大滝根山の花々 1 2021.6.7
大滝根山の花1
大滝根山は福島県の中部太平洋側にある1192mの山である。その南山麓には日本有数の鍾乳洞、あぶくま洞や冒険体験満点の入水鍾乳洞がある。という事はこの山も石灰岩で成り立つ特異な山である。山自体は特に急峻なところも無く、山頂一帯は自衛隊のレーダー基地になっており、許可を得なければ山頂を踏めないという不自由さもあり、面白みは無い。植物も樹林帯の中のコースなので特別多いわけでもない。
大越登山口付近からの大滝根山
クルマムグラ(アカネ科)
車葎で、車は葉の形から、ムグラは雑草の総称。この仲間は葉の数、形などで似たものが多数ある。
ウワバミソウ(イラクサ科)
蟒蛇草で、ウワバミとは大蛇のことで、大蛇が出そうな所に生えるということから。別名みず、みずなといい茎が軟弱で水分が多いことから山菜として知られており、おいしい。
ハクウンボク(エゴノキ科)
白雲木で、樹上に白花を満開した様子が、白雲の様なところから。
クワガタソウ(オオバコ科)
果実の形が兜の鍬形に似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科。
タチガシワ(キョウチクトウ科)
立柏で、葉が柏のように大きく、同じ仲間のツルガシワのように蔓にならず、直立する形から。淡黄紫色の花が咲くが、写真ではまだつぼみの状態。旧分類はガガイモ科。
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)
馬の脚形で、葉の形から。葉には浅い切れ込みがあるが、遠目には円形に見えるので、この名になったようだ。花には特有の金属光沢がある。
クリンソウ(サクラソウ科)
九輪草で、輪生する花が九層つまり多層つくということから。湿地を好み水分の多い所に生える。
アオマムシグサ(サトイモ科)
この仲間(テンナンショウ属)は分類が難しく、素人にはよくわからないので、広い意味でマムシグサとしておく。マムシグサは茎のように見える葉柄(偽茎)の模様が蝮のがらに似ていることから。アオマムシグサはマムシグサの仏炎苞(暗紫色)の色が緑色になったもの。
ツクバキンモンソウ(シソ科)
筑波金紋草で、筑波は発見地から、金紋は葉の葉脈が色付いて美しいところからだが、この株は普通の葉であった。日本海側にはニシキゴロモ(キンモンソウ)があるが、5つに分れた花冠の上2つがもう少し長い。本種はほとんどない。
ツクバネソウ(シュロソウ科)
衝く羽根草で、葉の形を羽根つきに使う羽に例えた。子房から伸びた雌しべは4本に分れ(4花柱という)雄しべは8本、花弁は無く、4枚の萼片がある。旧分類はユリ科。
ツクバネウツギ(スイカズラ科)
衝く羽根空木で、偶然上記の種と名前が重なった。こちらは、5枚の萼片が羽根つきの羽根に似ることからで、木の様子もウツギに似ているから。
ツルカノコソウ(スイカズラ科)
鹿の子草は薄紅色の花の集まりが、染め物の鹿の子絞りに見えることから。本種は蔓枝を伸ばして増えるのでツルカノコソウ。しかし、本家のカノコソウより花数も少なく、色も白色ではなやかではない。旧分類はオミナエシ科。
ベニバナニシキウツギ(スイカズラ科)
紅花二色空木で、白から紅色に変わる二色空木が、初めから紅色になったもの。栃木県以北に多く見られるという。
ヤブデマリ(スイカズラ科)
藪手毬で、藪に生え、花序が手毬のように丸いから。アジサイに似て、周辺部にある白色の花は、装飾花といい、雌しべや雄しべの無い中性花である。しかし、アジサイの白い装飾花は萼片の大きくなったものだが、本種は花弁が大きくなったもので、5枚のうち、内側の1枚は小さい。
フタリシズカ(センリョウ科)
二人静で、静御前の幽霊が二人になって舞っている様子から。しかし、花穂が2本以上になるものもよく見る。ヒトリシズカは4枚の葉がほとんど輪生状になるが、本種は2枚の対生した葉が、少しずれているので花が無くても区別できる。
白い塊が1つの花で、花弁も萼片も無い。白いのは3本の雄しべで、その内側にある雌しべを囲んでいる。
マユミ(ニシキギ科)
真弓で、この材を使って弓を作ったことから。花は地味だが、果実はピンク色でとても美しい。雌雄異株で、写真では雌しべが長い雌花と思われ、果実を付ける。
ムラサキサギゴケ(ハエドクソウ科)
初めはトキワハゼで掲載したが、上唇の裂け具合、走出枝を延ばしている様子が見えるので訂正した。ムラサキサギゴケにしては色が薄く、迷ったが、走出枝が決定打になった。サギゴケの名は、白花のモノからきているが、そちらの方は稀である。旧分類はゴマノハグサ科。