皇海山・庚申山の花(1)
皇海山は群馬、栃木県境に位置する2144mの山で、百名山にも選ばれている。登山道は両県いずれからもついているが、栃木県側からのコースをお勧めする。銀山平から庚申山、鋸山を経てのコースである。なぜなら庚申山には稀少種のコウシンソウが自生しており、その他では日光の男体山、女峰山、袈裟丸に自生していると聞く。しかし、行程が長く、少なくとも1泊は必要である。もちろんコウシンソウ目当てであれば日帰りは十分可能である。群馬県側のコースは長い林道を経由して、数時間で登れるがほとんど樹林帯で、花も少なく展望もない。深田久弥が百名山を書いたときにはこのコースはまだ無く、庚申山、鋸山の岩稜を越えてたどり着く奥深さがあったのに魅了されたのではと思う。群馬県側から登った時、なんでこれが百名山なのかと思った。
表題について皇海山、庚申山の花としたが皇海山登山中に見た花という意味で、ほとんどは庚申山での撮影である。
鋸山から見た皇海山
コウシンソウ(タヌキモ科)
ムシトリスミレと同じように葉の表面で小動物を捕え、養分にする食虫植物。ここで発見されたのでコウシンソウの名がつく。他に袈裟丸、男体山、女峰山にもある。
アズマシャクナゲ(ツツジ科)
ハクサンシャクナゲより標高の低いところに咲く。
アブラツツジ(ツツジ科)
葉の裏面が油を塗ったように滑らかで、光沢があることから。
イワカガミ(イワウメ科)
より高い所に生育するコイワカガミより花付きが多い。
イワセントウソウ(セリ科)
セントウソウに比べ岩の割れ目などに生えるから。しかし、セントウソウのいわれは、不明。
イワハタザオ(アブラナ科)
旗竿は真っ直ぐ茎を伸ばす形から。
ウツギ(アジサイ科)
ウワバミソウ(イラクサ科)
谷沿いの湿った所に生育。うわばみが居そうなところに生えるから。別名ミズとかミズナとも言われ、山菜として利用されている。美味しい。
エゴノキ(エゴノキ科)
果実の皮をすりつぶし川に流して、魚を麻痺させて取るのにつかわれる。また、それはえぐい味があるのでエゴノキの語源になったらしいといわれる。
オオカメノキ(スイカズラ科)
周辺部の白い花は装飾花といい、花弁ではなく萼片で、雄しべ、雌しべが無い。
オオクルマバムグラ(アカネ科)
ムグラは雑草の総称。この仲間は葉の数、形、花の形などいろいろあり、紛らわしい。
キバナウツギ(スイカズラ科)
北海道や本州北部にあるウコンウツギに似ているが、それは、う金の名のようにレモンイエローで、花柄がある。しかし本種には花柄が無い。花柄に見えるのは細長い子房。
キバナノコマノツメ(スミレ科)
葉が駒(馬)のヒズメに似ていることからの名。スミレの中では唯一、スミレの名が付かない。
ギンラン(ラン科)
黄色の花のキンランに対しての名。花は長さ1cmぐらいで開かない。丈も15~20cmでよく似たササバギンランは50~60cmで区別がつく。
ギンリョウソウ(ツツジ科)
旧分類はイチヤクソウ科。銀竜草と書き、葉緑素を持たない腐生植物で別名ユウレイタケ。
クリンソウ(サクラソウ科)
仏塔の九輪のように花が段々につくところから。水辺の湿った所に生育。
クワガタソウ(オオバコ科)
旧分類はゴマノハグサ科。果実が兜のくわ形に似ているところから。
コゴメウツギ(バラ科)
小さい白花を小米(米粒のくだけたもの)と形容したもの。
コミヤマカタバミ(カタバミ科)
小葉の一方がへこんでいる形が、食われた跡のようなので片喰。
サラサドウダン(ツツジ科)
更紗とは更紗染の模様のこと。ドウダンは灯台で枝が3つに分かれる形が結び灯台の脚に似ているところから。