yamahanayamaの花日記

山に咲く花の紹介

戸隠山の花々   2013.8.27

戸隠山の花

戸隠山は二百名山にも選ばれている1904mの急峻な山である。神話や修行の山としても知られているが、植物にとっても戸隠の名を持つ有名なものがある。それはトガクシショウマ(トガクシソウ)といい、この山で発見された。尾瀬で見たことがあるが、沢沿いの斜面であった。この山で見ようとすれば急な沢に入らなければならないだろう。戸隠山は急な岩場と狭い尾根で有名な上級者コースの山である。そんな山の沢には簡単に入ることは無理である。

その他の花も、この岩峰の山には多くなく、花を探すことより身の安全を図るだけで精一杯だ。

戸隠西岳

こちらは更に難関コース

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戸隠山西岳

蟻の塔渡り

狭い岩稜で、通過するのも一苦労。

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蟻の塔渡り

シナノキアオイ科

シナはアイヌ語で結ぶ、しばる、くくるという意味で、樹皮から採った丈夫な繊維で布、縄、漁網などに利用されたところから。信濃の国(長野県)もこの木に由来したとも言われる。旧分類はシナノキ科。この時期(8月末)にはもう果実になっていた。

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シナノキ果実

ので、他で撮った花をのせた。ピントが悪いので、良く分からないと思うが、萼片、花弁とも5枚で、多数の雄しべがある。

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シナノキ

シラヒゲソウ(ウメバチソウ科)

白髭草で、花弁の先が細かい髭状になっているから。旧分類はユキノシタ科。

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シラヒゲソウ

オオイワインチン(キク科)(トガクシインチン)

岩茵蔯とは、茵蔯は漢名でカワラヨモギのこと。つまり、岩場に生えるヨモギに似たものという意味。オオが付くようにイワインチンより丈も頭花も大きい。中部地方日本海側の高山に分布するそうで、代表して戸隠の名をもらっている。これがまだ蕾だったので、

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オオイワインチン

他の場所で撮ったものをのせた。但し、これはオオが付かないイワインチンである。確かに前の写真のものよりも少し小さい様な???

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イワインチン

オヤマボクチ(キク科)

雄山火口で、葉裏の白い毛を集めて、火口(ほくち:着火材)にしたことによる。

雄はヤマボクチよりも、いかつい感じから。まだ蕾だったので

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オヤマボクチ

花は他の所で撮ったものをあげた。

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オヤマボクチ

タムラソウ(キク科)

田村草で意味は不明。アザミに似ているが棘が無く、優しい感じ。先が2つに分かれた沢山の雌しべの柱頭(雌しべの先端)が伸びている。

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タムラソウ

チョウジギク(キク科)

丁子菊で頭花(先端に沢山の花が集まっている)の形が、香料にする丁子の花の形に似ているから。

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チョウジギク

ヤマハハコ(キク科)

山母子で、山にあり、母子草(咲き終わると白くほうけることからホウコグサ)のようだから。

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ヤマハハコ

ヨツバヒヨドリ(キク科)

四葉鵯で、ヒヨドリがなく頃に咲き葉が4枚輪生に付くから。

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ヨツバヒヨドリ

トガクシコゴメグサ(ハマウツボ科)

 小米草は白い小さな花を米に例えた名。ミヤマコゴメグサだと思って、図鑑で確認していたら、やや丈が高い、葉の鋸歯(ぎざぎざ)が尖る、萼が短い等の形質がありミヤマコゴメグサの変種とし記載があった。岐阜、長野、石川、福井県にあるという。

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トガクシコゴメグサ

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トガクシコゴメグサ

ゴゼンタチバナ(ミズキ科)

御前橘でこの果実が橘に似ているから。御前はこの植物が最初に知られた白山の最高峰の御前峰にちなむ。

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ゴゼンタチバナ果実

花はというと、他の所で撮ったものをあげた。白い花弁のようなものは花を包む苞というもので、真ん中に多数集まっているのが花。

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ゴゼンタチバナ

クロクモソウ(ユキノシタ科)

黒雲草で花色を黒雲に例えた。

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クロクモソウ

オオウバユリ(ユリ科

姥百合は花が咲く頃、葉が枯れることを、娘が花盛りのころ姥には歯(葉)がない事に例えたという。でも、この株は娘がもう実になっているのにまだ、元気じゃん!!最近のお年を重ねた女性のよう…。

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オオウバユリ果実

花は別の時期には撮ったものをあげた。ウバユリより大きく、数も多い。

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オオウバユリ

ミヤマモジズリ(ラン科)

