白砂山、野反湖周辺の花1
白砂山は群馬、長野、新潟3県の県境に位置する2140mの山である。山深い位置にあり、無雪期には西側の野反湖から入るコースしか無かった。三国峠からの縦走は残雪期にのみ可能だったが、ベテラン向きのコースである。近年三国峠からの縦走路が開かれ,東側からの無雪期の縦走も可能となった。
花はといえばそれほど多くは無く、ここで取り上げたものの多くは、野反湖周辺で見かけたものである。
手前稜線上からの白砂山頂
ヤナギラン(アカバナ科)
柳蘭で、葉の形が柳に似ているから。丈も、1.5mぐらいになりよく目立つ。裸地にいち早く侵入するので、開かれた場所などに多い。北米などでは山火事の跡に生えるのでFire weedといわれる。
ノリウツギ(アジサイ科)
糊空木で、幹の内皮で製紙用の糊を作ることから。白い花弁状のものは、萼片で、装飾花といわれ、雄しべも雌しべもない。本当の花は中央部にある小さく見えるものである。北海道ではサビタという。旧分類はユキノシタ科。
イワカガミ(イワウメ科)
葉に艶があり鏡のようだから。花は終わり、果実になっていた。
ウド(ウコギ科)
独活と書かれるが、漢名でもなく、由来は不明。古い書物には葉が生育すると、中空になることから宇登呂(うどろ)と呼ばれ、それが略されてうどになったという説がある。食用の物は、光をあてない地下室で栽培されたもの。大きく太くなるが、もろいので、ウドの大木という言葉も生まれた。
ウメバチソウ(ウメバチソウ科)
花の形が梅鉢の紋に似ているから。旧分類はユキノシタ科)。
ツタウルシ(ウルシ科)
ウルシは潤液(うるしる)または塗汁(ぬるしる)が略されたものとわれ、木がツタに似た蔓になることから。ウルシでかぶれることがあるがツタウルシの方が強いといわれ、私もかぶれた経験がある。雌雄異株で果実が付いていたことから、写真は雌株。
シナノオトギリ(オトギリソウ科)
信濃弟切で、信濃(長野県)にあることから。弟切草の言われは長くなるので結論だけ言うと、兄が弟を切った時に、その血しぶきが葉に黒い点として残ったと言われたことから。
果実
これはもう果実になっていた。
アキノキリンソウ(キク科)
秋の麒麟草で麒麟草(ベンケイソウ科)のように美しいことから。キリンソウの意味は不明。
イワインチン(キク科)
岩茵蔯で、茵蔯はカワラヨモギの漢名で、岩場に生えるヨモギのこと。
カニコウモリ(キク科)
葉の形が蟹の甲羅に似ていて、コウモリソウの仲間だから。
キオン(キク科)
紫の花を咲かせる紫苑というものがあるが、これに似て、黄色い花を咲かせるので黄苑。紫苑は漢名から。
ゴマナ(キク科)
葉の形が胡麻の葉に似ているからといわれる。菜と付くから若芽は食用にされるということ。
サワヒヨドリ(キク科)
沢ヒヨドリで、沢のような水気の多い所に生育し、ヒヨドリが鳴く頃に咲くから。
タムラソウ(キク科)
一見アザミのようだが、棘も無く、優しい感じがする。田村草の意味は不明。
ノハラアザミ(キク科)
ノハラアザミと思われるが、勉強不足で、断言できない。後で訂正するかもしれない。
春に咲くノアザミに対して秋に咲く。
ニガナ(キク科)
苦い味があるので苦菜。黄色い花弁状のものをよく見ると先が5つに分かれている。これは5枚の細い花弁がくっついたもので、舌状花といい、1つの花である。これが5個集まって1つの花のように見えるので、頭状花という。
ハナニガナ(キク科)
この頭状花を見ると、8~9個の舌状花が集まり、苦菜よりはなやかなので花苦菜。
クロトウヒレン(キク科)
黒唐飛簾で、飛簾はヒレアザミに対する漢名。異国的な印象から唐をつけたと言われる。頭状花の下の鱗のようなものを総苞というがそれが黒い。葉の付け根がひれのようになる特徴がある。
マルバダケブキ(キク科)
大きな蕗のような葉があり、山にあるから丸葉岳蕗。
ミヤマヨメナ(キク科)
これもまた全く分からないので、一応ミヤマヨメナにしておく。野菊の仲間は似たものが多く、いつも悩む。舌状花を一つ抜いて、冠毛(綿毛)があるか、無いか、葉がザラザラしているか、などを見ておくと後で参考になる。私は山に登りながら写真を撮っているのでそこまではしていない。と、言い訳をする。
ヤマハハコ(キク科)
山にある母子草だから。母子草は花が咲き終わるとほうけることからほうこ草で、それが転化して母子草になったという。