高尾山のスミレ1
スミレの形は独特なので、かなり多くの人は認識しているようだが、さて、何スミレかとなると今度は多くの人がわからないままでパスしてしまう。私もそうであった。しかし、だんだん興味がわくと色、形、生育場所などの違いで、おおよそわかるようになり面白くなった。しかし、だんだんわかると同じ種類でも変異があり、今度は2種類に似ている場合どちらかになるかが分からなくなり、今でも苦しんでいる。また、それも楽しい。
ここにあげたスミレは、全て同じ日ではない。早く咲くのもあれば、遅いものもあるが多くは4月初めから中旬である。
タカオスミレ
高尾山のスミレといえば言わずと知れたタカオスミレ。葉の表面が暗赤褐色で、次のヒカゲスミレの品種。この色が裏にも透き通るものがタカオスミレ、表面だけだとハグロスミレとした図鑑もあったが、タカオスミレに統一されたという。
ヒカゲスミレ
日陰菫で、林下に生えることから。ポイントは唇弁に見られる血管のような赤みの強い紫色のすじ。
アオイスミレ
葵菫で、葉の形がフタバアオイ(ウマノスズクサ科)に似ていることから。上弁がウサギの耳の様に立ちあがり、側弁は前側に突き出すものが多い。花色も白から淡紫色まで変化がある。
アオイスミレ
この花は、かなり白っぽい。距とは花弁の後部が筒状に伸びて、蜜を貯めるところだが、本種は上に立ち上がる形である。アオイスミレは花期が早く、3月初めくらいから咲き出す。
アカネスミレ
茜菫で花色が茜色をしているから。細長い距と全体的に短毛が多いのが特徴。
オカスミレ
丘菫で、アカネスミレの品種で、側弁基部には毛があるが、他は無毛。
アケボノスミレ
曙菫で、花色を曙の空になぞらえた。花よりも葉が遅いので、花だけ咲いているのを見たことがある。葉の裏に短毛が生えているのが分かる。
アリアケスミレ
有明菫で、有明の空に因んだ。花色は白から淡紫色、濃紫色まで変化が多く、濃紫色だとスミレに見間違いそうだが、紫条が目立つ。山の中より人家の周辺や、植え込みなどに見られ、この写真も登山口までの道沿いで撮った。
エイザンスミレ
叡山菫で、叡山は比叡山のこと。葉が先ず3裂し、その両外側が深く2裂するので、5裂に見える。花色は変化があり、白色から濃い赤紫色まで見られる。初めから細く5裂するヒゴスミレはふっくらした白花を付け、高尾にもあるというが、どうも誰かが移植したらしいといわれる。
コスミレ
小菫だが、小さいことも無く適切な名とは思えない。上弁がウサギの耳の様に立ち上がるものが多い。側弁の毛もないので、雄しべ、雌しべが見える。
コミヤマスミレ
小深山菫で、少し小ぶりで、林下の薄暗い場所に生育する。葉脈に沿って斑が入っており、全体にやや長い毛が生える。花期が遅く、4月末から5月の初めごろ、見られる。