雨飾山の花
百名山として知られ、名の響きの良い山に誘われて行ったが、花の少なさにはチョット期待はずれだった。山頂付近に小さいお花畑はあるが、笹原が多く、急峻さがあり、また多雪地帯のため、植物の生育には適した環境とは言えない。種類も少なく、ここにあげた花も特に珍しいものでもなく、どこにでもあるものである。
荒菅沢付近から見た岸壁
カワラマツバ(アカネ科)
河原松葉で、河原などに多く生え、葉が松葉に見えるから。花が黄色いものがあり、キバナカワラマツバという。
エゾアジサイ(アジサイ科)
蝦夷紫陽花で、東北地方から日本海側に分布。ヤマアジサイより大きく、葉も厚い。水色の花弁のようなものは萼片で、雄しべも雌しべもない(あっても不完全)装飾花といわれるもの。中心にある小さな粒状のものが、花のつぼみ。あじさいは藍(あい)色の集まったものという意味が由来らしい。旧分類はユキノシタ科。
ミズタネツケバナ(アブラナ科)
平地にあるタネツケバナと同じだが、茎が緑色なので、ミズタネツケバナとした。
種漬花は、イネの種もみを水に漬けて準備をする頃に咲くことによる。
クガイソウ(オオバコ科)
九蓋草または九階草で輪生した葉が層をなしていることから。この個体は斜面にあったので横に伸びている。旧分類はゴマノハグサ科。
イワオトギリ(オトギリソウ科)
オトギリソウの分類は難しいので生育する地域が参考になる。中部地方はイワオトギリとシナノオトギリ、北海道はハイオトギリ。弟切草とはおだやかな名ではないが、そのいわれは、昔、昔、あるところに…。
ヤマホタルブクロ(キキョウ科)
山蛍袋で蛍を入れて遊んだことから。標高の低い所に生えるホタルブクロには5裂した萼片の間のへりが反曲する(付属体と書いた図鑑もある)。白花の方が少ない。
コウゾリナ(キク科)
全体にゴワゴワした毛が多いので、カミソリを当てたときの感じから剃刀菜→コウゾリ菜となった。
フキ(キク科)
いわゆる蕗の薹(とう)という状態で山菜として採集される。雌雄異株で、雄花は黄色い花粉を出すので写真は雄花の集まり。雌花は白く見え、花数も少ない。8月に見られたということは、ここは残雪が遅くまで残っていたらしい。
ミヤマオトコヨモギ(キク科)
漢名の牡(おす)のヨモギから訳されたから。種子が小さくて種子をつけないと思われたから牡となった。
ヤマハハコ(キク科)
山母子で、咲き終わった後に冠毛が白くほおけることからハハコグサになったといわれる。中心部に黄色い小さな花が集まり、その周りに白い総苞が花びらのように取り巻いている。
ヨツバヒヨドリ(キク科)
ヒヨドリが鳴く頃に咲くから。フジバカマにも似ているが、そちらは葉が深く3裂している。普通は葉が3~4枚輪生するが写真では6枚ぐらいついている。
ニリンソウ(キンポウゲ科)
先端に2つの花が付くから二輪草だが、二輪とは限らない。上の株は3輪つけているし、1輪の時もある。また2輪同時とは限らなく、ずれることが多いが、3輪同時は初めて見た。
ノギラン(キンコウカ科)
芒蘭で芒(のぎ)とはイネ科の花にあるトゲのような物。花の形がノギをたくさんつけたように見えるから。ランとつくがラン科でもなく旧分類はユリ科だった。
タテヤマウツボグサ(シソ科)
立山靭草で、靭(うつぼ)とは弓矢を入れる筒。花の時期が終わりかけていたので花付きが寂しい。
オオカサモチ(セリ科)
昔、 中国から伝わったカサモチという植物園でしか見られない種類の、大きなものということ。カサモチの意味は不明。
ハクサンサイコ(セリ科)
白山柴胡で柴胡は漢名から。セリ科の分類は難しいが黄色の花を付けるのは少ない。
タカトウダイ(トウダイグサ科)
高燈台で背丈が高い燈台草のこと。燈台は昔の燈架で室内で使うもの。花は終わって、果実が付いている。
タカネナデシコ(ナデシコ科)
高嶺撫子で撫でたくなる可愛いい花ということ。
ウメバチソウ(ニシキギ科)
花の形が梅鉢の紋ににているから。旧分類はユキノシタ科。
クロズル(ニシキギ科)
黒蔓で黒いつるのことだが、そんなに黒くならない。写真でも淡緑色だが、もっと下のほうが黒褐色になっているのを見たことがある。
オオバミゾホウズキ(ハエドクソウ科)
大葉溝ほおづきで溝に生え、咲き終わるとホオズキのようになるから。旧分類はゴマノハグサ科。
シモツケソウ(バラ科)
下野(しもつけ)、現在の栃木県で発見されたシモツケ。それは木本だがこれは草本だから。沢山飛び出しているのは雄しべ。
サンカヨウ(メギ科)
山荷葉で、荷葉は蓮の葉のこと。
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