深山捩摺で…。捩摺はもじれつづれの意味で…。ネジバナがシノブモジズリの

語に基づいてもじれて咲く様を説明した名からモジズリになった。本種もねじれて山にあるから。分かりましたか?自分でも上手く説明できません。

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ミヤマモジズリ

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景信山(高尾周辺の山)の花々2  2015.4.23

景信山の花2

景信山の花1でも触れたが、この山へは高尾からの縦走よりも、東からの木下沢(こげさわ)ルートをおすすめする。木下沢にはスミレも多く、キャンプ場跡から小下沢に入った道にもオウギカズラやイカリソウなどもある。下山は同じルートか小仏峠をまわってもいい。山頂には桜吹雪の跡が…。

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景信山山頂

アカネスミレ(スミレ科)

花色が茜色のスミレ。

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アカネスミレ

ツボスミレ(スミレ科)

坪とは庭のことで、その様な場所に咲くから。小さな花を付ける。

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ツボスミレ

タチツボスミレ(スミレ科)

ツボスミレより上に伸び、花も大きい。何処へ行っても一番目にするスミレ。

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タチツボスミレ

アカフタチツボスミレ(スミレ科)

葉脈が赤紫色をしているので、赤斑立坪菫。

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アカフタチツボスミレ

ニオイタチツボスミレ(スミレ科)

いい香りがするので、匂い立坪菫。しかし、鼻が悪い私には分からない。

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ニオイタチツボスミレ

シハイスミレ(スミレ科)

紫背スミレで葉の裏が紫色だからだが、この株はそんなに紫色をしてなかったし、葉の先もピンとしてなくて典型的では無かった。

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シハイスミレ

マルバスミレ(スミレ科)

葉が丸いからだが少しとがったものもある。しかし、この株は名にふさわしかった。

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マルバスミレ

アメリカスミレサイシン(スミレ科)

道路沿いによく見られる、帰化植物。園芸種として輸入されたが野生化している。

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ビオラ・ソロリア

アメリカスミレサイシン(スミレ科)

これもまた道路沿いにさいていた。

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ビオラ・ソロリア

ヤブニンジン(セリ科)

藪人参で、藪に生え、葉が人参のようだから。毛が生えた果実は細長く、特徴的。春に咲き、茎には密に毛が生える。

当初、オヤブジラミとして掲載したが、誤りに気付き、訂正した。

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ヤブジラミ

ヒトリシズカ(センリョウ科)

一人静で、義経の愛人静御前が舞う様子になぞらえた。白いのは先が3つに分かれた雄しべで、萼片や花弁は無い。雄しべの根元には緑色の子房が見える。 

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ヒトリシズカ

クサイチゴ(バラ科

地面に這うように咲いているので、草苺。しかし、草ではなく木本である。実は大きくて食べられる。

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クサイチゴ

ニガイチゴ(バラ科

苦苺で、苦いからだがそれ程でもない。モミジイチゴは花がぶら下がるが、これは上を向いて咲く。

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ニガイチゴ

ミツバツチグリ(バラ科

三つ葉土栗で、栗のような地下茎があるからだが、硬くて食べられない。

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ミツバツチグリ

カラスノエンドウマメ科

絹さやに似た果実(豆果という)が熟すと真っ黒になるので、カラスの黒に例えた。若いうちは食べられるという。登山道に入る前の道端に沢山生えていたが、公園や空き地でも春先には多く見られる。葉の基部に蜜腺があるのでアリやアブラムシが沢山集まってくる。ヤハズエンドウとも言われるが小葉の先が少し凹んで、矢をつがえる矢筈に見えることから。

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カラスノエンドウ

ミヤマシキミ(ミカン科)

シキミ(マツブサ科)に似た葉を付け、山にあるので深山樒。有毒植物である。

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ミヤマシキミ

ヤマルリソウ(ムラサキ科

山に咲き、瑠璃色の花色だから。咲き始めは淡紅色だが、後に瑠璃色に変わる。

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ヤマルリソウ

イカリソウ(メギ科)

花の形が船の錨に似ているから。4枚の花弁の後ろに伸びたものは、距といって蜜を貯める所。

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イカリソウ

ヤマネコノメソウ(ユキノシタ科)

これはもう花が終わって種子を出しているが、花が猫の目のように見えるところから山猫目草。

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ヤマネコノメ

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景信山(高尾周辺)の山の花々1  2015.4.23

景信山の花1

景信山は高尾山から続く山並みの、727 mの山である。高尾山から縦走する人も多いが、健脚コース(もしかして、私だけ?)になるのでゆっくりと花も見ていられない。そもそも尾根上の縦走コースでは樹林帯の中なので、花も多くない。花を見るなら沢沿いのコースから景信山に登って見て欲しい。

