高水三山(奥多摩)の花々(1) 2011.7.6 2014.5.3, 5.26
高水三山・棒ノ折れの花(1)
高水三山は青梅線沿線にある高水山(759m)、岩茸石山(793m)、惣岳山(756m)のことである。標高も高くなく、道も険しくないので山の入門コースとして親しまれている。花に関しては特に多いわけではないが、春にはスミレなどが見られる。
岩茸石山山頂から北方をのぞむ
中央奥は棒ノ峯(棒ノ折れ)
アカネスミレ(スミレ科)
茜菫で花の色が茜色であることから。葉や距(花弁の後ろが飛び出しているところ)に毛がおおい。
アケボノスミレ(スミレ科)
曙菫で花の色が、夜明け前の曙色になるから。葉が広がる前に花が咲く。
エイザンスミレ(スミレ科)
叡山菫で比叡山にあることから。葉が3裂し、さらにそれぞれが細かく分かれている。花の色も白からピンク色まで見られる。
タチツボスミレ(スミレ科)
立坪菫で、茎が上に伸びる(地上茎という)。坪は庭のことで、スミレでは一番多く目にする。それだけに色や葉の変異が多い。
ツボスミレ(スミレ科)
坪菫で径1cm位の小さな花をつける。如意(ニョイ)すみれともいう。
フモトスミレ(スミレ科)
麓菫で、山の麓に生えるから。しかし、標高千mぐらいまでよく目にする。
マキノスミレ(スミレ科)
牧野菫で、植物学者の牧野富太郎が発見したから。シハイスミレの変種で、葉裏が紫色であり、葉が上方にピンと伸びる。
マルバスミレ(スミレ科)
丸葉菫で葉が丸いことから。
ウツギ(アジサイ科)
空木で幹が中空になっていることによる。この花のことを卯の花とも言い、歌にもある。旧分類はユキノシタ科。
ガクウツギ(アジサイ科)
額空木で、ガクアジサイのような装飾花を持ち、ウツギに似ているから。装飾花とは萼片が花弁のように目立ち、雄しべ、雌しべが無く、あっても不完全な花。別名コンテリギ。旧分類はユキノシタ科。
コアジサイ(アジサイ科)
ガクアジサイにある白い花弁のような装飾花が無く、小さな花が集まっている。装飾花のあるアジサイを見慣れてると、すぐには納得がいかない名である。
ヒロハコンロンソウ(アブラナ科)
広葉崑崙草。崑崙は中国にある崑崙山脈で、白い花をその峰にある白い雪に例えたといわれる。
カテンソウ(イラクサ科)
花点草は漢名で、雄花の花粉は小さくて、まるで花が点のように見える。それで花点草といわれる。長く伸びているのは雄花をつける花穂で、雌花は葉の付け根(葉腋という)につくのでこの写真では見えない。
クワガタソウ(オオバコ科)
果実が兜の鍬形に似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科。
センボンヤリ(キク科)
春は写真のように白い花を咲かすが、秋には花の開かない閉鎖花をつける。これが林立する様を槍に例えた。閉鎖花は自分の花粉を自分の雌しべに付けて種子をつくる(これを自家受粉という)が、新しい優れた遺伝子が入ってこない。生き残り、進化するには他から異なる遺伝子を取り入れることが必要。これを他家受粉という。
トウゴクサバノオ(キンポウゲ科)
東国鯖の尾で果実が鯖の尻尾のようで、東国は関東地方に生えることから。白いのは萼片で、花弁は黄色い蜜槽になっている。
鯖の尾状態の果実。
セリバヒエンソウ(キンポウゲ科)
葉が芹の葉のようで、花が飛ぶツバメ(飛燕)のようだから。花弁の後方に長く伸びているのは距(きょ)といい、蜜を貯める。
クサノオウ(ケシ科)
諸説あって①草の黄で、黄色の汁を出す。②丹毒(クサまたはカサ)を治すからクサの王③草の王
シロヤブケマン(ケシ科)
全体が紫色のムラサキケマンの方がよく見るが、その品種。白藪華鬘で、華鬘は仏堂に飾る装飾品。
ミヤマキケマン(ケシ科)
深山黄華鬘でもう説明はいらないでしょう。キケマンは海岸近くに生育し、もっと大きい。
オカトラノオ(サクラソウ科)
花穂が虎の尻尾のようだから。よく似たノジトラノオ(野路虎の尾)は葉が細い。