yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

大蔵高丸・大谷ヶ丸の花々  2  2016.7.17

大蔵高丸・大谷ヶ丸の花 2

ハマイバ丸から滝子山三つ峠方面

富士山の手前が三つ峠

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ハマイバ丸から

ウマノアシガタキンポウゲ科

馬の脚形で、葉の形が馬のヒズメに似ていることから。しかし、3裂や5裂していてヒズメには見えない。牧野植物図鑑には根生葉(一番下の葉)は浅く5裂したものが遠目には円形に見えるのでこの名が付いたとある。花弁が金属光沢を持つのも特徴である。

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ウマノアシガタ

ヤマオダマキキンポウゲ科

苧環で形が苧環に似ていることから。苧環とは、苧手巻で麻糸を中が空洞になるように円く巻き付けたもの。外側にあるのが萼片で黄色いのが花弁。花弁の後ろに伸びているのが距で蜜をためる。

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ヤマオダマキ

タチコゴメグサ(ハマウツボ科)

立小米草で白い小さな花を米に見立てたもの。葉の縁に4-7対の刺状に鋭く尖った鋸歯がある。

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タチコゴメグサ

フジイバラ(バラ科

富士茨で富士山周辺で見られることから。実際には富士山以西に分布するらしい。

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フジイバラ

シモツケバラ科

下野、現在の栃木県で発見されたことによる。小さいが木本である。

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シモツケ

シモツケソウ(バラ科

上記のシモツケと同じ仲間だが、草本であることから。間違えやすいが葉の形が違う。

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シモツケソウ

ニガイチゴ(バラ科

苦苺で苦い味から。しかしそんなに苦いとは感じない。

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ニガイチゴ

タチフウロフウロソウ科

立風露でその茎が特に直立することによる。

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タチフウロ

ホソバノキリンソウ(マンネングサ科)

キリンソウだと思っていたが、葉に尖った鋸歯(葉の周りのギザギザ)があることからホソバノキリンソウ(細葉の麒麟草)にした。麒麟草の意味は不明。

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キリンソウ

ムラサキ(ムラサキ科

本種が群れて咲くことから「群ら咲き」であるとする説が一般的であるが 根が乾燥すると紫色で、紫色の染料として使われたことからとの説も。自生地の環境悪化により、

自生のものは非常に少なく、絶滅危惧種になっている。

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ムラサキ

アオダモユキノシタ科)

枝を切って水につけると、水が青色になるから。ダモ又はタゴはトネリコのこと。

では、トネリコの由来は、樹皮に付着しているイボタロウムシが分泌する蝋物質にあり、動きの悪くなった敷居の溝にこの白蝋を塗って滑りを良くすることから「戸に塗る木(ト-ニ-ヌル-キ)」とされたのが、やがて転訛して「トネリコ」と発音されるようになったものといわれる。少し長々な説明になりました。写真は果実。

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アオダモ

トンボソウ(ラン科)

蜻蛉草で姿がトンボに似ているから。ラン科でトンボのつくものが何個かあるが一つずつの花が小さくてわかりにくい。

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トンボソウ

ミズチドリ(ラン科)

水千鳥で水湿地に生え、花が千鳥の姿に似ていることから。しかし、この山の草原にも生えていたので、湿り気があれば生育出来ると思われる。同じ仲間のツレサギソウは唇弁(前に垂れる花弁)がもっと細く、長い。別名ジャコウチドリといわれ、匂いがいいというが鼻が悪いのでわからない。

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ミズチドリ

 

大蔵高丸・大谷ヶ丸の花々 1  2016.7.17

大蔵高丸・大谷ヶ丸の花1

大菩薩連山を南にたどるとこの大蔵高丸と大谷ヶ丸に達する。大菩薩からの縦走は1日では厳しい(と思う)が、この下の湯ノ沢峠で宿泊すれば滝子山まで続く。特に目立った山ではないが起伏も大きくなく、手軽な縦走が楽しめる山並みである。樹林帯が多い中、大蔵高丸山頂は広い高山草原となり富士山の眺望も素晴らしく、植物もそれなりに楽しめる。湯ノ沢峠まで車が入れるので山頂まで30分もあれば登れる。

