榛名天狗山の花
榛名山という山があるのではなく、カルデラ湖である榛名湖を中心とした山群で、更にいくつかの側火山から成り立っている。天狗山は西峰(1179m)と東峰からなり、榛名湖の南方にあり、麓には榛名神社がある。天狗山も榛名山初期の火山活動の際にできた外輪山の名残りと言われ、天狗信仰があり修験の山となっている。
登山道は樹林帯が多く、季節もいい時でなかったので、花もは多くはなかった。
クサコアカソ(イラクサ科)
草小赤麻で、茎や葉柄が赤く、アカソより小さい草本だから。上方に伸びているのは雌花の集まりで、雄花はもっと下に付く。アカソは葉の先が3裂して、尾状に尖る。コアカソは落葉低木で、鋸歯(葉のギザギザ)がもっと少なく、10対以下。3種の違いがわかると楽しくなること請け合い。左下に見える小さな花はハキダメギク。
アサマヒゴタイ(キク科)
ヒゴタイの語源は不明。高尾山で、発見されたタカオヒゴタイは葉の中央が大きく凹んだバイオリン型になる。
オクモミジハグマ(キク科)
奥紅葉羽熊で、羽熊はヤクの尾の毛。花がそれに似ていることから。葉がカエデに似て、関西からみて東を奥と表した。この株は花が閉じていた。
オヤマボクチ(キク科)
雄山火口で、ホクチは昔火つけるのに使った綿で、この葉の裏の白い毛を使った。ヤマボクチよりいかつい姿なので、雄を付けた。
シロヨメナ(キク科)
白嫁菜で、ヨメナに似て、白い花をつけるから。この写真はシロヨメナの特徴がよくわかる。大きく目立つ3本の葉脈、先が尖って真ん中より茎側が最も太い形の葉、花の付き方。こんなにきれいな形はなかなか無い。自画自賛。
トネアザミ(キク科)
利根薊で、関東地方に普通に見られることから。花の下の総苞片(尖った棘のようなもの)が反り返り、頭花が下を向いて咲いている。別名は大きなアザミを意味するタイアザミ。
フクオウソウ(キク科)
福王草で、三重県福王山にもとずいた。
ヤクシソウ(キク科)
薬師草らしいが語源は不明。前日の雨の影響で下向きで、咲いていなかった。
サラシナショウマ(キンポウゲ科)
晒菜升麻で、若い葉を煮て水で晒し、食べることから。この株は花序(花の付き方)が短く、花が少ないが一般的なものは長いソーセージのような形になり、びっしりと花が付く。小さな花が太い花茎から細い小花柄の先についているが、イヌショウマやオオバショウマは、この小花柄が無いので、区別がつく。勿論葉の形も違うが‥。
シュウカイドウ(シュウカイドウ科)
秋海棠で、バラ科のカイドウに花色が似て、秋に咲くから。中国原産だが各地で繁殖している。園芸種のベゴニアもこの仲間。
ハウチワカエデ(ムクロジ科)
羽団扇カエデで、形が鳥の羽根で作った団扇に例えた。
ホトトギス(ユリ科)
花の斑点を鳥のホトトギスの胸の斑点になぞらえた。ユリ科の花は萼片と花弁が同じような色になるので、両方を花被片というが、あえて区別するときは外花被片、内花被片という。本種は花被片が斜め上方に開くが、ヤマジノホトトギスは平らに(平開するという)、ヤマホトトギスは下方に反曲する。