権現山の花
権現山の名を聞いた時、東京周辺の人は山梨県の、又は神奈川県のそれを思い浮かべるのではないか。しかし、ネットで検索すると、全国にすくなくとも92はある。大部分は500m内外で、住んでいる地域のどこかにあり、登山の対象ではなく信仰や身近な存在としてあがめられてきたのではないだろうか。
ここで取り上げたのは、山梨県の中央線沿線にある1312mの山である。沿線とはいえ少し離れているので駅から徒歩は無理であり、花も特に多いということも無い。
ガクウツギ(アジサイ科)
額空木で花がガクアジサイに似て、木の様子がウツギに似ているから。額は小さな花の集まったまわりにある白い装飾花を額に例えたもの。旧分類はユキノシタ科。
オオイヌノフグリ(オオバコ科)
山の花の中にこれを入れるのは場違いと思うが、下山途中(ほとんど人家に近い)にあったので撮った。街の草むらにも見られる帰化植物である。大犬のフグリで果実の形から。あえて言うのも憚れるが、果実は犬の××××のようで2つの膨らんだ形である。旧分類はゴマノハグサ科。
ジュウニヒトエ(シソ科)
十二単で、花が重なって咲く様子を女官が着た十二単の衣装に見立てたもの。
アケボノスミレ(スミレ科)
初めに見た感じはナガバノスミレサイシンのようであったが、側弁(左右の花弁)に毛が見られるし、葉も長細くない。アケボノスミレはもっと葉が丸いが個体差があるので一応それにした。スミレ属もいろいろな中間形のような形もあり、迷う。
フモトスミレ(スミレ科)
麓スミレで、山の麓にあることから。しかし、いつも見るのは標高500mから1000mぐらいの間である。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
銀竜草で、鱗片葉に包まれた白色の体全体を竜の姿に見立てたから。葉緑素が無いので光合成ができない。それで、キノコのように落ち葉などから栄養分を吸収している。別名ユウレイタケ。旧分類はイチヤクソウ科。
ヤマツツジジ(ツツジ科)
山に広く見られるので山ツツジ。似たようなものが無いのでわかりやすい。
ヒメフウロ(フウロソウ科)
姫風露で花が小さくて可愛らしいフウロソウ。日本の一部の地域や北半球の温帯域に分布するというが、外国からの帰化植物として広がっているようである。
イカリソウ(メギ科)
錨草で、四方に伸びた花弁の距が船の錨に似ているから。距は花弁の後ろが伸び、蜜をためる所。別名サンシクヨウソウ(三枝九葉草)というがこの写真でその意味がよくわかる。3枚の葉がそれぞれ3本の枝先にあるので合計9枚の葉があるという名。しかし、厳密に言えば3枚の葉は1枚の葉が3つに分かれた小葉である。
ササバギンラン(ラン科)
葉が笹を思わせ、銀蘭は、白い花弁を銀に例えたもの。初めはギンランと紹介したが、2021.8.31に訂正した。花の下に付く葉のようなもの(苞という)が花序より高くなるのがササバギンランの特徴で、ギンランは長くならない。ただ、この株は小さくて最上の葉を苞と見なかったことから、間違ってしまった。色々調べたら、花の距(写真では下あごのように見える)がギンランではもっと前に突き出るという。また、葉の枚数も3~6枚(ササバは6枚以上)というがこの株は6枚で、微妙な数であった。