山頂からの高尾、八王子方面

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景信山山頂から

オランダガラシアブラナ科

登山道に入る前に、道路沿いの溝に咲いていた。料理に添えるクレソンである。オランダとつくように帰化植物で、各地の水辺に繁茂しており、日光の戦場ヶ原でも見た。

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オランダガラシ

ムラサキハナナ(アブラナ科

これも道沿いに咲いていた。紫花菜で見ての通り。別名紫花大根、また、漢名で諸葛菜。観賞用で植えられたものが野生化したり、殺風景だからと土手などに種子を蒔かれたりもした。

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ムラサキハナナ

ヒロハコンロンソウ(アブラナ科

広葉崑崙草で、中国の崑崙山脈に降る雪の白さをイメージした名。コンロンソウは葉が細長い。

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ヒロハコンロンソウ

カンアオイウマノスズクサ科)

小さく、地面に接して咲くので、気が付きにくい。冬でも葉が枯れずに緑色で、葉の形が葵のようだから寒葵。

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カンアオイ

フタバアオイウマノスズクサ科)

双葉葵で、二枚の葉が付くことから。この角度からでは葉の形が分からないが、ハート形で、徳川家の葵の御紋として使われた。形が分かる写真は西上州の山の花1,2,3、その他にあげた。

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フタバアオイ

カントウタンポポ(キク科)

関東地方に多いことから関東蒲公英。花の下にある鱗のようなものを総苞というが、ぴったりと花に付いている。帰化植物の西洋タンポポは外に反曲してめくれている。

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カントウタンポポ

センボンヤリ(キク科)

千本槍で、秋にもう一度花茎を伸ばして花を付ける。それは閉鎖花といって花を開かず実を結ぶが、その姿が大名行列の千本槍に見えるところから。

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センボンヤリ

ニリンソウキンポウゲ科

二輪草で2本の花茎を立てて花を付けることから。しかし、2本とは限らず、1本や3本の物もあり、2本でも時期がずれることも多い。この写真でも大部分が1本だけの状態。白いのは萼片で花弁は無い。萼片も5枚とは限らない。

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ニリンソウ

クロモジ(クスノキ科

黒文字で、樹皮に黒い斑点があり文字になぞらえたもの。香りが良いので、高級爪楊枝に使われる。

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クロモジ

クサノオウ(ケシ科)

草の黄で、黄色い汁が出るからとか、丹毒(くさ)を治すとか、草の王だとか諸説ある。

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クサノオウ

ジロボウエンゴサク(ケシ科)

次郎坊延胡索で、延胡索は漢名。伊勢地方で、スミレを太郎坊、これを次郎坊と付けたことによる。

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ジロボウエンゴサク

シロヤブケマン(ケシ科)

白藪華鬘で、華鬘は仏殿の装飾品。

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シロヤブケマン

ムラサキケマン(ケシ科)

色が紫色の華鬘ということから。ヤブケマンとも言う。

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ムラサキケマン

ミミガタテンナンショウ(サトイモ科)

大きな筒型の花に見えるが、実際の花は、中心に見える棒状の表面に小さな花を沢山付ける。まわりのにある物を苞というが特にサトイモ科の物を仏炎苞という。水芭蕉の白い物も同じ。多くの葉が付いているように見えるが、葉は2枚。それぞれの葉が小さく分かれているが、これを小葉という。

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ミミガタテンナンショウ

ウラシマソウサトイモ科)

花を付ける中心の花柄の先が、仏炎苞の先に、釣り竿のように長く伸びていることから、浦島太郎を連想した。仏炎苞の下部に昆虫が出られる小さな穴も見える。

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ウラシマソウ

オウギカズラ(シソ科)

 扇蔓で、葉が扇形、花後基部から長い枝を出す姿が蔓のようだから。しかし、扇形には見えませんね。

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オウギカズラ

カキドオシ(シソ科)

垣根を通り越して伸びていくから垣通し。

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カキドオシ

キランソウ(シソ科)

名前の由来ははっきりしないが、金襴という織物に模様が似ているとか、紫蘭草が転訛したからといわれる。別名地獄の釜の蓋。これは、地面に張り付くように広がることから。

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キランソウ

ツクバキンモンソウ(シソ科)

筑波金紋草で、筑波山で発見され、葉が美しいので金紋とつけられた。日本海側にはニシキゴロモがある。

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ツクバキンモンソウ

ラショウモンカズラ(シソ科)

花の形が京都の羅生門で、渡辺綱が切り落とした鬼女の腕に似ているから。

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ラショウモンカズラ

 