大蔵高丸からの富士

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大蔵高丸からの富士山

シナノキアオイ科

 シナとはアイヌ語の結ぶ、しばる、くくるという意味。樹皮は繊維が強いのでその様な用途に使われたことから。旧分類はシナノキ科。

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シナノキ

クワガタソウ(オオバコ科)

鍬形草で果実の形が兜のくわ形に似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科

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クワガタソウ

ウスユキソウ(キク科)

薄雪草で白綿毛をうすく積もった雪に例えたもの。

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ウスユキソウ

コウリンカ(キク科)

紅輪花で花色と車輪状についた舌状花の形から。

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コウリンカ

サワギク(キク科)

沢菊で沢のような湿った、日影の場所に生えていることから。

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サワギク

ノコギリソウ(キク科)

葉の形が鋸の歯の様だから。

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ノコギリソウ

ノハラアザミ(キク科)

野原薊で原野に多いことから。名前も形も似たものでノアザミがあるが、ノアザミは初夏に咲き、花の下の総苞が、べたつき、総苞片(棘のようなもの)は真っ直ぐ上を向く。本種は秋に咲き、べたつかない。また、総苞片は斜めに出る。

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ノハラアザミ

ハナニガナ(キク科)

花苦菜で苦い味がするから。また、苦菜より舌状花(花びらのように見えるが1個の花)が多く、はなやかだから。

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ハナニガナ

イケマ(キョウチクトウ科

イケマはアイヌ語で巨大な根ということから。馬の薬になるから生け馬という説は根に毒があり誤りらしい。外側に大きく5裂した薄緑色のものが花冠で、その内側の白いのは副花冠といわれるもの。真ん中の雄しべと雌しべが一体になったものを蕊柱という。萼片はつぼみの外側に小さく付いている。

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イケマ

ヒメシャラ(ツバキ科)

姫沙羅で沙羅の樹(ナツツバキ)より小さいから。しかし、本当の沙羅の樹は、インドにあり、間違ってつけてしまったという。樹皮がツルツルしているので別名サルスベリ

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ヒメシャラ











 

加波山の花々  2016.9.11

加波山の花

 加波山筑波山の北にある709mの山で、古くから山岳信仰霊場になっている。山頂には日本武尊が東征の際に創建されたといわれる加波山神社があり、明治時代にあった加波山事件の舞台にもなった。

頂上近くまで車道があり、登山の対象には魅力に乏しく、花も少ない。ここにあげた花は車道の周辺部に見られた物である。

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加波山神社

モミジガサ(キク科)

紅葉傘で葉の形がもみじの様で、しかも傘状をしているので。若菜を採って食用にする。

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モミジガサ

クサギ(シソ科)

 臭木で葉に臭気がある。夏に花が咲くのでもう果実になっていた。右後方のピンクの花はクズの花。旧分類はクマツヅラ科

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クサギ

レモンエゴマ(シソ科)

胡麻の変種で、レモンの香りがするので檸檬胡麻。柄胡麻の種子から採った油がエゴマ油で、菜種油が広がる前まで広く使われていたという。

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レモンエゴマ

マルバルコウソウヒルガオ科)

丸葉縷紅草で丸葉留紅草と書くこともある。縷は細い糸という意味で、櫛の歯のような葉をつけ、花色が紅色だから縷紅草。しかし、本種は葉が丸いので丸葉となった。熱帯アメリカ原産だが各地に野生化している。

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マルバルコウソウ

アレチヌスビトハギ(マメ科

荒地盗人萩で荒地に生える盗人萩。盗人萩は果実の形が盗人の忍び足のような形を連想させるような形になることから。しかし、右上に見える本種の果実は忍び足形ではない。道端に生えていた帰化植物で、ヌスビトハギより花が大きく、見栄えはする。

