鳳凰三山の花
地蔵岳、観音岳、薬師岳三つの峯を併せて鳳凰山というが、一般には鳳凰三山と称することが多い。その中の最高峰は観音岳の2841mであるが、一番有名なのはオベリスクといわれる岩峰を持つ地蔵岳であろう。形だけでなく白い花崗岩が輝き、一層目立つ存在である。
高山植物についていえば固有種のホウオウシャジンが有名であり、タカネビランジの美しい花を見ることができる。しかし、三山の稜線は花崗岩の岩塊や砂礫で植物の生育に適した場所でないため種類や数は少ない。ここに掲載したものの多くは樹林帯で撮ったものである。
地蔵岳のオベリスク
イチヨウラン(ラン科)
一葉蘭で根元に一枚の葉がつく。高さ約15cm。
コイチヨウラン(ラン科)
小一葉蘭で、写真には写っていないが、やはり根元に一枚の葉がつくところから。高さ約10cm。
テガタチドリ(ラン科)
手型千鳥で根が手の形から。高さ葯30~50cm.
コフタバラン(ラン科)
下方に2枚の葉が対生に付くので小双葉蘭。高さ20cm以内。
イワオトギリ(オトギリソウ科)
オトギリソウ属の分類はむずかしい。葉の黒点や油点の有無、多さなど現場で詳しく見ておかないと後で判断に迷う。後は分布域が参考になる。本州中部以北はイワオトギリ、中部はシナノオトギリ、北海道はハイオトギリである。
ウバユリ(ユリ科)
花が咲くときにはもう、葉(歯)がないとの事から姥百合。さらに寒い高山や北方には花を10~20付ける大型のオオウバユリがある。
クルマユリ(ユリ科)
茎の中ほどに5~6枚の葉が輪生上に付くので車百合。この写真では葉が写っていないのでそれがわからない。花が下向きに咲くので、葉が入るように写真を撮ると花の中が見えない。
ギョウジャニンニク(ユリ科)
修行中の行者が、これを食べて元気になるとの事から。
ミヤマバイケイソウ(ユリ科)
深山梅蕙草で梅に似た花で、葉は蕙蘭(けいらん)に似ているところから。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
葉が駒(馬)のヒズメに似ているところから。スミレの名が 付かない唯一のスミレ。
コケモモ(ツツジ科)
桃というよりリンゴのような艶のある実をつける。ジャムや果実酒を作る。
シロバナヘビイチゴ(バラ科)
名前は毒々しいが、れっきとしたストローベリーの仲間で、実はおいしい。
タイツリオウギ(マメ科)
似たものにイワオウギ、シロウマオウギなどがあるが、前者は下の花弁(竜骨弁)が最も長く、後者は花弁が白い。果実になると明確になり、鯛をぶら下げたような実をつける。
タカネグンナイフウロ(フウロソウ科)
高嶺郡内風露で、郡内は山梨県にある地名。下向きに咲く。
タカネニガナ(キク科)
高嶺苦菜で葉が苦いことから。
タカネビランジ(ナデシコ科)
ビランジの意味は不明。南アルプスに分布とあるが鳳凰三山が一番多い気がする。
チョウジコメツツジ(ツツジ科)
丁字米躑躅。小さな花の形が丁の字に似ていることから。岩の隙間などに根を下ろす。
ハクサンシャクナゲ(ツツジ科)
ヒメコゴメグサ(ゴマノハグサ科)
別名コバノコゴメグサで、白い小さな花が米粒のようだから。この仲間も判断に困ることが多いが、この種は茎にヒゲのような腺毛があること。ミヤマコゴメグサやホソバコゴメグサ、マルバコゴメグサには無く、中部以北などに生育。
ミネウスユキソウ(キク科)
エーデルワイスの仲間で、中心部の黄色いものが花の集まり。
キバナヤマオダマキ(キンポウゲ科)
黄花山苧環。苧環(おだまき)は麻糸を、中が空洞になるように円く巻き付けたもの。左右に広がる萼片、黄色い花弁、花弁の一方が真っ直ぐ上に伸びているのを距といい、蜜を貯める。
他にみられたもの。これらの花は他のページにもよく掲示したので省略
ギンリョウソウ(ツツジ科)
ゴゼンタチバナ(ミズキ科)
ダイコンソウ(バラ科)
マイズルソウ(ユリ科)