越上山・顔振峠(奥武蔵)の山の花々  2018.4.10

越上山・顔振峠の花

春にのんびりと低山を歩いてみたいと思い、西武秩父線沿線の山に決めた。沿線の西側の武甲山は有名だが、東側の越上山(おがみやま)の名を知らなかった。越上山(566m)の山並みは樹林帯で見るべき物はなかったが、登山口までの道路脇や顔振峠から下の集落までの間に、山里の春の花が咲いていた。このブログは山の花としているが今回は、山里の花と言い換えた方がいいのかもしれない。

顔振峠から西方を望む。正面奥は武甲山

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顔振峠から

アケビ・雌花(アケビ科)

果実が割れるから開け実、それがアケビとなったといわれている。雄花、雌花があるが、まず雌花。3枚の萼片があり、花弁は無い。写真では5本の雌しべが見えるが普通は3~6本、花粉がつきやすい粘性のある柱頭(雌しべの先端)がある。雌しべの元に小さい不稔の雄しべが見える。

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アケビ・雌花

アケビ・雄花

雌花より小形で6本の雄しべがあり、写真では見えないが、中心に雌花の痕跡がある。黒い部分が割れて、花粉を出す。

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アケビ・雄花

カントウタンポポ(キク科)

関東地方に普通なので関東蒲公英。1枚の花弁に見えるものが実は1個の花。先端を見ると細い花弁が5本くっついているのが分かる。これを舌状花といい、多数の舌状花が集まって1つの花に見える。これを頭状花という。頭状花の外側を取り囲んでいる緑色のウロコ状のものを総苞というが、街中にある西洋タンポポはこれが外側に反転する。

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カントウタンポポ

クサノオウ(ケシ科)

草の黄で、草が黄色の液をだすからとか、瘡(くさ)を直すからとか、草の王とか諸説ある。瘡(くさ)とは皮膚病の総称。右側と左下に蕾が見えるが、毛の生えた2枚の萼片でおおわれている。

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クサノオウ

カキドオシ(シソ科)

蔓を伸ばして垣根をくぐりぬけるので、垣通し。

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カキドオシ

スミレ(スミレ科)

墨入れの略で、大工が使う墨つぼに似ているからといわれている。スミレの仲間にも何種類かあるが○○スミレというのではなく、ただのスミレ。「スミレが咲いていた」というので行ってみたら○○スミレだったというのはよくあることで、スミレの仲間という意味で使われることが多い。菫色はこの色。

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スミレ

ツボスミレ(スミレ科)

坪菫で、坪は庭のこと。1cmぐらいの小さな花をつける。

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ツボスミレ

タチツボスミレ(スミレ科)

立坪菫で、春先は低いが次第に地上茎を伸ばし、庭に立って咲くから。スミレの中では一番多く目にする。

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タチツボスミレ

 

ノジスミレ(スミレ科)

野路菫で、道端に咲くから。スミレによく似ているが、花色が青紫色なことと、花を覗いたとき左右の花弁(側弁)に毛が無い。

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ノジスミレ

マルバスミレ(スミレ科)

葉が丸いことから。葉が丸く白い花ならほぼこれ。

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マルバスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

山のふもとに多いから麓菫。しかし1000mぐらいまで見かける。

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フモトスミレ

フイリゲンジスミレ(スミレ科)

源氏菫で、葉裏の紫色から十二ひとえを着た紫式部を連想し、その著作の源氏物語から光源氏とたどって命名されたという。連想ゲームのようで、ああ、回りくどい!!。斑入りは元々日本には自生せず、園芸用に輸入、栽培されたという。この株も民家の石垣の周りにあった。

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フイリゲンジスミレ

アメリカスミレサイシン(スミレ科)

道端、空き地などで時々見かけるが、日本のスミレ類より一回り大きな花を付ける。園芸種として輸入されたものが各地で野生化している。この種類を学名でビオラ・ソロリアということも多い。園芸名をパピリオナケアといっている。

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ビオラ・ソロリア

これもビオラ・ソロリアで、フレックルスということもある。スミレサイシンは薬草の細辛に葉が似ているからで、アメリカとかセイヨウ、トウ(唐)など付くものは外国から来たことを意味している。

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ビオラ・ソロリア

こちらはビオラ・ソロリアのルブラである。

日本のスミレサイシンは日本海側にあり、このブログでも佐渡、角田山、会津朝日岳に載せてある。

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ビオラ・ソロリア

ビオラ・ソロリアのプリケアナ

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ビオラ・ソロリア

ミツバツツジツツジ科)

春の山を彩る三つ葉つつじ。中央の赤く長いのが雌しべ。それを取り囲む5本の雄しべ、先端に花粉を入れる葯が付いている。え!!雄しべが6本?!よ~く見てください。1本は落ちてきた雄しべが引っ掛かっていました。!