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アレチヌスビトハギ

コマツナギマメ科

駒繋ぎで馬の手綱をこの木につないでおけるほど茎が丈夫であることから。草に見えるが木本である。

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コマツナギ

ヤマジノホトトギスユリ科

山路の杜鵑で山道でよく出会うから。ホトトギスは花の斑点が鳥の杜鵑の胸の模様に似ていることから。ヤマホトトギスは花弁と萼片は下方に曲がるが本種は曲がらない。ユリ科の花は花弁と萼片が同じ様な色になるので併せて花被片という事が多い。下の写真で、あえていえば幅の広い花被片は萼片(外花被)で、狭く長い方が花弁(内花被)である。

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ヤマジノホトトギス

 山名一覧

帯那山の花々 2017.4.15 

帯那山の花

帯那山(おびなさん)という名を聞いたことがありますか。多分、9割以上の人は知らないのではないかと思う。特に目立ったものも無い、甲府の北方にある1422mの山である。花も特に多いわけでもなく、山というより里の花の方が主となってしまった。下の写真は頂上手前の開けた場所だが、奥に見える木に沢山のヤドリギが付いていた。これについては後述する。

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帯那山山頂手前

イヌナズナアブラナ科

ナズナで、ナズナに似ているが役に立たないナズナという意味。犬は役立たずのとか、似ているけど本物より劣るという時に名づけられる。イヌタデ、イヌハッカ等々。

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イヌナズナ

キブシ(キブシ科)

木五倍子(又は木付子)。五倍子(ふし)とはヌルデの若葉、若芽にできる虫こぶで、タンニン材としてお歯黒などに使用した。この果実が代用になるので木五倍子。房になった黄色の花が藤の様だから黄藤というのは間違いとのこと。雌雄異株で、手にとって見ればはっきりするが、垂れ下がった花穂が長いのが雄花なので、この写真では雄株と思われる。

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キブシ

クロモジ(クスノキ科

黒文字で、樹皮上の黒色の斑点を文字になぞらえたもの。良い匂いがするので、高級爪楊枝に使われる。

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クロモジ

カキドオシ(シソ科)

垣通しで、垣根を通り抜けて増えていくから。

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カキドオシ

ホトケノザ(シソ科)

平地の草原や、畑の周りなどに多く生育している。仏の座で、上部の葉の脇に多数の花を輪生する姿を仏に例えたもの。なお、左側に見える褐色の葉の付いた2株は同じシソ科のヒメオドリコソウである。 

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ホトケノザ

ヤマウグイスカグラ(スイカズラ科)

鶯神楽で、鶯の鳴く頃に咲き、鶯隠れからとか、実をついばむ動きが神楽を踊っている様だからという説があるがよくわからない。ウグイスカグラは無毛だが、花柄に毛があるのでヤマウグイスカグラとした。

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ヤマウグイスカグラ

アカネスミレ(スミレ科)

茜スミレで、花色が茜色だから。

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アカネスミレ

シハイスミレ(スミレ科)

紫背スミレで、葉の裏(背中)が紫色だから。しかし、葉の裏が紫色なのはその他にも多い。

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シハイスミレ

タチツボスミレ(スミレ科)

何処に行っても目にするほど多く生育している。坪は庭のことで、庭に立って咲くという意味。

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タチツボスミレ

ノジスミレ(スミレ科)

野路スミレで道端に咲いているから。スミレに似ているがスミレよりも色が薄く、花弁もくしゃっとした感じ。

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ノジスミレ

アメリカスミレサイシン(スミレ科)スノープリンセス

アメリカと付くように帰化種である。この種を学名でビオラ・ソロリアということもある。この白花を付ける種を園芸名でスノープリンセスと言っている。

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ビオラ・ソロリア

トウダイグサトウダイグサ科

燈台草で、草の形が明り取りに使った燈台(燈架)に似ているから。緑色の花弁状のもの(総苞片)の中に1個の雌花と数個の雄花があり、雌花の子房が膨らんでるのが見える。

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トウダイグサ

マツバトウダイ(トウダイグサ科

松葉燈台で細い葉が松葉を思わせる燈台草。ヨーロッパ原産で観賞用で輸入されたが、道端に咲いていた。

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マツバトウダイ

ヤドリギ(ビャクダン科)

