櫛形山・源氏山の花々 2015.6.13-14
櫛形山・源氏山の花
櫛形山は、特に険しい所も無く、気軽に登れる山である。しかし、どこに山頂があるかわからないぐらい、際立ったピークが無く、展望も無いので登山の対象としてはあまり魅力がない。しかし、図鑑などで撮影地、櫛形山とよく書かれていたこと等は花の種類、量においてはとても魅力ある山であった。あったと過去形にしたが現在は鹿の食害、盗掘などによりずいぶん数を減らしている。
源氏山は櫛形山から南に続く山並にあり、やはり登山の対象としては魅力に乏しい。ついでに立ち寄っただけだが、非常に珍しいオニク(後述)に出会うことができ、それなりの収穫があった。
山頂近くの稜線上に咲くズミ
アヤメ(アヤメ科)
文目で葉が並列して立っているところから、美しいあやがあると考えたから。萼片にあたる外花被片(大きく、垂れている)の付け根に網目模様がある。菖蒲やカキツバタなど水辺にある仲間と混同しやすいが、乾燥した所に生える。かっては櫛形山はアヤメの群落で有名だったが、鹿の食害でほとんど無くなり、金網の内部で保護されている。
ウスバサイシン(ウマノスズクサ科)
薄葉細辛で細辛は漢名。葉は目立つが花はよく見ないと気が付かない。葉の根元に3つに分かれた茶黒色の蕚筒(萼が筒状になったもの)が見える。
クワガタソウ(オオバコ科)
果実が兜の鍬形に似ていることから。旧分類はゴマノハグサ科。
タニギキョウ(キキョウ科)
谷桔梗で、谷に咲く桔梗というように湿り気のある場所で見かける。桔梗は漢名から。
マイヅルソウ(キジカクシ科)
シロカネソウ(キンポウゲ科)
白銀草で白い花を例えたもの。地下茎がつる状にになっていることからツルシロカネソウともいわれる。白いのは萼片、花弁は黄色で、小さく変化している。
ミヤマキンポウゲ(キンポウゲ科)
深山金鳳花で、花弁に金属光沢がある。
ユモトマムシグサ(サトイモ科)
テンナンショウ(天南星)属はみなよく似ていて区別しにくい。図鑑とネットでよく見比べて一応ユモトマムシグサにした。葉が2枚(手前と奥),小葉が5~6枚、小葉の縁に鋸歯(ギザギザ)がある(ないものもある)等で推定した。普通、仏炎苞は緑だが黒紫色もあるとのこと(それはクボタテンナンショウというらしい)。
サルオガセ(サルオガセ科)
花ではないが、山ではよく見かけるので取り上げた。木からぶら下がるとろろ昆布のようなものと思っていたが、調べてみたらそんな単純ではなかった。樹皮に付着して懸垂する地衣類で日本には40種あるとのこと。だからサルオガセ属(仲間)といったほうが正しい。ちなみに地衣類とは藻類と菌類が共生しているもの。
ベニバナツクバネウツギ(スイカズラ科)
紅花衝羽根空木で、萼片が正月にする羽根衝きの羽に似ているから。
アカフタチツボ(スミレ科)
赤斑立坪菫で、葉の葉脈が赤黒くなっている。立坪菫は長く茎を立てに伸ばし、坪(庭)に咲くスミレという意味。
エゾノタチツボスミレ(スミレ科)
蝦夷の立坪菫で、北海道(蝦夷)と本州の山地に生育する。淡紫色から白色まで変化があり、草丈も20~40cmになる大型のスミレ。写真では分かりにくいが、雌しべの柱頭に突起毛があるのが特徴。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
銀竜草で形から竜に見立てたもの。葉緑素を持たないため他から栄養分を吸収している。別名ユウレイタケ。旧分類はイチヤクソウ科。
オオヤマフスマ(ナデシコ科)
衾(ふすま)は寝るときに掛ける布のことだが、ノミのふすまよりは大きいからと推測される。特徴は先端に花が付くのではなく、葉の付け根(葉腋)から花茎が出ること。
オニク(ハマウツボ科)
漢名の肉ショウ蓉(にくしょうよう)という名からお肉となった。しかし、肉ショウ蓉とは別物だったらしい。漢方薬になり、ミヤマハンノキの根に寄生する。
4本の雄しべは手前の2本が長く、奥の2本は短い。黄色いのは苞葉。
シロバナヘビイチゴ(バラ科)
白花蛇苺で蛇が食うイチゴと考えられたから。ストローベリーの仲間で、実はおいしい。蛇にだけ食べさせるのはもったいない。
ズミ(バラ科)
染(そ)みという意味で、その皮を染料に用いることから。
マタタビ(マタタビ科)
葉が白く変色し、遠くからでも目立つ。花に色があるのは昆虫を呼ぶためだといわれるが、葉の色でもそれはできそうだ。しかし、葉に蜜は出ないので蜜の出る花も用意している。
ミズキ(ミズキ科)
水木で水分の多い木だから。葉の葉脈(水を通す道管)が力強い感じ。
コミネカエデ(ムクロジ科)
高山に生える峰楓に似てるが、花も実も小さいから 小峰楓。旧分類はカエデ科。
ササバギンラン(ラン科)
笹葉銀蘭で葉が笹のように細長く、白い花を銀に例えたもの。花の下につく葉のようなものを苞葉(又は苞)というが、花穂より長いのが特徴。ギンランでは短くて目立たない。