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ミツバツツジ

トウゴクミツバツツジツツジ科)

関東地方に多いので東国三つ葉つつじ。上記のミツバツツジとの違いは雄しべが10本。さらに若葉にも毛が多く、成長後にも褐色の毛が残る。

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トウゴクミツバツツジ

ヘビイチゴバラ科

蛇苺で蛇が食う苺ということから。赤い実が付き、毒ではないがおいしくない。 

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ヘビイチゴ

ミツバツチグリによく似ているが、5枚の先が尖った萼片の下に、先が3裂した葉の様な副萼片が付いているので区別できる。左上と右下の花の後ろに見える。

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ヘビイチゴ

ヤマブキ(バラ科

山吹だがこれは山振という意味で、風に吹かれて揺れやすいことからきている。

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ヤマブキ

ブルークローバー(マメ科

マメ科というのはすぐわかるが色々図鑑やネットで調べたが、ついに分からなかった。ネットでは、ネパールで見たという件が1つあった。実は私もキリマンジャロの麓で似たようなものを見た記憶がある。まだ、日本に入ってから時間が経っていないのだろうか。

追記 国立科学博物館に問い合わせたら、返事がありました。園芸種として栽培されているブルークローバーとのことです。原産地として、ヒマラヤ、東アフリカなどです。

ネパールにもキリマンジャロにもあるんですね。

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マメ科帰化植物

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御岳山(奥多摩)の山の花々 2019.8.26

御岳山の花

おんたけさんと読むと木曽の御嶽山になるが、これはみたけさん、あるいはミタケと呼ぶ。929mの山でケーブルカーもあり気軽に登れる。しかし、それでは花も少ししか見られない。是非下から歩いて登ってほしい。

 頂上付近から覗く奥の院(1077m)

 

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御岳山

オオバノヨツバムグラ(アカネ科)

大葉の四葉葎で見ての通り。葎(ムグラ)は雑草の総称で、葉の数、形、大きさにより数種ある。

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オオバノヨツバムグラ

タマアジサイアジサイ科)

上部と右側にあるように蕾が丸いので、玉あじさい。葉も厚く、ザラザラしているので蕾が無くてもわかりやすい。

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タマアジサイ

オトギリソウ(オトギリソウ科)

オトギリソウの分類は難しく、各地に変種や品種がある。奥多摩にあるのはオトギリソウとコオトギリソウらしい。目安となる一つには葉や花弁にある黒点である。これは、兄が弟を切った時に飛び散った血痕だという。恐ろしや…。恐ろしや…。写真では葉の縁に多く、花弁にもみられる。丈が50cm以上あったので、一応オトギリソウにした。

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オトギリソウ

オトコエシ(オミナエシ科)

黄色い花のオミナエシ(女郎花)に対し、強剛なのでオトコエシ(男郎花)。エシの意味は不明。でも最近は強剛な女郎花も多くみかける。いえ、人間ではなく…。

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オトコエシ

ソバナ(キキョウ科)

岨(そば)菜で、岨とは山地の急な斜面のことでそこに生育するから。菜は食べられる葉を言う。稜のある種子から作る蕎は蕎麦の略で、岨と同じ意味である。

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ソバナ

ツリガネニンジン(キキョウ科)

釣鐘人参で、花が釣鐘、根が朝鮮人参に似ていることから。花穂や葉が輪生状に付く。

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ツリガネニンジン

ツルニンジン(キキョウ科)

蔓人参で根が朝鮮人参のように太く、茎が蔓になっているから。別名、爺さんのソバカスという意味のジイソブ。

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ツルニンジン

オヤマボクチ(キク科)

雄山火口で、葉裏の白い毛を集めて火口(最初に火を付ける)とし、ヤマボクチよりいかついから雄をつけた。これはまだつぼみで、秋に暗紫色のアザミのような花を咲かす。

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オヤマボクチ

ガンクビソウ(キク科)

雁首草で、細い茎から急に太くなるとともに曲がっている様をきせるの雁首に見立てた。

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ガンクビソウ

ナガバノコウヤボウキ(キク科)