宿り木、寄生木で他の樹木に寄生して生活しているから。雌雄異株で落葉広葉樹に寄生するので、葉の落ちた冬に目立つ。旧分類はヤドリギ科。

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ヤドリギ

ヤドリギ果実・雌花

雌株に付いた果実と雌花。雌花は小さくてわかりにくいが、花弁は無く、4つの萼片の中心に雌しべがある。(花弁と萼片を併せて花被片というがこのような時は4つの花被片という)果実には4つの花被片の跡と雌しべの柱頭の跡が残っている。

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果実

ヤドリギ・雄花

4つの花被片の中に花粉を付けた4つの雄しべが見える。

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雄花

 山名一覧

権現山(奥多摩)の花々  2017.5.14

権現山の花

 権現山の名を聞いた時、東京周辺の人は山梨県の、又は神奈川県のそれを思い浮かべるのではないか。しかし、ネットで検索すると、全国にすくなくとも92はある。大部分は500m内外で、住んでいる地域のどこかにあり、登山の対象ではなく信仰や身近な存在としてあがめられてきたのではないだろうか。

ここで取り上げたのは、山梨県の中央線沿線にある1312mの山である。沿線とはいえ少し離れているので駅から徒歩は無理であり、花も特に多いということも無い。

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権現山山頂

ガクウツギ(アジサイ科)

額空木で花がガクアジサイに似て、木の様子がウツギに似ているから。額は小さな花の集まったまわりにある白い装飾花を額に例えたもの。旧分類はユキノシタ科。

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ガクウツギ

オオイヌノフグリ(オオバコ科)

山の花の中にこれを入れるのは場違いと思うが、下山途中(ほとんど人家に近い)にあったので撮った。街の草むらにも見られる帰化植物である。大犬のフグリで果実の形から。あえて言うのも憚れるが、果実は犬の××××のようで2つの膨らんだ形である。旧分類はゴマノハグサ科

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オオイヌノフグリ

ジュウニヒトエ(シソ科)

十二単で、花が重なって咲く様子を女官が着た十二単の衣装に見立てたもの。 

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ジュウニヒトエ

アケボノスミレ(スミレ科)

 初めに見た感じはナガバノスミレサイシンのようであったが、側弁(左右の花弁)に毛が見られるし、葉も長細くない。アケボノスミレはもっと葉が丸いが個体差があるので一応それにした。スミレ属もいろいろな中間形のような形もあり、迷う。

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アケボノスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

 麓スミレで、山の麓にあることから。しかし、いつも見るのは標高500mから1000mぐらいの間である。

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フモトスミレ

ギンリョウソウ(ツツジ科)

 銀竜草で、鱗片葉に包まれた白色の体全体を竜の姿に見立てたから。葉緑素が無いので光合成ができない。それで、キノコのように落ち葉などから栄養分を吸収している。別名ユウレイタケ。旧分類はイチヤクソウ科。

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ギンリョウソウ

ヤマツツジジ(ツツジ科)

山に広く見られるので山ツツジ。似たようなものが無いのでわかりやすい。

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ヤマツツジ

ヒメフウロフウロソウ科

 姫風露で花が小さくて可愛らしいフウロソウ。日本の一部の地域や北半球の温帯域に分布するというが、外国からの帰化植物として広がっているようである。

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ヒメフウロ

イカリソウ(メギ科)

 錨草で、四方に伸びた花弁の距が船の錨に似ているから。距は花弁の後ろが伸び、蜜をためる所。別名サンシクヨウソウ(三枝九葉草)というがこの写真でその意味がよくわかる。3枚の葉がそれぞれ3本の枝先にあるので合計9枚の葉があるという名。しかし、厳密に言えば3枚の葉は1枚の葉が3つに分かれた小葉である。

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イカリソウ

ササバギンラン(ラン科)

