写っている。別名コンテリギで、旧分類はユキノシタ科。
シャガ(アヤメ科)
射干で、漢名から。しかし、本来の射干はヒオウギのこと。花の後、果実を付けるが、3倍体なので種子はできず、地下茎を伸ばし増える。シャガが群落で生えているのはこのためである。
*3倍体・・・生物の染色体は卵細胞のn個と精細胞のn個が受精して、2n個になる。これを2倍体というが、偶然に4倍体などができると2倍体と4倍体の親から3倍体の子ができる。
ホウチャクソウ(イヌサフラン科)
宝鐸草で、宝鐸とは寺院の軒先などに飾る風鈴に似た飾りのこと。有毒植物で、旧分類はユリ科。
カテンソウ(イラクサ科)
カテンソウの意味は不明であるが、花点草で、小さな花が点のように散らばっているからという説があった。上に飛び出しているのは雄花で、雌花は葉の葉腋に短い柄をつけて咲くので、上からでは見えない。
クワガタソウ(オオバコ科)
鍬形草で、果実が兜の鍬形に似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科。
ハハコグサ(キク科)
山道だけでなく空き地や道端にも広く見られる。咲き終わった後、冠毛(綿毛)がほうけることからホウケグサが、ハハコグサに変化したといわれる。
イチリンソウ(キンポウゲ科)
花を1つつけることから一輪草。花弁は無く、白いのは萼片。
セリバヒエンソウ(キンポウゲ科)
芹葉飛燕草で、葉の形がセリに似て、花が飛ぶ燕を連想させることから。5方向に伸びた花弁状のものは萼片で、中心部にある上下2枚ずつのものが花弁。後ろにある蕾をみると、上の萼片には距があり、蜜を貯めるところになっている。帰化植物。
トウゴクサバノオ(キンポウゲ科)
東国鯖の尾で、左右に伸びた果実が鯖の尾に見えるから。関東地方に生えるので東国とついた。西日本にあるサバノオは花が下向きに咲くが、本種は上向きに咲く。
ニリンソウ(キンポウゲ科)
写真のように茎頂に2個の花を付けるので、二輪草。しかし、1個のことも3個のこともある。白いのは萼片で5枚が多いが6,7枚の時もあり、写真では6枚見える。花弁は無い。
ニリンソウ群落
ハンショウズル(キンポウゲ科)
半鐘蔓で、つり下がった半鐘にみえるから。これはまだ蕾だった。