長葉の高野箒で、高野山で箒に使うコウヤボウキより葉が長いから。コウヤボウキはその年に出た枝の先に花を付けるが、本種は葉ごとに花を付けるので並んだようになる。

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ナガバノコウヤボウキ

ヤマトリカブトキンポウゲ科

山鳥兜で、鳥兜は雅楽の時、伶人がかぶる冠に似ているから。トリカブトも地域によって多種多様であるが、奥多摩はヤマトリカブトのようである。猛毒を持つ植物として有名で、丁度、花のつくりが分かる写真が撮れたので、ここにあげた。萼片は5枚あり兜状の頂萼片と、左右にある側萼片、下に付く2枚の下萼片である。花弁は2枚あり、兜の内側に隠れて、柄の先に付いており、先が距になって蜜を出す。側萼片の間に黒っぽいひげ状の多数の雄しべ、その中に3個の雌しべがある。

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ヤマトリカブト

レンゲショウマ(キンポウゲ科

蓮華升麻で花は蓮華、形は升麻に似ているから。大きく広がっているのは萼片で小さいお椀形のものが、花弁。御岳山にはレンゲショウマの大群落があり、これを見に来る人も多い。

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レンゲショウマ

多数の花弁、雄しべの中に少数のめしべが見える。

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クサノオウ(ケシ科)

 草の黄で諸説ある。黄色い汁を出すからとか、丹毒(くさ)を直すから、草の王だからなど。有毒植物だが薬用でもある。

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クサノオウ

シュウカイドウ(シュウカイドウ科)

秋海棠で、花色がバラ科のカイドウに似て、秋に咲くことから。江戸時代初期に園芸用として持ち込まれたのが、各地に野生化したもの。初めて見た時は何か違和感を感じたが帰化植物と聞いて納得。咲いている2つの花は雄花で、大きな2つの萼片と小さな2つの花弁、多数の雄しべがある。学名はベゴニア。

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シュウカイドウ

ミヤマタニソバ(タデ科

深山谷蕎で日の当たらない所に生育する。

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ミヤマタニソバ

エドクソウ(ハエドクソウ科)

蠅毒草で、根のしぼり汁を紙にしみこませて蠅取紙にしたことによる。この植物は撮影者泣かせで、全体を撮ると花(5~10mm)が分からず、花を撮ると葉の様子がわからない。そこで、花のアップを下に

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エドクソウ

エドクソウの花

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エドクソウ・花

ワレモコウ(バラ科

吾木香で諸説あるが、木香(キク科の植物)に古くから日本の木香という意味で吾木香という名があったが、この植物に移ってしまったと考えられる。また、赤い花が集まった時、吾もまた紅色であると言ったことで吾亦紅。

花に花弁は無く、赤いのは萼片。その中に4本の雄しべ、中心に雌しべがある。

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ワレモコウ

マツカゼソウ(ミカン科)

草の姿に趣があるので松風草。ミカン科の植物には匂いがあるものが多く、本種も匂いがある。

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マツカゼソウ

マツカゼソウ・花

花弁は4枚、雄しべは7~8本、雌しべの下部には4室の子房が見え、4個の果実になる。

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マツカゼソウ・花

ミヤマシキミ(ミカン科)

枝、葉がシキミ(マツブサ科)に似ているから。シキミと同じく有毒植物である。

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ミヤマシキミ

オニドコロ(ヤマノイモ科)

鬼野老で、地下茎に出るひげ根を、老人の髭に例えて野老と書く。食用にもできるが苦いそうである。雌雄異株で写真は雌株の雌花。子房も大きく成長し、3枚の翼がある果実になっている。6枚の花被(萼片と花弁)が残っているものも見える。

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オニドコロ

ミヤマウズラ(ラン科)

深山鶉で、葉の斑点を鶉(うずら)斑に例えた。葉に斑点が出ないものはアオミヤマウズラという。ラン科は花の形からチドリやサギのような、鳥から名付けられたものがあるが、鶉のように可愛いからだと思っていた。

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ミヤマウズラ

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諏訪山・三ッ岩岳(西上州)の花々  2012.5.13, 2016.6.19

諏訪山・三ッ岩岳の花

諏訪山(1549m)は西上州でもかなり奥にあり、三百名山にも選ばれ、上部は岩峰になっている山である。又、三ッ岩岳(1032m)は約1時間で登れる手軽な山である。いずれも特に植物が多いわけでは無かったので一緒にまとめた。しかも時期は三つ岩岳は2012.5.13で、諏訪山は2016.6.19なので花の時期もずれるので、写真には撮影月を添えた。

諏訪山の岩峰

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諏訪山

ウツギ(アジサイ科)

空木で茎の中が中空であることから。卯の花とも言われ歌などにも歌われている。旧分類はユキノシタ科。(5月)

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ウツギ

コンロンソウ(アブラナ科

崑崙草で中国の崑崙山脈の白い雪を連想したとも言われる。(5月)

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コンロンソウ

フタバアオイウマノスズクサ科)

