荒島岳の花1
荒島岳は1523mの極普通の山である。では、なぜ百名山なのかというと、深田久弥が選んだ中の一つであるということ。本人が書いているように、自分の故郷の山を入れたかったということだった。日本百名山と言うと日本を代表する客観的な百の名山を思い浮かべるが、そういうものではない。あくまでも「深田久弥の百名山」である。それが思い違いされて日本の代表として扱われるようになってしまった。私も踊らされた一人として行ってみたが、最初に述べたように極普通の山で、何の感激も無かった。
花も特に多いということもなく、普通の山であった。
ミズタマソウ(アカバナ科)
水玉草で白い毛のある球形の子房を露がかかった水玉に例えたもの。よく似たウシタキソウは葉の付け根が赤くならず、葉も心臓形(葉の基部が凹む)になる。
タマアジサイ(アジサイ科)
球あじさいで、蕾の時に花全体が球状の塊になっていることから。「あじ」は「あつ」で集まること、さいは真「さ」の藍の約されたもので、青い花がかたまって咲く様子から名付けられたという。分かった様な、分からない様な…。アジサイ属は旧分類ではユキノシタ科。
ヤマアジサイ(アジサイ科)
山に咲くあじさいで、葉は薄く、先端が尾状に尖る。4枚の花弁に見えるのは萼片で、装飾花といわれ、雌しべ、雄しべは無かったり不完全な花である。はじめ、ヤマアジサイとは思えなかったが萼片の色は白青色や紅色を帯びるものもあるとのことで、一応ヤマアジサイにした。
ノリウツギ(アジサイ科)
幹の内皮で製紙用の糊をつくるから糊空木。北海道ではサビタという。
クガイソウ(オオバコ科)
九蓋草、または九階草で、層をなしてつく輪生葉にもとずいた名で、別名トラノオ。旧分類はゴマノハグサ科。
ミヤマガマズミ(ガマズミ科)
語源は不明であるが、スミは染の転訛で、果実で衣類をすり染めしたことと関係したであろうという説がある。旧分類はスイカズラ科。
カヤ(イチイ科)
古くはカヘといったらしいが語源は不明。裸子植物なので、花は松や杉のように目立たない。この写真を実(果実が正式)と言いたいところだが、裸子植物には果実が無く、種子がむき出しになる。よってこれは種子であり、また食べられるようだ。
ソバナ(キキョウ科)
蕎麦菜で軟らかな葉に基づくとも、岨菜で、岨は山の斜面(そばの地)のことでそこに生ずるからとも言われる。菜は食べられることを意味する。
ツリガネニンジン(キキョウ科)
釣鐘人参で、花の形が釣鐘で、白く太い根を朝鮮人参に例えた。花や葉が輪生状に付く特徴がある。
モミジハグマ(キク科)
紅葉羽熊で、葉がもみじ型で花がヤクの毛で作った飾り(羽熊)に似ているから。
ノブキ(キク科)
野蕗で野にある蕗。山渓ハンドブックにはフキをノブキ(栽培ではない野生のフキという意味で)と記載があり、紛らわしい。フキやツワブキとは別種で、ノブキという種である。山菜の本には若苗などを食用にするとの記載もある。
ヒヨドリバナ(キク科)
ヒヨドリが鳴く頃に咲くので鵯花。葉が4枚以上輪生していればヨツバヒヨドリ。
オオバギボウシ(キジカクシ科)
大葉擬宝珠で、擬宝珠は橋の欄干などに付ける玉ねぎのような飾り。花が開く前のかたまりが丁度タマネギのような形になっている。山菜のウルイはこの葉のこと。