礼文島の花(1)
礼文島は一番高い礼文岳でも490mしかない。ほぼ、最北の位置に加え、麓から山頂まで日本海に面し、冬は北西からの冷たい季節風をまともに受ける環境は北アルプスに引けを取らない。海抜0mから高山植物が見られる特異な島である。
礼文岳
標高490mで高い山ではないが、自然環境はきびしく、山頂周辺はハイマツ帯である。海抜0mから登るが、高山植物も多くはない。
アキグミ(グミ科)
秋に熟すグミだから。グミはグイミから転訛でグイは棘の多い木のこととある。
イブキジャコウソウ(シソ科)
麝香のいい香りがする。
イワツツジ(ツツジ科)
高さ5cm程の小さな花。
イワベンケイ(ベンケイソウ科)
岩弁慶草で、この科の種は、葉が厚くて乾燥にも強い。切り取って放っておいても根付いてしまう。雌雄異株で、写真の株は、赤い果実をつけているので雌株。
ウマノアシガタ(キンポウゲ科)
葉の形が馬のヒズメに似ているところから。花弁に金属光沢がある。
ウメガサソウ(ツツジ科)
旧分類はイチヤクソウ科。これはまだツボミだが、開くと笠をかぶった形に似ている。
エゾゼンテイカ(ユリ科)
ニッコウキスゲより花柄が短い傾向があるが明確な違いはない。朝開いて夕方には萎む。
レブンコザクラ(サクラソウ科)
全体に大型で果実が長く伸びる。エゾコザクラとほとんど同じものらしいが、レブンの名をつけて呼ばれる。
エゾスカシユリ(ユリ科)
花弁の下方が細くなっているので、となりの花弁とのすき間ができることから透かし百合という。改良されて多くの園芸種がある。
エゾタカネツメクサ(ナデシコ科)
蝦夷高嶺爪草で細い葉が鳥の爪に似ているから。本州では高山帯に生育しているが、海岸近くの岩場に咲いていた。
エゾチドリ(ラン科)
花を千鳥の飛ぶ姿に例えて。北海道の海岸近くに生育するそうで、実際礼文岳の登山口近く(海抜10mぐらい)で見た。
エゾツツジ(ツツジ科)
高さ30cm位の小さな低木だが、径5cm位の花をつける。左側には柱頭(雌しべの先端)をつけた果実が見える。
エゾノシシウド(セリ科)
猪が食べるような強剛な様子からシシウドの名がついた。が、エゾノシシウドはそんなに強そうではない感じ。
エゾヒナノウスツボ(ゴマノハグサ科)
本州にあるヒナノウスツボよりも茎は太く4稜も大きく、翼状のひれがある。海岸に適応するように葉も厚くツヤがある。雛の臼壺の名は花が小さい壺の形から。
エゾタカネツメクサ(ナデシコ科)
葉が細く鋭いところが鳥の爪を思わせるから。
エゾムカシヨモギ(キク科)
平地に繁茂するヒメジョオンやハルジョオンと同じ仲間(ムカシヨモギ属)なのにめったに会えないとは。
エゾルリソウ(ムラサキ科)
もともと礼文島には無く、大雪山などに生育するものだが、見本園のようなところにあった。ここで紹介するのもどうかと思ったが、なかなか見られないものなので、どさくさに紛れて入れた。
オオカサモチ(セリ科)
大カサモチで、中国から伝わったカサモチの大きいもの。カサモチは植物園にしか見られないそうで、その語源も不明とのこと。しかし、大きな傘が広がっている様を勝手にイメージしている。
オオダイコンソウ(バラ科)
山野に生えるダイコンソウよりガッチリした感じで、全体的に粗毛が密生する。葉が大根の葉に似ていることから。