双葉葵で、花より葉で知られる。この葉を3枚組み合わせたのが葵の御紋。つまり徳川の紋章となっている。冬でも枯れない様を気に入り、使ったらしい。花は下方に見えるお椀型のもの。(5月)

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フタバアオイ

特に目立った色ではないので、匂いを出して昆虫に来てもらうのだろうか。12本の雄しべと先が6裂した雌しべの柱頭が見える。

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フタバアオイの花

ミヤマキケマン(ケシ科)

深山黄華鬘で、華鬘は仏殿の装飾具。花弁の後方が長く伸びているのを距というが、蜜を貯める所。(5月)

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ミヤマキケマン

ムラサキケマン(ケシ科)

紫華鬘で紫色の色と、形から。同じく距が付いている。(5月)

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ムラサキケマン

ヤマブキソウ(ケシ科)

バラ科のヤマブキに色と、形が似ており、草本だから山吹草。しかし、よく見ると山吹の花弁は5枚だが、本種は4枚で、上2枚と下2枚とからなる。ケシ科の基本数は2で萼片も2枚だが、花が咲く前に落ちる。(5月)

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ヤマブキソウ

ヤマタツナミソウ(シソ科)

山立浪草で、花が立って咲く様子が波頭を思わせるから。他のタツナミソウ属は花が真っ直ぐ立つが、本種は斜めに立つのが特徴。また、葉の鋸歯(縁のギザギザ)が目立つのもの目安になる。(6月)

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ヤマタウナミソウ

フタリシズカ(センリョウ科)

二人静静御前が幽霊になって踊っている様子から。花穂は常に2本と限らず、1、3本のこともある。花弁も萼片も無く、白いのは雄しべで雌しべ、子房を囲んでいる。(6月)

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フタリシズカ

アセビツツジ科)

脚しびれが語源という説があり、馬酔木と書かれるアセビで、これを食った馬が酔ったようになるから。葉を煎じて殺虫剤として使われた。壺型の可愛い花だがこの時期にはもう、果実になっていた。(6月)

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アセビ

アブラツツジツツジ科)

ツツジで、葉の裏面が滑らかで光沢があり、丁度油を塗ったようであるから。(6月)

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アブラツツジ

アズマツリガネツツジツツジ科)

かなり昔、初めてこの花を見たとき、ウラジロヨウラクと教わった。その後、萼片が特に長いものをガクウラジロヨウラクということもなにかで知った。しかし今回、改めて牧野植物図鑑を見直したら、ウラジロヨウラクは本品の一変種で萼片全部、又は一部が長く、主として本州北部の山地に自生する、とあった。つまりガクウラジロヨウラクは特にガクを付けることはしないということになる。この写真は特に萼片が長くないので、アズマツリガネツツジにした。(6月) 

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アズマツリガネツツジ

ミツバツツジツツジ科)

三つ葉ツツジで三枚の葉が付くことから。雄しべの数が5本で、東国三つ葉ツツジは10本のある。(5月)

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ミツバツツジ

ヤマハコベ(ナデシコ科)

深山ハコベで山の沢筋などの湿った所に多い。花弁は5枚だが、2裂するので、10枚に見える。(5月)

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ヤマハコベ

マタタビマタタビ科)

疲れた時、この果実を食べると、また旅ができる説と果実に虫こぶができたものをアイヌ語でマタタムブということから説がある。雌雄異株で写真は雄花が3個ずつ付く雄株である。雌株には雌花や両性花(雌しべ、雄しべを持つ)が1個ずつ付く。熟したと思われた果実を食べたことがあるが、辛くて口中がヒリヒリした。食べるならお土産屋にある瓶詰めがいい。(6月)

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マタタビ

マタタビの葉

葉が白くなる性質もある。花が葉に隠れて見えないので、虫に花のありかを知らせる役目といわれ、実がなるころには消える。葉の間に雄花が見える。

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マタタビ

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烏帽子岳・小沢山(西上州)の花々   2016.5.8

烏帽子岳・小沢山の花

烏帽子岳は約1190mの岩峰で、名前の通り頂上付近は急峻な岩場となっている。翻って小沢山は標高1089mで急峻なところもなく、初心者の山として紹介されている。この2つの山は直線距離で7,8km離れているが、車を使えば同じ日に登ることができる。それは両方ともコースタイムは2時間弱で登れるから。しかし、花が多いのは小沢山の方であった。特にこの時期にはスミレが多く見られた。

烏帽子岳からの三ッ岩(手前中央左)と遠く浅間山を望む

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烏帽子岳から遠く浅間山を望む

 コンロンソウ(アブラナ科

崑崙草で、中国の崑崙山脈に降った雪を表しているという。

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コンロンソウ

フタバアオイウマノスズクサ科)

