鳴神山の花(1)カッコソウとスミレ
鳴神山の名を知っている人はそんなに多くは無いと思う。なぜなら山の高さは980mとそれ程高くもなく、山の形も目立ったところがない。桐生の市街地から北方に伸びた山並みの1つに過ぎず、登山意欲のわく山ではない。しかし、山の花が好きな人には無視できない存在の山である。それは、鳴神を冠したスミレ、ナルカミスミレとこの山域だけにあるカッコソウが見られるからである。花の百名山にも選定されている。
山頂からの桐生市街地
カッコソウ(2015.5.10)
カッコソウはこの山域だけに見られる固有種である。学名にPrimula Kisoanaと命名されている。これは木曽のサクラソウという意味であるが木曽地方には存在しない。シーボルトがラベルを張り間違えたという説が有力だそうである。カッコソウという名もよくわからないそうであるが、勝紅草であろうといわれている。
かっては山一面に咲いていたといわれるが現在は絶滅危惧種である。
カッコソウの群落
ナルカミスミレ(2016.4.16)
ナルカミスミレはヒトツバエゾスミレの白花株である。鳴神山で見つかったのでこの名がついた。残念ながらナルカミスミレには出会っていないのでそれに一番近いものを挙げてみた。
ヒトツバエゾスミレ
ヒトツバエゾスミレはヒトツバ(一ッ葉)というように一枚の切れ込みのない葉を連想するが実際は実に多様で切れ込みが1~多数見られる。上の2枚の株では上が6~7、下でも小さく1箇所ある。ヒトツバエゾスミレはエイザンスミレの葉が単葉化したものでエイザンスミレの変種と位置づけられている。
2裂したもの
3裂したもの
エイザンスミレ
他で見られるエイザンスミレとはおもむきが異なるが基本的に5裂したものなので、エイザンスミレにいれた。
アオイスミレ
葉が葵の葉に似ているから。スミレのなかでも早く咲く。
アカネスミレ
花の色が茜色から。
アケボノスミレ
花の色が曙の色。咲いている時は葉がまだ開かない。
タチツボスミレ
どこでもよく見かける種
ツボスミレ
花は小さく径1cmぐらい。タチツボスミレの2分の1
ヒカゲスミレ
唇弁と側弁にある紅紫色の筋が特徴的。
ヒナスミレ
この写真では分かりにくいが薄いピンク色の花弁と細長い葉が特徴的。
フモトスミレ
やや小ぶりの花がかわいい。斑入りもよく見る。麓というけれどふもとで見たことがない。
マルバスミレ
マル葉というけれど真ん丸ではない。少し先が尖る。