yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

坪山・奈良倉山(奥多摩)の花々    2013.4.23 2018.5.20

坪山・奈良倉山・大マテイ山の花

 坪山の名を知ったのは、2012年か13年の雑誌「山と渓谷」だったと思う。坪山のヒカゲツツジが紹介されていた。それまで、ヒカゲツツジ中央アルプスで1本だけ咲いていたのを見た記憶があるが、本ではかなり群落になっている様子が掲載されていた。その記憶がまだ新しい時、早速、友人からさそわれて、行くことになった。そして期待通りの群落を見たが、時期的にはまだスミレの季節、そちらの方も楽しめた。

坪山(1103m)は、奈良倉山から権現山へと続く山稜から分かれた支尾根の高まりで、特に目立った山ではない。国土地理院の5万図にも名前は無い。しかし、下の集落からの登山道は急な所や痩せ尾根の部分もあり、気を付けて登ってほしい。実際、2017.12.23に3名の滑落、凍死遭難が起きている。凍結した急斜面で滑落したと思われるが、冬季以外でも花をキョロキョロ見ながら歩いていると、滑落する危険性はおおいにある。(ここは自戒を込めて)

 麓から見あげた坪山

f:id:yamahanayama:20200531003216j:plain

 アカネスミレ(スミレ科)

名のように茜色のスミレ。距(花弁の後方が突き出しているもので蜜を貯める)が長く、全体的に毛が生えている。毛が無いものをオカスミレという。

f:id:yamahanayama:20200531003231j:plain

 

 エイザンスミレ(スミレ科)

葉が細かく分かれている特徴。花色は白いものから濃いピンクまで様々である。細かく分かれているものにもう一つヒゴスミレがあるがこちらは滅多に見られない。比叡山に生えるということから。

f:id:yamahanayama:20200531003243j:plain

 

 タチツボスミレ(スミレ科)

一番多く目にするスミレ。それだけに色々変異も多い。立坪菫で、坪は庭のこと。

f:id:yamahanayama:20200531003256j:plain

 

ナガバノスミレサイシン(スミレ科) 

長葉の菫細辛で、葉の形が細辛(薬草)に似ているスミレサイシンは日本海側にあるが、本種はその葉が長細いので。何だかややこしくなりました。

f:id:yamahanayama:20200531003310j:plain

 

 ヒナスミレ(スミレ科)

雛スミレで全体が弱々しく、花が美しく、愛くるしいところから。葉の基部が丸く凹んだ形が特徴。

f:id:yamahanayama:20200531003323j:plain

 

 フモトスミレ(スミレ科)

麓スミレで山麓に生えていることから。しかしながら、車やバスで登山口まで行ってしまうので、会うのはいつも山の中。葉に斑が入っているものが多く、咲いてなくても葉だけでわかる。小さく可愛い花を咲かせる。

f:id:yamahanayama:20200531003335j:plain

 

 マルバスミレ(スミレ科)

丸葉スミレ。名のようにかなり丸い葉がつくが、少し先が尖ったものもある。

f:id:yamahanayama:20200531003347j:plain

 

 アメリカスミレサイシン(ビオラ・ソロリア)(スミレ科)

元々輸入されたものだったが、野生化し各地で見かける。これはバス停付近で見たが、登山道に入り込むのも、そう遠い日ではないのでは。

f:id:yamahanayama:20200531003359j:plain

 

 アセビツツジ科)

馬酔木と書き、馬が食べると苦しむことから。その葉を煎じ殺虫剤としても使われた。

f:id:yamahanayama:20200531003412j:plain

 

 ヒカゲツツジツツジ科)

紫色系統が多いツツジの中で、落ち着いた品を感じた。花は径2~3cmで可愛い。

f:id:yamahanayama:20200531003424j:plain

  f:id:yamahanayama:20200531003440j:plain

 

 アケビアケビ科)

諸説あるが、果実が熟すと割れるから開け実とか。種ばかりの果実は食う所が少ないが、昔は山の恵みだったと思う。雄花と雌花がつくが、写真は雄花ばかり。

f:id:yamahanayama:20200531003455j:plain

 

 イワウチワ(イワウメ科)

岩団扇で葉の形から。イワカガミに似るが、花茎につける花は1つで、花も開き、横または上を向く。

f:id:yamahanayama:20200531003507j:plain

 

 コゴメウツギ(バラ科

小米空木で小さい白花を小米と形容したもの。

f:id:yamahanayama:20200531003517j:plain

 

 マメザクラ(バラ科

豆桜で、径2cm位の小さな花を下向きに咲かせる。また、富士周辺に多いので富士桜ともいう。

f:id:yamahanayama:20200531003530j:plain

  

f:id:yamahanayama:20200531003545j:plain

 

 キバナツクバネウツギ(スイカズラ科)

萼片が正月の羽根つきの羽根に似ているので衝羽根空木。

f:id:yamahanayama:20200531003601j:plain

 

 ヤブデマリ(スイカズラ科)

藪に生えて花が丸く手毬のように付くところから。白い花は装飾花といって雄しべも雌しべもないもの。

f:id:yamahanayama:20200531003617j:plain

 

 ギンリョウソウ(ツツジ科)

銀竜草で、葉緑素を持たない腐生植物。別名ユウレイタケ。花弁は3~5枚が筒状にかたまっている。その中に青っぽい雌しべの先端(柱頭という)が見える。旧分類はイチヤクソウ科。

f:id:yamahanayama:20200531003631j:plain

 

 ササバギンラン(ラン科)

笹のような葉で、白を銀で表した名。花は大きくは開かない。

f:id:yamahanayama:20200531003648j:plain

 

 ヒトリシズカ(センリョウ科)

花穂が1本なのでこの名がついた。白いのは雄しべで花弁は無い。4枚の葉が輪生しているように見えるが、2枚の対生している葉の間隔が詰まったもの。

f:id:yamahanayama:20200531003701j:plain

 

 ヤマウツボ(ハマウツボ科)

地中にある根茎から、花穂を地上に出して小さな花をたくさんつけた状態。光合成ができないので、他に寄生する。一つの花の形が、矢を入れる靭(うつぼ)の形をしているから。

f:id:yamahanayama:20200531003715j:plain

 

 ミツバウツギ(ミツバウツギ科)

葉が3つにわかれて、ウツギに似た花だから。若葉は食べられるそうである。

f:id:yamahanayama:20200531003731j:plain

 

 ルイヨウボタン(メギ科)

花はよく見ているが、果実は初めて見た。とても不思議な形をしているので調べてみたら、やはり不思議だった。一般的には、花が咲き終わると、雌しべの子房が成長して果実になり、その中に種子ができる。しかしルイヨウボタンは花が咲き終わると子房の成長をやめるので、子房の中の2個の胚珠(後の種子)が飛び出してこの様な形になるとのこと。だからこれは果実ではなくむき出しの種子であることが分かった。

f:id:yamahanayama:20200531003748j:plain

参考に他の場所で撮った花の写真を上げた。類葉とは同じ様な葉をつけることで、葉がボタンに似ていることから。 

f:id:yamahanayama:20200531003806j:plain

 山名一覧へ