双葉葵で一株から必ず2葉が出ることから。徳川家の紋章はこの葉に基づいてデザインされたが、3つ使うので三つ葉葵という言葉もある。しかし、三つ葉葵という植物は無い。花はというと

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フタバアオイ

葉の付け根に下を向いて、目立たない。花弁は無く、3枚の萼片の元が合着し、先端が反転している構造。下から覗くと12本の雄しべが花のような雌しべを囲んでいるのが見える。

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フタバアオイ

クワガタソウ(オオバコ科)

果実が鍬形の兜に似ているから鍬形草。下部に果実が見える。白花のクワガタソウは初めて見た。旧分類はゴマノハグサ科

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クワガタソウ(白花)

ユキザサ(キジカクシ科)

白い花をササの葉に降り積もった様子に例えた。旧分類はユリ科

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ユキザサ

ヤマエンゴサク(ケシ科)

山延胡索で、延胡索は漢名。後方に伸びているのは距といい、蜜を貯める。

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ヤマエンゴサク

ヤマブキソウ(ケシ科)

花色や、形がバラ科の山吹に似ているところから。しかし、ヤマブキの花弁は5枚だし、木本なので冬も枯れないが、本種は草本で枯れるからヤマブキソウ。ケシ科は花弁が4枚なので、わかりやすい。前項のヤマエンゴサクも4枚が筒状に重なる。

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ヤマブキソウ

ヒイラギソウ(シソ科)

柊草で葉が柊の葉に似ているから。茨城、栃木、群馬、埼玉、東京にのみ分布する稀少種。

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ヒイラギソウ

アカネスミレ(スミレ科)

花色が茜色だから。

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アカネスミレ

エイザンスミレ(スミレ科)

比叡山にあるところから。葉に特徴があり、花が無くてもすぐ分かる。いろいろ変異はあるが、基本的には3裂し、それぞれが更に分かれている。

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エイザンスミレ

サクラスミレ(スミレ科)

花が大きく、スミレの女王といわれる。花弁の先が少しへこみ、桜の花弁を思わせる。

花茎や、葉柄に毛が多い。

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サクラスミレ

フモトスミレ(スミレ科)

麓菫で、ふもとにあることからの名前だが、1000mぐらいまで見られる。

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フモトスミレ

トウゴクミツバツツジツツジ科)

東国三つ葉ツツジで関東地方に分布することから。雄しべが10本あり、ミツバツツジは5本で、トウゴクは若葉にも毛があることも目安になる。

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トウゴクミツバツツジ

ヤマツツジツツジ科)

 カメラの特性か、色がかなり赤く出ている。

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ヤマツツジ

ヤマハコベ(ナデシコ科)

ハコベハコベラの略で、はびこることからといわれてる。平地のハコベより一回り大きく、5枚の花弁が2裂していて、10枚に見える。ハコベ属の学名をステルラリアというが星(スター)を意味している。

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ヤマハコベ

ワチガイソウ(ナデシコ科)

輪違草だが、昔、名前がわからなかったので輪違いの印の付いた鉢に植えておいたことからそのまま名になったといわれる。輪違いとは2つの輪を少しずらして重ねた印。

似たものにヒゲネワチガイソウがあるが、花弁や葉がもう少し細く、花弁の間にすき間が見えたり数も6枚だったりする。なれないとマチガエソウ。 

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ワチガイソウ

クマイチゴ(バラ科

熊苺は山中に生えて、熊の食べるイチゴということから。花弁の元が細いので萼片がよく見えることと茎が赤茶色をしている特徴がある。この花は花弁が1つ小さい。

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クマイチゴ

チドリノキ(ムクロジ科)

千鳥の木で、果実が千鳥の飛ぶ姿に似ているから。別名山柴カエデというように、旧分類ではカエデ科。翼の付いたような果実で、ひらひらと風に乗って散らばる。雌雄異株で、これは雄株の雄花。毛の生えた4枚の萼片が目立ち、花弁は小さくて見えない。。

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チドリノキ

マルバアオダモ(モクセイ科)

丸葉青ダモで、枝を切って、水につけると水が青くなることから。タモはトネリコのことで、材は丈夫でバットやラケットに利用される。雌雄異株で雄株の雄花は4裂した花弁と、2本の雄しべ、雌株の雌花と両性花にはさらに雌しべがある。 

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マルバアオダモ

チャルメラソウ(ユキノシタ科)

楽器のチャルメラに、果実が似ているから。花弁が魚の骨に見えませんか。

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チャルメラソウ

チゴユリユリ科

稚児百合で、小さな花を稚児に例えた。

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チゴユリ

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