yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

剣岳・大日岳の花々(1)   2010.8.16-19

剣岳・大日岳の花(1)

剣岳は日本有数の岩の殿堂である。そこに咲く花といっても数も種類も少ない。表題として剣の名を挙げたが、剣に登った時に見られたということで、コースは馬場島→早月小屋(泊)→剣岳→剣沢(泊)→大日岳(泊)→大日平→称名滝までの3泊4日である。このうち、早月小屋から剣山荘までは岩場ばかりでほとんど撮ることが出来なかった。

大日岳方面からの剣岳

左側が早月尾根

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ヒロハミズタマソウ(アカバナ科

 ミズタマソウかウシタキソウかと思って撮った。ウシタキソウの葉は卵状心臓形(ハートのように凹む)、ミズタマソウは広皮針形(細長い)で葉の付け根は多少紅紫色を帯びふくらむ。この株は両方の形態を持っているので、更に調べたら、両方の交雑種があるという。その名はヒロハミズタマソウ。ちなみにミズタマソウは果実の形から、ウシタキソウは牛滝山で発見されたから。

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エゾアジサイアジサイ科)

諸説あるが「あじ」は「あつ」で集まること、「さい」は藍色のことで青い花が集まって咲く様子という。ヤマアジサイより大きく、葉に光沢があり、北海道や日本海側に生育する。ヤマアジサイは光沢が無く、太平洋側。旧分類はユキノシタ科。f:id:yamahanayama:20200826002744j:plain

 
アカソ(イラクサ科)

赤麻の意味で、茎や葉柄が赤いことから。上部の穂に雌花が付き、雄花の穂は茎の下部に付く。コアカソは葉の先端が3裂せず、木本である。

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イワオトギリ(オトギリソウ科)

オトギリソウ科は分類が難しい。写真では見えないが葉の黒点の有無やその様子をよく見ておく。分布的には北アルプスはイワオトギリとシナノオトギリ。

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オトギリソウ(オトギリソウ科)

弟切草。弟切とは何かただならぬ気配。それはむかし、むかし、あるところに…。特に特徴がわからないのでオトギリソウとしたが、断定出来ない。

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ハクサンオミナエシオミナエシ科)

男郎花(オトコエシ)より、優しいので女郎花(オミナエシ)。エシの意味は不明。後ろのキリンソウ(?)の上に咲いているという構図になり、図鑑的写真として不合格。

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イワギキョウ(キキョウ科)

岩桔梗で、桔梗は漢名から。花冠の縁に毛が無いことと、萼片が細いことが次のチシマギキョウとの違い。

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チシマギキョウ(キキョウ科)

千島桔梗で、千島は千島列島のこと。

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ツルニンジン(キキョウ科)

蔓人参で根が朝鮮人参のように太いから。標高の低い林内などで見られる。別名ジイソブ。

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ウサギギク(キク科)

兎菊で花の下に付く2枚の葉が兎の耳のようだから。

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カニコウモリ(キク科)

蟹蝙蝠で葉が蟹の甲羅を思わせるから。蝙蝠はコウモリソウの仲間。

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オオカニコウモリ(キク科)

大形のカニコウモリであるということ。日本海側に分布するが東北地方では太平洋側にもあるらしい。

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オクモミジハグマ(キク科)

奥紅葉白熊で白熊(はぐま)はヤクの尾の毛で槍、旗、兜の装飾に使った。葉が紅葉ににているが、西日本にある紅葉白熊より切れ込みが浅く、東側にあるので奥となった。

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ゴマナ(キク科)

葉の形が胡麻に似ているので胡麻菜。菜は食べられることを意味する。

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ダイニチアザミ(キク科)

アザミの分類は難しい。図鑑と首っ引きで比べたらどうも大日薊らしい。タテヤマアザミの変種らしいが区別は明らかではない。

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 タカネヤハズハハコ(キク科)

別名、高嶺薄雪草だがウスユキソウの仲間(属)ではなく平地にも見られる母子草の仲間(ハハコグサ属)。高嶺矢筈母子だが矢筈は弓矢の矢をつがえる凹んだ所。矢羽のような細長い葉を矢筈と間違ったらしい。

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タカネヨモギ(キク科)

葉が細かく分かれ、平地のヨモギとは様子が違う。ヨモギの意味は不明。

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タカネニガナ(キク科)

苦菜の高山変種で花弁のように見える花(舌状花)が多い(8 ~10個)。茎や葉に苦みのある白い乳液を含むことから苦菜。中央の葉はタカネヨモギ

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ミヤマアキノキリンソウ(キク科)

深山秋の麒麟草。キリンソウ(ベンケイソウ科)のように美しいと例えたもの。アキノキリンソウは花穂がもっと長く伸びる。

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ミヤマコウゾリナ(キク科)

深山剃刀菜で、茎や葉にザラザラした剛毛があり、カミソリを当てたようなことから。

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ヤマハハコ(キク科)

山母子で山にある母子草。母子草は茎や花の冠毛がほうけ立つところからホウコグサ、それがハハコグサになったといわれる。花弁のように見える白いものを総苞といい、その中にある黄色いものが小さな花の集まりで、頭花という。

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