戸隠山の花
戸隠山は二百名山にも選ばれている1904mの急峻な山である。神話や修行の山としても知られているが、植物にとっても戸隠の名を持つ有名なものがある。それはトガクシショウマ(トガクシソウ)といい、この山で発見された。尾瀬で見たことがあるが、沢沿いの斜面であった。この山で見ようとすれば急な沢に入らなければならないだろう。戸隠山は急な岩場と狭い尾根で有名な上級者コースの山である。そんな山の沢には簡単に入ることは無理である。
その他の花も、この岩峰の山には多くなく、花を探すことより身の安全を図るだけで精一杯だ。
戸隠西岳
こちらは更に難関コース
蟻の塔渡り
狭い岩稜で、通過するのも一苦労。
シナノキ(アオイ科)
シナはアイヌ語で結ぶ、しばる、くくるという意味で、樹皮から採った丈夫な繊維で布、縄、漁網などに利用されたところから。信濃の国(長野県)もこの木に由来したとも言われる。旧分類はシナノキ科。この時期(8月末)にはもう果実になっていた。
ので、他で撮った花をのせた。ピントが悪いので、良く分からないと思うが、萼片、花弁とも5枚で、多数の雄しべがある。
シラヒゲソウ(ウメバチソウ科)
白髭草で、花弁の先が細かい髭状になっているから。旧分類はユキノシタ科。
オオイワインチン(キク科)(トガクシインチン)
岩茵蔯とは、茵蔯は漢名でカワラヨモギのこと。つまり、岩場に生えるヨモギに似たものという意味。オオが付くようにイワインチンより丈も頭花も大きい。中部地方の日本海側の高山に分布するそうで、代表して戸隠の名をもらっている。これがまだ蕾だったので、
他の場所で撮ったものをのせた。但し、これはオオが付かないイワインチンである。確かに前の写真のものよりも少し小さい様な???
オヤマボクチ(キク科)
雄山火口で、葉裏の白い毛を集めて、火口(ほくち:着火材)にしたことによる。
雄はヤマボクチよりも、いかつい感じから。まだ蕾だったので
花は他の所で撮ったものをあげた。
タムラソウ(キク科)
田村草で意味は不明。アザミに似ているが棘が無く、優しい感じ。先が2つに分かれた沢山の雌しべの柱頭(雌しべの先端)が伸びている。
チョウジギク(キク科)
丁子菊で頭花(先端に沢山の花が集まっている)の形が、香料にする丁子の花の形に似ているから。
ヤマハハコ(キク科)
山母子で、山にあり、母子草(咲き終わると白くほうけることからホウコグサ)のようだから。
ヨツバヒヨドリ(キク科)
トガクシコゴメグサ(ハマウツボ科)
小米草は白い小さな花を米に例えた名。ミヤマコゴメグサだと思って、図鑑で確認していたら、やや丈が高い、葉の鋸歯(ぎざぎざ)が尖る、萼が短い等の形質がありミヤマコゴメグサの変種とし記載があった。岐阜、長野、石川、福井県にあるという。
ゴゼンタチバナ(ミズキ科)
御前橘でこの果実が橘に似ているから。御前はこの植物が最初に知られた白山の最高峰の御前峰にちなむ。
花はというと、他の所で撮ったものをあげた。白い花弁のようなものは花を包む苞というもので、真ん中に多数集まっているのが花。
クロクモソウ(ユキノシタ科)
黒雲草で花色を黒雲に例えた。
オオウバユリ(ユリ科)
姥百合は花が咲く頃、葉が枯れることを、娘が花盛りのころ姥には歯(葉)がない事に例えたという。でも、この株は娘がもう実になっているのにまだ、元気じゃん!!最近のお年を重ねた女性のよう…。
花は別の時期には撮ったものをあげた。ウバユリより大きく、数も多い。
ミヤマモジズリ(ラン科)
深山捩摺で…。捩摺はもじれつづれの意味で…。ネジバナがシノブモジズリの
語に基づいてもじれて咲く様を説明した名からモジズリになった。本種もねじれて山にあるから。分かりましたか?自分でも上手く説明できません。