白山の花(1)
白山は2702mのスケールの大きな火山であり、昔から信仰登山の対象とされ、地名にもそれをうかがわせる名前が沢山ある。登山に関しては、特に険しいルートが有るわけでもなく誰にでも登れる山である。
ハクサン〇〇とつく植物も多くあり、日本の野生植物(平凡社)には17種も紹介されている。しかし、この中には白山にだけある、つまり固有種は1つもない。それは、古くから登られ、初めて白山で発見されたというものが多いからである。
白山の名のように冬季の積雪量は、日本海から湿った風によって大量にもたらされる。そんな厳しい環境の中で、白山の高山植物は生育している。白山より西にはいわゆる高山植物という種は生育していないといわれ、ハイマツもここが西限である。
南側から望む白山
下に見える小屋群は南龍ヶ馬場
アオノツガザクラ(ツツジ科)
葉が栂、花が桜のようなツガザクラの青バージョンということだが実際は緑白色。信号の緑も青というからいいか。
タカネアオヤギソウ(シュロソウ科)
旧分類はユリ科。花色が紫褐色のものがシュロソウ。
アカモノ(ツツジ科)
赤い果実をつけるが、それはおいしい。別名イワハゼ
ミヤマアキノキリンソウ(キク科)
アキノキリンソウの高山型で花が頭頂部に集まっている。アキノキリンソウは穂状につくが中間形もあり変異がある。正確に分けるには総苞(花の下のうろこ状のもの)に違いがあるという。
アマニュウ(セリ科)
セリ科の分類は難しいが、これは葉に特徴がある。セリ科の多くは、葉が尖ったり、細かく分かれるものが多いが、丸味がある。この茎に甘みがあるといい、ニュウはアイヌ語である。
イブキトラノオ(タデ科)
イブキは伊吹山で、虎の尾は形から。
イワイチョウ(ミツガシワ科)
葉がイチョウに似ているから。しかし、岩場には無く、池塘などがある湿った所に生育。
イワカガミ(イワウメ科)
葉の表面にツヤがあり鏡にたとえたところから。
イワギキョウ(キキョウ科)
チシマギキョウに似ているが、花冠の淵に毛が無い事と、萼片が細い。
イワツメクサ(ナデシコ科)
花弁が10枚に見えるが、2裂しているからで実際は5枚。ナデシコ科はみな5枚か、それが合着して筒状になっているものもある。
ウサギギク(キク科)
花の下の茎葉が2枚ウサギの耳を思わせるから。
ウラジロナナカマド(バラ科)
ナナカマドの中で一番高い所に生育。タカネナナカマドは葉の鋸歯(ギザギザ)が多く葉脈もはっきりして、艶もある。
エゾシオガマ(ハマウツボ科)
北海道や東北、中部以北に生育。旧分類はゴマノハグサ科。
オオバギボウシ(ユリ科)
山菜として有名なウルイで、食べられる。後ろにあるのはヨツバヒヨドリ。
オオバタケシマラン(ユリ科)
大葉竹縞蘭。竹の縞模様からというが詳細は不明。写真では分かりにくいが花柄が途中でねじれている特徴がある。ラン科ではない。
オオバノヨツバムグラ(アカネ科)
ムグラは雑草の総称。この属も似たものが多く、紛らわしい。
オオバミゾホウズキ(ゴマノハグサ科)
大葉溝ホウズキで水辺の湿った所に生育。花の後にホウズキ状の果実になることから。
オオヤマサギソウ(ラン科)
ヤマサギソウは下の大きな葉が1枚で花の数も10以下と少ない。
オクモミジハグマ(キク科)
ハグマ(白熊)はヤクの尾を染めて、装飾に使ったもの。この仲間で花弁が長細く、はたきのような形になるものは○○ハグマというものがいくつかある。
オタカラコウ(キク科)
雄宝香でよく似た雌宝香より花弁状の花(舌状花)が多く、葉の形も違う。
オンタデ(タデ科)
御嶽山の名が由来という。タデは食べるとただれるとということからといわれる。別名にハクサンタデもある。
カライトソウ(バラ科)
唐糸草で唐糸は中国から渡来した絹糸のことで、長く伸びた美しい雄しべをそれになぞらえた。たよく似たナンブトウウチソウは早池峰にあり、色も薄紅紫色。別名トウウチソウ。
花穂上部から咲き始める。
キヌガサソウ(ユリ科)
普通8枚の葉(この写真は10枚)を輪生し、その中に白い花弁状の萼片(外花被)をつけ、花弁(内花被)は細い線形で、雄しべも細く見えにくい。この写真は花期を過ぎているので萼片も淡緑色になっている。丸い玉のような子房の上には先の分かれた雌しべが見える。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
葉が駒(馬)の爪に似ていることから。スミレなのにスミレの名が無い唯一のスミレ。
クルマユリ(ユリ科)
葉が車状に付くことから。
クロクモソウ(ユキノシタ科)
花の色を黒雲にたとえた名。別名イワブキ。