南高尾山陵の花3
ヤマツツジジ(ツツジ科)
山ツツジで、山でよく見られるから。変化が多く、いろいろな品種がある。品種とは形質が1,2つ変化したもの。
キジムシロ(バラ科)
雉蓆でキジが座るむしろになぞらえた。特徴は下部に見られる葉(7枚の葉が付いているが、これで1枚)が5~ 7枚の小葉に分れていること。この形態を羽状複葉という。
ミツバツチグリ(バラ科)
こちらは名前のように小葉が3枚。ツチグリは土栗で、地中に硬い根茎があることによるが、食べられない。本家のツチグリは生で食べられる。
ヘビイチゴ(バラ科)
蛇苺で、漢名から。蛇が食べる苺ということ。毒はないらしいので、ヒトでも食べられるか試したが、すかすかして美味しくなかった。よく似た黄色い花があるが、本種は萼片の後ろに幅広い副萼片があり、区別できる。花弁の間に見える尖ったものが萼片で、その後ろに見える葉のようなもの。
クサイチゴ(バラ科)
キイチゴは2つの意味があり、木苺と書けば木に実が付く苺で、黄苺と書けば黄色い実の苺をいうが、これを混同した記述を時々見かける。キイチゴと書けば木苺で、とげがあり、立ち上がった木本を指す。果実は液を含んだ小さな粒で、それが集まった集合果といわれるものをつける。普通のイチゴは草本で、花托(かたく:花を付ける部分)がふくれて甘くなり食べられるが(偽果という)、表面に付く粒々が果実で、中に種子がある。前置きが長くなったが本種は草本のような姿をしたイチゴ(キイチゴ)ということから。
ニガイチゴ(バラ科)
名のように苦い苺であるが、果汁は甘い。噛むと核がつぶれ、苦く感じる。噛まずに汁だけ吸って吐き出そう!!
コゴメウツギ(バラ科)
小米空木で、空木のような木と、小さい花を小米(米粒のくだけたもの)と形容した。
フジ(マメ科)
漢名の紫藤はシナフジのことで、日本ではこの藤の一字をあてたといわれる。
ハナイカダ(ミズキ科)
花筏で、花をのせた葉を筏に例えた。雌雄異株で、花弁は3~4枚、雌株では雌花が1~3、雄株では雄花が多数つく。写真では雄しべの目立つ雄花が3(1つとれた跡がある)ので雄株だと思われる。
ミツバウツギ(ミツバウツギ科)
三つ葉空木で、ウツギに似た花を付け、3小葉の葉をつけるから。
ホタルカズラ(ムラサキ科)
蛍蔓で、緑の草の中に点々とるり色の花の開く様子を蛍の光にたとえたもの。
イカリソウ(メギ科)
花の形が船にある錨に似ていることから錨草。葉が9枚見えるが、1枚は3小葉でできているので、これで3枚。別名三枝九葉草という。また、下を向いて咲いているので、花弁に見えるのは萼片。花弁は先(実は後端)が尖った距になって蜜を貯める。
アオダモ(モクセイ科)
枝を切って水につけると、水が青色に変わるところから青タゴの名を持つが、タゴ、タモはトネリコのこと。
ヨゴレネコノメ(ユキノシタ科)
汚れ猫の目草のことで、葉が汚れた模様に見えること。猫の目は果実が深く裂けたとき猫の目の瞳孔に似ていることから。
ヤマネコノメ(ユキノシタ科)
山猫の目だが、果実は盃状に開くので猫の目には見えない。
チゴユリ(ユリ科)
小さく可愛い花を稚児と形容した。
クマガイソウ(ラン科)
熊谷草で、袋形の唇弁を熊谷直実の背負った母衣(ほろ)に例えた。母衣とは鎧の背に付けた飾りで流れ矢を防いだ。道沿いの一角に保護されている。