 葉が笹を思わせ、銀蘭は、白い花弁を銀に例えたもの。初めはギンランと紹介したが、2021.8.31に訂正した。花の下に付く葉のようなもの(苞という)が花序より高くなるのがササバギンランの特徴で、ギンランは長くならない。ただ、この株は小さくて最上の葉を苞と見なかったことから、間違ってしまった。色々調べたら、花の距(写真では下あごのように見える)がギンランではもっと前に突き出るという。また、葉の枚数も3~6枚(ササバは6枚以上)というがこの株は6枚で、微妙な数であった。

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ギンラン

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熊鷹山・根本山の花々  2019.5.17

熊鷹山・根本山の花

熊鷹山・根本山と聞いてすぐに思いつく人は少ないのではないか。標高も高くなく(

それぞれ1169m,1199m )形の良い山でもなく、目立った所は無い。わたしも山に詳しい友人に誘われるまで知らなかった。場所も群馬県と栃木県の県境にあり、アプローチも長い。しかし、根本山は古くから信仰の山として親しまれ、沢コースはかっての根本山神社への参道であり、石の道標や石仏が残り、往時を偲ぶことができる。

花は特に多いことはないが、熊鷹山山頂付近には見事なツツジ類が見られた。

山頂付近のツツジ

赤い花はヤマツツジ、ピンクはトウゴクミツバツツジ

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ヤマツツジジ・トウゴクミツバツツジ

熊鷹山山頂

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熊鷹山山頂

根本山神社

狭い痩せ尾根上にある

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根本山神社

ウツギ(アジサイ科)

空木で茎の内部が中空になっていることから。卯の花ともいう。旧分類はユキノシタ科。

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ウツギ

コンロンソウ(アブラナ科

崑崙草で、花の白さを中国の崑崙山脈の雪に例えた。

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コンロンソウ

クワガタソウ(オオバコ科)

鍬形草で、果実が兜の鍬形に似ていることから。昆虫のクワガタも頭の形が似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科

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クワガタソウ

ユキザサ(キジカクシ科)

雪笹で、笹の上に雪が乗っている様子に例えたもの。旧分類はユリ科

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ユキザサ

ミヤマキケマン(ケシ科)

深山黄華鬘で、黄は花色から、華鬘は仏殿の飾りに使う華鬘に似ていることから。。

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ミヤマキケマン

アオマムシグササトイモ科)

テンナンショウ属の分類は難しく、専門家の中でもいろいろな見解がある。いわんや、素人にはよく分からない。ここではマムシグサの変種のアオマムシグサとしておく。

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テンナンショウ属

ツクバキンモンソウ(シソ科)

筑波金紋草で、筑波は発見地から、金紋は葉の紋が美しいことから。(この株はそんなにきれいでもないが‥。)よく似たニシキゴロモは5裂した花弁(写真では3つしか見えない)の上の2枚(上唇という)が短かいが見える。

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ツクバキンモンソウ

ツボスミレ(スミレ科)

坪スミレで、坪とは庭のこと。坪は面積の単位にもなっている。

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ツボスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

 麓スミレで麓に咲くから。図鑑には麓から山まで生育と記述されているが、標高500m~1000mぐらいで見かける。葉に斑が入ったものが多い。

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フモトスミレ

シロヤシオツツジ科)

白八汐でアカヤシオに対しての名。葉が5枚輪生状に付くので別名ゴヨウツツジ

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シロヤシオ

トウゴクミツバツツジツツジ科)

東国三つ葉ツツジで、関東地方に多いので東国、葉が3枚付くので三つ葉ミツバツツジは雄しべが5本だが、本種は雄しべが10本ある。花がない時は葉を比べると、本種は毛が多い。

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トウゴクミツバツツジ

ワチガイソウ(ナデシコ科)

輪違草で、昔、名が不明な物を輪違マークの付いた鉢に植えて置いたことによる。輪違とは2つの重ねた輪を少しずらした形。似たものにヒゲネワチガイソウがあるが花弁も葉ももっと細い。よく見ないとまちがえそう。

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ワチガイソウ

ヤマハコベ(ナデシコ科)

