赤城山(荒山・鍋割山)の花
赤城山は黒檜山(1828m)を最高峰とした多数の溶岩ドームからなる火山体の総称で、百名山にも選ばれているが、赤城山という峰は無い。火山ではあるが、最後の活動から時間が経ったと思われ、植物相は豊かである。特に春のツツジの季節には、沢山のツツジが見られる。今回は赤城山群の中の荒山、鍋割山で出会った花々です。
鍋割山からの荒山、地蔵岳(奥)
ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)
薄葉細辛で葉質が薄く、細辛は漢名から。地中の茎(根茎)は辛みが強く、薬草として使われる。
ウスバサイシンの花
花弁は無く、赤茶色の萼筒(萼が筒状になったもの)の先端が3裂している。中に見えるのは6個の雌しべ。
クサタチバナ(キョウチクトウ科)
花がタチバナ(ミカン科)に似ている草本だから。旧分類はガガイモ科
5裂した花冠の中に、さらに5つの副花冠があり、雄しべと雌しべが合着し、ずい柱というものになっている。
ミヤマカラマツ(キンポウゲ科)
白く沢山の雄しべが集まっている様子が落葉松の葉のようだから。蕾の時、紫色を帯びた萼片はすぐ落ちる。花弁は無い。雌しべは中心部にあるが、見えない。
ナツグミ(グミ科)
夏に果実が熟すから夏グミ。グミはグイミからの転訛で、グイは棘の多い木。葉の表面や裏面は一面に星型の鱗片におおわれている。
クロカンバ(クロウメモドキ科)
黒樺の意味で、樹皮が平らでつるつるして薄く横にはげることがシラカンバに似ており、その色が暗褐色であることから。花は黄緑色で、小さく、目立たない。初めて見たが、花が散った後の萼だと思った。雌雄別株で、これは雄株の雄花だが、雌株の雌花は少ないとのこと。
トウゴクシソバタツナミ(シソ科)
花が咲いてなかったが鮮やかな葉が目についた。後で調べたらシソバタツナミらしい。葉脈と裏面が紫色をおび、シソの葉に似て、短毛を密生する。立浪は花の様子が泡立つ浪に似ていることから。赤城の植物目録を見ると東国紫蘇葉立浪とあったのでそれにした。シソバタツナミの変種で茎上の短毛の生え方が違うらしい。いずれにしろ区別は難しい。
ニシキウツギ(スイカズラ科)
二色空木で初めは白色で、後に赤く変わることから。
サラサドウダン(ツツジ科)
更紗は花冠に更紗染めの模様があるから。満天星(ドウダン)は灯台ツツジの意味で、分枝の形が結び灯台の脚(三又状)に似ていることから。
ベニサラサドウダン(ツツジ科)
上記のサラサドウダンとは紅色が濃いだけでなく、花も少し小さく細い。
ヤマツツジ(ツツジ科)
標高の低い所にもあり、よく目にする。
レンゲツツジ(ツツジ科)
蓮華躑躅で花と葉を蓮華(ハス)にみたてた。花もヤマツツジより大きい。
オニツルウメモドキ(ニシキギ科)
ツルウメモドキの変種で、母種より葉が大きい。花は目立たないが、冬に果実がはぜるとオレンジ色の種子が鮮やかに彩る。名の意味は梅モドキがつる性で大きいから。
ツリバナ(ニシキギ科)
花が垂れ下がっていることによる。
サワフタギ(ハイノキ科)
沢蓋木で沢をおおい隠すように茂る意味。秋には瑠璃色の実をつけるところからルリミノウシコロシ(瑠璃実の牛殺し)の別名もある。。
イワキンバイ(バラ科)
キジムシロ属は似たようなものが多く、いつも迷う。岩場に生え、葉の両面に伏毛を密生し、下面が白色をおびることからイワキンバイとした。岩場に生える金梅草の意味。
コゴメウツギ(バラ科)
小米空木で小さい花を小米(米粒の砕けたもの)と形容した名。
ミヤマニガイチゴ(バラ科)
苦みのある実をつけることからだが、そんなに苦くはなかった。ニガイチゴより葉が長細くより高地に生える。
ササバギンラン(ラン科)
笹葉銀蘭。葉が笹のようで、銀は白い花から。花茎の下に付く苞葉が長い特徴。ギンランは葉が小さく、数も2~3枚で、高さも小さい。苞葉も花茎より短い。