深山ハコベで、ハコベとはその辺にはびこるからといわれる。花弁は10枚に見えるが実際は5枚で深く切れ込んでいるから10枚に見える。

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ヤマハコベ

 ツルキンバイ(バラ科

蔓金梅で、蔓状に生育し、黄色の美しい花を付けるから。

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ツルキンバイ

フジ(マメ科

藤と書かれるが中国の紫藤から藤を当てた。フジは風が吹くと「吹き散る」の意味だと言われている。

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フジ

コチャルメルソウ(ユキノシタ科)

小チャルメル草で、チャルメルは中国の楽器チャルメルのこと。果実が開いた形がチャルメルに似ていることから。写真にもそれらしきものが見られる。

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コチャルメルソウ

フデリンドウ(リンドウ科)

筆竜胆で、花の形が筆を思わせるから。竜胆は漢名。

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フデリンドウ

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赤久縄山の花々  2017.4.30

赤久縄山の花

赤久縄山は群馬県の南西部にある1523mの山である。以前は交通の便が悪く、麓に泊まらなくては行けないぐらい遠かったが、御荷鉾スーパー林道が1983年(昭和58年)に開通してからアプローチも短くなり、頂上だけなら、20分ぐらいで行けるようになった。

鞍部からの赤久縄山

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赤久縄山

山頂

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赤久縄山山頂

フタバアオイウマノスズクサ科)

双葉葵で2枚の葉があり、形が葵の形に似ていることによる。徳川家の紋章はこの葉を3枚使ったデザインで三つ葉葵という語もあるが、三つ葉葵という植物が有るわけではない。花はご覧のとうり目立つものではない。

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フタバアオイ

ヤマエンゴサク(ケシ科)

山延胡索で、延胡索は漢名。花弁の後ろが伸びているが、距といい、蜜をためている。

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ヤマエンゴサク

フモトスミレ(スミレ科)

麓スミレで、山の麓に見られることから。しかし、標高500m~ 1000mぐらいでよく見かけ、麓では見かけない。

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フモトスミレ

アカネスミレ(スミレ科)

茜スミレで、花色が夜明けの茜色であることから。 

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アカネスミレ

エイザンスミレ(スミレ科)

 叡山スミレで、叡山は比叡山のこと。花色は変異が多く、白から赤紫色などがある。葉に切込があり、花がなくとも分かる種類である。

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エイザンスミレ

ヒナスミレ(スミレ科)

雛スミレで、可愛く、愛くるしいことから雛をつけた。

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ヒナスミレ

ヒトリシズカ(センリョウ科)

一人静で、義経の愛人静御前が舞を舞っている姿に例えた。白い糸状の物は3つに分かれた雄しべで、雄しべのふもとには、緑色の雌しべが見える。 

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ヒトリシズカ

ハルトラノオタデ科

春虎の尾で、春早く、虎の尾のような花穂をを出すことから。

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ハルトラノオ

ハシリドコロ(ナス科)

 地下茎に猛毒をもち、食べると走り回って苦しむということから。トコロは野老と書き、根が老人の髭のようだから。その地下茎をロートコンといって鎮痛薬や眼薬にするが、ロート製薬の名はこれから来ている。

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ハシリドコロ

ヒゲネワチガイソウ(ナデシコ科)

髭根輪違草で、根が髭状で輪違草に似ているから。また、輪違草は、昔、名がわからない植物を輪違印の付いた鉢に植えて置いたことから。輪違とは、2つの輪を重ねた後、ずらした形のマークの形。何だか回りくどい文になりました。ワチガイソウは、もっと花弁や葉が太い。

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ヒゲネワチガイソウ

コガネネコノメソウ(ユキノシタ科)

 黄金猫の目草で、黄金は花色から、猫の目は、果実が割れた形から。花弁は無く、黄色いのは萼片で、咲き終わると緑色になる。

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コガネネコノメ

フデリンドウ(リンドウ科)

筆竜胆で、筆は形から、竜胆は漢名から。ハルリンドウは湿地に咲き、稜線上などには見られない。

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フデリンドウ

フデリンドウ(リンドウ科)

白花もあったが、ちょっと雰囲気が違う。

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フデリンドウ(白花)

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